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人魔探偵  作者: 葛葉龍玄
魔界の女子校

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41/59

探偵助手、キメラと対峙する

 そこには異形の魔物がいた。

 その姿には見覚えがあった。

『キメラ』

 魔物と魔物をかけ合わせ、人工的に作られた生物。

「美月、ごめんね」

 しまったと思った時には遅かった。

 後ろからクルルに羽交い締めにされていた。

 キメラが美月を睨みつける。

「あたしの婚約者なの。魔力を食べ続けないと理性を保てなくて、そのうち死んじゃうの」

 投げ込まれた動物の死骸はその残骸だったのだ。

 そして意味をなさない脅迫文。あれは理性を失う寸前に、獲物を差し出すように要求する手紙だったのだ。


「アナタは昔、このキメラたちと戦ったことがあると聞いの。

美月はすごい魔力を持っていることも。お願い。

 彼の食事としてその魔力を差し出して」

 確かにキメラを普通の人間や魔物に戻す術はある。

 それはダンジョン探索のときに猛に依頼してきた「株式会社妖怪」の幹部が知っている。

「なぜ普通に依頼してくれなかったの!? 治すことなら簡単にできたのに!」

 最初から彼を普通の魔物に戻してほしい、と頼めば話は早かったのだ。

 それなのにそう依頼しなかった理由がわからない。

「彼の家柄に傷が付くからよ」

 クルルの婚約者、カテナの家は代々生物学者の権威として名を馳せていたそうだ。

 キメラとなった息子。

 生物学者であるにも関わらず、それを治すことすらできない。

 もし外部にそのことが知られてしまえば、その権威は地に落ちる。

|(こうなったら……!)

 美月も体術を練習して来たことはある。

 クルルには力では勝てないが、技をもってその拘束から逃れた。

「いいじゃない。人型相手の魔力の吸収のしかた、知ってる? 食べるだけじゃないの。性行よ。きっと美月も気持ちよくなれるわ」

──狂ってる。

 いや、愛しい婚約者が異形の姿となり狂ったのか。

 美月は考える。

 まずは背後を取られないこと。

 その次にこの場から逃げること。

 美月の手には余る案件だ。

 猛が来てくれれば一番だが、それも無理。

 最高なのは、婚約者のカテナを救い、クルルも助けることだ。

 考えろ。

 考えろ、考えろ、考えろ考えろ考えろ考えろ考えろっ!

 ぶっつけ本番でやって良い技ではないかも知れないが、一つだけ、この場を打開する方法がある。

 キメラは見た目の問題ではない。本人の魂と異形の魂を融合させて作られる。

 ならば、その魂の結びつきを断ち切ればいい。

|(私のポケットにはなにがある?)

 美月が常に携帯しているもの。

 まずは足止め。

 土蜘蛛の糸がある。これで2人の動きは止められる。

 問題はその後だ。

 


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