探偵助手、無事解決へ
まずはクルルとカテナの足止め。
美月はまず上空に閃光魔法を放つ。
「きゃっ!」
「がぁ!?」
怯んだ二人めがけて土蜘蛛の糸を投げつけ、完全にその動きを止める。
「美月、よくも!!」
オーガ族として、類稀なる怪力に恵まれたクルルですら歯が立たず、暴れれば暴れるほど絡まり、強固になっていく糸だ。
それはカテナも一緒だ。
そして。
猛もよく使うあの技
両手に魔力を込め、カテナに立ち向かう。
「助けなくていいのか?」
常世高等学校の入口にいる田所と猛。
猛は必要ないと言ったのだが、田所がどうしても、というので様子を身に来たのだ。
「美月なら大丈夫さ」
普段から真面目で、猛の教える技もどんどん吸収していく努力家の美月だ。
この窮地に立たされても、自力でなんとかする。
猛にはその確信があった。
「いくらなんでもスパルタ過ぎやしないか?」
「田所のオッサンが過保護すぎるだけだ」
そういう猛の足も、直ぐに美月の助けに入れるように準備されていた。
猛も思う。
この状況を打破できるのはあの技しかない。
かなり難しい技だが、美月ならできる。
そう信じて見守るのだった。
左手を肉体に添え、さらに肉体から魂を抜き出す。
そして引き抜いた魂の、カテナとキメラの部分を右手で断ち切る。
「魂魄空裂斬魂魄空裂斬!!」
見事。
カテナの魂はキメラの魂と綺麗に切り裂かれ、キメラの魂は消滅した。
もしミリでもズレていたら、カテナの魂すらこの世に残ってないだろう。
高難易度の技と技術を持って、カテナを呪いから救い出したのだった。
「カテナ? カテナっ!!」
元の姿はドラゴニュートだった。
キメラという醜い姿にされてしまい、動物や魔物の魔力を貪らないと生きていけない化け物から、元の優しいカテナが戻ってきたのだ。
「クルル……か? 俺は……」
「カテナっ! 正気にもどったのね!!」
「あぁ、だいぶ悪い夢をみていたかのようだった。俺は本当に助かったのか?」
「そう、そうだよ! 美月が助けてくれたの!!」
土蜘蛛の糸を解除され、動けるようになった二人はきつく抱き合う。
美月は肩で息をしながら、その光景を微笑みながら見守るのだった。
いつもの探偵事務所のいつもの所長室。
何事も無かったかのように猛が座っている。
「ただいま戻りました」
美月が報告書を持って入ってくる。
「おう、お疲れ様」
エロ本を読みながら答える。
「今回はよくやったな」
猛が美月の頭を撫でる。
「セクハラですよ!」
といいつ、その顔は嬉しそうに綻んでいた。
「でもなぁ」
と猛が抗議の声をあげる。
「なんだよ、この『魂魄空裂斬』ってのは! 違うだろ、『左抜右断』だろ! かが巳様にもそう教わらなかったか!?」
ツッコミどころはそこかよ。
「私はこの技は、魂魄空裂斬だってかが巳様に教えてもらいましたよ」
済ました顔で受け流す。
「なんでだ!?」
「なんでも、猛さんの技名はそういうのの方が面白いから、ですって」
コロコロと笑いながら美月が答える。
「俺もそんなカッコいい名前の技を使いたいぞ!」
「あははっ! 猛さんにはお似合いですよ!」
「うるさい! ちくしょう……」
その後、クルルとカテナは改めて婚約者として付き合い、卒業後は誰もが羨むような見事な結婚式をあげたというが、それはまた別のお話し……。




