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人魔探偵  作者: 葛葉龍玄
第二章 地獄への誘い

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探偵、日常からはみ出る

 かがり たけるはミカガミ町の探偵社務所にて暇を持て余していた。

 人魔探偵と呼ばれる彼は、失せ動物探しから雑務、介護やボディガードまでこなす町の便利屋さんだ。

 この日は午前中のみの業務で、午後は特に仕事もなくエロ漫画を読んでいた。


「猛さん」

 アルバイト兼助手の1つ目族の高岡たかおか 美月みつきも特に仕事もなく応接室に座り、大きな1つ目を凝らして教科書を広げながら呼びかける。

「私のお給料、今月出ます?」

 暇を持て余しさすがに探偵社の財務状況が心配になってきた。

「大丈夫だよ。こういう時に、大口の依頼が入るものさ」

 さして慌てた様子もなく、自分で入れた不味いコーヒーを飲みながら猛は欠伸をする。

「そんな楽観的な……」

 と美月がいいかけた時、カラン、とベルが鳴り、来客を告げる。

「は~い、猛!」


 陽気な声と共に現れたのはピンクの長髪をなびかせ、頭上に耳とお尻にくるん、と丸められた尻尾が特徴の、大柄で筋肉質な女性が入ってきた。

「なんだ、クレアか」

 クレア・オウクランド。オーク族であり、人間界にて日本在中の魔界軍の一個師団長その人であった。

「なんだとはご挨拶ね。せっかく依頼を持ってきてあげたのに」


 クレアは応接に座ると、美月が出したお茶をすする。

「美月ちゃん、ありがと」  

「いいえ。お客様は大歓迎です!」

 バイト代がかかってる美月にはクレア天使に見えたことだろう。

 猛も所長室から応接室のクレアの正面に向かい、話を聞く体制に入った。美月も猛の横にちょこんと座る。

「実は魔界で、小さな子供が誘拐される事件が多発してるのよ」


 内容は思った以上に深刻。大きな案件になりそうだった。

(本当に大事件が飛び込んできた……)

 大口の依頼が入る。時たま猛の言葉は預言のごとく当たるのだ。

「詳しい話を聞こうか」

 猛も真面目な顔になり、クレアの言葉に耳を傾ける。

「実はね」

 曰く。

 とある地区限定限定(・・)で頻繁に子供が行方不明になる事件が多発してるとのこと。

 魔界と人間界はあわせ鏡のように作られており、魔界にも日本に即した場所がある。

「ここと同じ場所。つまり、魔界側のミカガミ町よ」

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