探偵、ダンジョンへ
「あーぁ、つまんなーい」
人魔探偵事務所では、クレアと美月が暇を持て余していた。
「せめてユートピアが開いてればよかったんですけどね」
情報屋の田所修が営む喫茶店ユートピアは今日は臨時休業だ。
「クレアさんは仕事は大丈夫なんですか?」
事務処理は主に猛の仕事だが、猛が居ない時はこうして美月が間違いがないかチェックをしている。
そういう意味ではこの探偵社にいる限り仕事が無くなることはない。
「部下が有能だから、へーき、へーき」
ソファに寝転び手をヒラヒラと振って見せる。
クレアが暇している時にこの事務所を訪れると面白いことが起こる、というジンクスも今回は外れたようだ。
とは問屋が降ろさない。
「いい奴みっけ!」
それはたまたま耳に入った剣戟音だった。
「どうしたんですか?」
「いいから付いてきて!」
こうして美月はクレアには連れられ、トラブルに足を踏み入れたのだった。
「足跡がありますね。二足と四足。人型と獣型の生き物がいるのは確実です」
「なるほど」
パーティーのリーダーを務めるのは「株式会社妖怪」の社員、山本。ダンジョン内のでも取り回しのいいショートソードを装備したアタッカーだ。
猛の報告を受けて、ダンジョン内の詳しいマッピングをしているのが本山。彼は補助と回復の魔法を使う退魔師。
そして最後尾からもう1人のアタッカー、リザードマンのマウント・ブックという布陣だ。
「しばらくは一本道のようですね」
山本が松明を手に道を照らす。
そこには不気味な意匠の人形が置かれていた。
迷わず先に進もうとする3人に猛が待ったをかける。
「これを見て下さい」
猛が指した闇の向こう側。そこには細い通路があった。
「その人形に気を取られ、俺達はまっすぐ進む。するとこの横穴から這い出て来た魔物にバックアタックを仕掛けられます」
確かにこの3人は戦闘経験はかなりある方だが、ダンジョンアタックの経験はほぼなさそうだ。
前後にアタッカーをつけて、真ん中に魔法使いを配置するように進言したのも猛だ。
もし一番後ろに防御の手薄な魔法使いがいれば、今回の様にバックアタックを仕掛けられた場合、それだけで命取りになる。
「一瞬の隙が命取りになります。気を付けて進みましょう」
「勉強になります」
こうして一行は身長に洞窟の奥を目指すのだった。




