探偵助手、呪いのODDの噂を聞く
「呪いのODDODD?」
「そう、なんでも男性が見ると呪われるらしいよ?」
メタ的な発言をしてしまうと、ODDとは現代でいう所のDVDに当たる。
なんとなく聞いていた美月だったが、男性だけ、という点でなにかが引っかかった。
「マジかよ」
「そんな話聞いたら、もうODDでアニメとか見らんねーじゃん」
「それって本当にあるの?」
つい身を乗り出して聞いてしまう。
「ヤダ、高岡さん! ただの都市伝説でしょ? ウケるー」
「……だよね!」
それから美月はユートピアに向かうことにした。
「あら、美月ちゃんだけか? 珍しいな」
「ちょっと聞きたいことがありまして……」
美月は学園で聞いた呪いのODDの話を田所にする。
「噂では聞いたことがあるなぁ。本気にはしてなかったから、流していたが、なにか気になるのかい?」
「そのODDが、男性しか呪わない、という話を聞いて……」
「ははぁ、猛の調べてる男しか不倫しない事件に関係があるか、疑ってるわけか」
「はい、あれも怨霊が関わる事件だと聞いたので、気になってしまいました」
「とりあえず美月ちゃんの頼みだから、俺も情報収集はするけど、もし本当に霊関係だとしたら君には対処しようがない。すぐに猛に知らせること。いいね?」
「はい、わかりました」
美月は独自で呪いのODDを探すことにした。
4,5,6件目と不倫騒動を解決していったが、どれも女の負の感情が生み出した悪霊が男を襲う、というものだった。
かといって組織的な犯行ではなく、特定の発信源による無差別の呪いとしか言いようがなかった。
「共通してること……」
男性だけがターゲットであること。
人や魔物ではなく、妖怪が正体であること。
組織的な犯行ではないこと。
事務所でメディアニュースに目を通してみると、同じような手口で病院に搬送されているケースが後を絶たない。
「俺が抱えてる案件は氷山の一角でしかないのか……」
猛は1人水晶の前に佇むと、祝詞を口ずさむ。
「我願い請うは八百万の神々の力。今ここに囚われし悲しき霊を呼び戻し、我にその声を聞かせしめ給え」
降霊術。
今までに浄霊し、妖怪化を解き輪廻の輪に戻した霊を呼び出し話を聞くという、霊能力者だからこそできるアプローチの仕方だった。
「君たちはどこから来た?」
『私たちは生み出された。悲しい存在に』
「悲しい存在? それは人か?」
しかしそれだと辻褄が合わない。猛が呼び出したように、誰か、もしくは組織的に呼び出されたならその痕跡が残るはず。
それが無いということは自然発生だと考えられる。
『幸せな男女、妬ましい……。なぜ、私たちは……あんな時代に生まれたの……』
時代の生まれ。
そう言われれば、人間の霊だけではなかった。
魔物の霊すら妖怪となって、人々を脅かす存在に変化していた。
これはかなり稀なケースだ。
「というか、魔物の霊が妖怪化した所を見るのは初めてじゃないか?」
基本的に魔物は人間より長命であることが多い。
だから霊の母体数がそもそも少ないのだ。
「何かしらの呪いの発信源がある……」
それも不特定多数の発信源が、無作為に。
猛は頭の中を整理すると、またもユートピアに向かい腰をあげた。




