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人魔探偵  作者: 葛葉龍玄
異世界ダンジョン

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30/59

探偵、嫌がらせをする

 スーツ姿の男達が4人、ダンジョンへと入ってきた。

 寄り道はせずに、真っ直ぐ最短距離を進む。

「なんだ、このお粗末な罠は」

 足元に描かれた術式。効果も薄い上、あからさまに設置してある。

「こんなもの、少し削れば効果をなくすことができるのにな」

 1人の男が笑う。

 ガリ、と術式の一部を削り取る。これでもう技は発動しない。

 はずだった。

「ぐぁぁぁぁぁぉ!!」

 いきなり目潰しが飛んできた。

 しかも単純なもの。胡椒や唐辛子など、殺傷能力はないが、かなり痛い。

 術式は囮で、それを消すと発動する罠を仕掛けていたのだ。

 もちろん仕掛け主は猛だ。

「そういえば……。た、隊長が、油断するなと言っていたな……」

 今だに痛い目頭を抑えながら4人の男達は気を取り直す。

「こんな罠が何個も仕掛けられているのか……」

 確かにこの手の罠なら、先に入って仕掛けたもの勝ちだ。

 男達は慎重に足を踏み入れるのだった。


「面白いものって、突如現れた、っていうこのダンジョン?」

「そうだ。お前たちが俺の味方である以上、面白いことになる」

 命とクレアが密談をしている。

 その頃美月は、はて、と思っていた。

(猛さんの今日の仕事って……)

 確かダンジョンアタックだったはず。

 もしかしたら、このダンジョンなのでは?

(でも面白いから黙ってよう!)

 美月は美月で面白がっていた。

「三番隊の先遣隊が先に入っている。戦闘は問題ないが、その前に戦闘不能にならなければいいが……」

 命は猛のことをよく知っている。

 共に戦ったこともあるし、敵対することもあった。

 格闘術、霊能力者としては超一流。

 退魔師としても、かが巳の力を使えば負けることはない。

 しかも知恵もよく回る油断ならないやつ。

 それが命の持つ、猛への印象だった。

(あいつが敵となって先行してるのは、後発隊としては致命的ではあるな)

 猛の持ち味はその技の多彩さにある。普段から生活や地域に密着してのスキルがそのまま技の習得に繋がっているのだ。

 後発隊はほぼ進めないと判断して間違いないだろう。

 命にしても、猛が本気でゲリラ戦を仕掛けてきたら──命のやり取りにはならないとしても──厄介なことこの上ない。

「相手は相当の手練だ。覚悟しとけよ」

 特に猪突猛進なクレアには釘を指しておく。

「なによ、私が敵の術中にはまるとでも?」

「敵はそれ程油断のならない相手だ」

 

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