探偵、守護る
「お、来たな」
田所からの式神が飛んでくる。
害獣の名前や生態、なぜ大量発生したのかが書かれている。
「マスターって何者なんですか? 依頼人すら知らない情報をこんなに詳しく……」
研究者たちもこれは新種ではないかと言ってるほど珍しい生き物だ。
「トカロフ……。本当に聞いたことない獣だな」
トカロフは元々、魔界の中でも秘境と呼ばれる悪魔のテーブルに住んでいる。
繁殖力が凄まじいうえに、人や魔物、自分より体格の良い生き物にも恐れることもなく突進してくる性質を持つらしい。
「誰かが勝手に持ち込んだトカロフが、逃げ出して繁殖したらしいが……」
猛はこの情報をもちろん高値で売ることにした。
「まさかあの秘境の生物がこんな人里で繁殖しているとは……」
研究者たちも驚いていた。
「こんな希少な種、退治していいのか?」
猛と美月は少なくとも、対峙するのをためらった。
「確かにその通りなのですが、まさか悪魔のテーブルに返すわけにも行かないですし……」
というより、あまりにも過酷な環境にあるため、大量のトカロフを運ぶ手段がない。
冒険隊が万全の準備をしても辿り着けるか分からないほどの場所だ。
「全部狩るわよ」
そこに現れたのは、魔界側の軍の一個師団長、ミネア・コカトライスだった。
人間側にいる魔物の軍の一個師団長のクレア・オウクランドとは犬猿の仲だ。
「反対だ。せめて保護するべきだろう」
「もう魔界の政府と軍首脳部が決めたことよ。一介の探偵であるアナタに決める権利はないわ」
「……。引かないと言ったら?」
「アナタたちを拘束するしかないわね」
非情な顔を表に出し、ミネアは猛たちを睨みつける。
「なら、交渉は決裂だっ!」
ちゅどっ!!
猛が放った一握り大の大きさの玉が弾けると同時に、辺りが煙に包まれる。
「トカロフたちは俺が守護る!」
そう言い残して猛は美月を残し、1人で姿を消した。
「猛さん! 帰ったらお仕置きです!」
残された美月が叫んだ。




