探偵、悪魔と戦う
「まさかここまでのやり手だとは思わなかったぞ」
猛の退魔力はマルコキアスレベルの悪魔に比べれば微々たるものだ。
それが、ここまで侵入されるとは思いもよらなかった。
「サテュロス、バルバトス。油断するなよ。各施設にも軍隊の手がかかっていると思え」
マルコキアスはすでに戦略を見破っていた。
他の施設にも、手練の悪魔が向かったことだろう。
そのうえで、猛たちは、マルコキアス、サテュロス、バルバトスで相手にすると言っているのだ。
「舐められたものね」
くるくると枝毛を気にしているミネア。
「馬鹿にするな!」
バルバトスがミネアに飛びかかる。
それを寸で躱すと、反撃をする。
本当に2人の間には一寸しかない。その隙間からミネアの拳が放たれた。
「寸勁!」
その隙間さえあれば、必殺の一撃を加えることができる。
しかしバルバトスにはその攻撃はまったく効いていない。
「ふむ。軍の犬にしては中々やるようだな」
ミネアも相手を見直す。思った以上にできるようだ。
クレアの巨大な戦斧と、相手の槍が火花を散らす。
長物を持っている者同士の戦いでは、どちらが先に攻撃範囲に敵を巻き込めるかが、勝利のカギとなる。
その意味では2人の戦いは互角だった。
互いに間合いを図り、隙あらば懐に入り込もうとする。
この戦闘圏と取り合いこそが、サテュロスのもっとも得意とする戦法だった。
それはクレアにしても同じ事。
膂力も互角。技量も互角。
ならば、大きなミスをした方が負けとなる。
戦いは長引きそうだ。
猛はハリセンを構えると、マルコキアスが吐き出した業火を打ち払う。
マルコキアスはある意味怒っていた。
ハリセンなどというふざけた武器で自分と互角以上の戦いをしているのだ。
見た目はあれだが、込められた神力は本物である。
「多魔壊!」
数多の悪魔を破壊する連撃が放たれる。
目にも止まらぬ早さだが、マルコキアスは全て紙一重で避けていた。
武器も気に入らなければ、技の名前も気にいらない。
余計に怒りが増すが、それが猛の狙いでもある。
マルコキアスは一息入れると、気を落ち着かせた。
「喰らえ!」
マルコキアスの羽が鋼以上の硬度と音速に迫る勢いで、無数に飛んでくる。
猛はそれを体捌きのみで全て避けてみせた。
そう、体術も一流なのだ。
3人対3柱の戦いは長引きそうだ。




