探偵、戦う
──悪鬼羅刹。
二つの顔に四本の腕。それぞれに属性の違う剣を手に持っていた。
「他にもわんさか出てきたわね」
無数の鬼たち。
焦熱地獄程の深層の鬼は強さも桁違いだ。
「ボスは俺がやる。他の鬼と美月を頼む」
ここの鬼たちは美月には手に余る。そう判断したのだ。そして、クレアなら美月を守りながらでもこの強力な鬼たちを倒せるだけの実力があると信じていた。
「舐めるな!!」
炎。氷。雷。土。4属性を纏った剣が一切の隙もなく猛に襲いかかる。
間延びした時間感覚の中、猛は紙一重で躱していく。
しかし反撃の余地はない。それほどまでに洗練された動きだった。
「不可視の刃よ!『忍刃忍刃』!!」
四方から飛び来る目に見えない刃を、悪鬼羅刹は空気の流だけで読み取り打ち払う。
一瞬の隙。その隙に猛は悪鬼羅刹の攻撃の範囲の内側へと滑り込む。
その動きは見えてはいたが、反応ができなかった。
まるで水のようにいつの間にか間合いに入られた。
悪鬼羅刹の剣の間合いではない、拳の間合い。
猛はあえて超々接近戦に持ち込むことによって、剣の威力を殺していた。
拳が。
蹴りが。
肘が。
体当たりが。
確実に急所を捉え、悪鬼羅刹の身体にダメージを与えていく。
「ぐぬ……!」
決着は近い。




