探偵助手、魔界の高校へ行く
美月が受けた依頼は、魔界にある女子高校生のボディーガードだった。
オーガ族の族長の娘、クルルカン・オーグル。
力も知力も、魔力も十分に兼ね備えた令嬢な上、族長の娘ともなれば護衛もいるはず。
なぜ美月の──探偵のボディーガードが必要なのだろうか。
特に美月は、長距離狙撃こそ得意で、魔力は随一だが、猛のように手練手管で敵を翻弄したり、魔法も使えない。
そんな探偵助手を指名してきた理由は分からないが、受けた仕事は完遂させる。
それは美月の上司の篝猛も一貫した考え方として持っていた。
「はじめまして。アナタが美月ね。アタシはクルルカン。クルルって呼んで」
差し出してきた手を握り、美月も笑顔で答える。
「高岡美月です。よろしくお願いします!」
まずは依頼者の信頼を勝ち取り、安心してもらうことから始める。
これも猛の教えだ。
「女の子でよかった。男が来たらどうしようかと思ってたの」
どうやら美月が選ばれたのは、女の子だかららしい。
それでも二人しかいない探偵事務所にお願いした理由がわからないのだが……。
「とりあえず学校に行きましょう。学校側には美月が入れるように話はつけてあるから」
ずいぶんと根回しが良いものである。
予想通り、美月より腕が立ちそうなボディガードが付いている。
|(私になにを期待してるのかしら)
疑問を持ったまま、美月の護衛任務は始まった。
「ふむ、魔界のオーガ族族長の情報ね」
猛は「ユートピア」に田所を訪ねておとずれていた。
「なんか腑に落ちない点があってな」
美月が感じた通り、ボディガードがひつようなのか、ということだ。
「まぁ確かにおかしな話ではあるな。魔界にももっと有能な探偵事務所はあるだろうし」
「もっと有能な、は余計だ」
情報屋として有能な田所なら何かわかるかも知れないと、猛は自分のできることを彼女のために探していた。
「美月ちゃんが絡んでるなら助けるよ」
「俺の依頼はうけないみたいじゃないか」
「安い賃金では働かせるからな。嫌にもなるぜ」
とは言え、ふたりは長い付き合いだ。なんだかんだ言いながら猛のためにも奔走してくれる。
「じゃあ少し待ってな。明日までにはできる限りの情報を仕入れてやるよ」




