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探偵、遊ぶ
「高〜いっ!!」
ヴァルハラタワー。
エレベーターを使わずに階段を駆け上るアリア。
「ち、ちょっと待って……」
足をガクガク震わせながゆっくりと階段を昇る猛。
「た、高い所は苦手なんだ……」
「あははっ! 猛さん、面白い!」
景色を楽しむ余裕もないまま、展望台まで上がってきた2人。
「あれが昔東京タワーと呼ばれてた電波塔のレプリカだよ。それで、あっちが……」
猛の説明をキラキラ光る宝石のような瞳で聞いている。
本当に見るのも、聞くのも、全てが初めてで、楽しくて仕方ないみたいだ。
「これなんですか?」
水槽を泳ぐ魚を見て、アリアが驚きの声をあげる。
「いや、魚だけど……」
「え? 魚は頭とかついてないですよ? 身体もこんなふっくらしてないですし」
話しがどうも食い違うと思ったら、アリアは魚は捌かれた状態で生きて泳いでいる、と思い込んでいたらしい。
「はははっ!」
「もう! そんな笑わなくてもいいじゃないですか!」
可愛い魚に叫声をあげ、大きく雄大な魚には感嘆の声をあげ、お土産コーナーでは大きな鮫のぬいぐるみを買って喜ぶ。
本当にこの子はただの無邪気な子供なのだ。
それでも、定めは、ある。




