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人魔探偵  作者: 葛葉龍玄
第二章 地獄への誘い

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探偵、奥の手を使う

 ほぼ全力で走り続け子どもたちを解放した猛達は、やはり立体型魔法陣の楔に気がついた。

「どういうことなのよ、猛?」

「間に合わない、魔法陣が発動する!」

 子どもたちは全員助け終えたが、間一髪。魔法陣の完成が早かった。

「これで我等の野望が成就する」

 目の前に現れたのは今までとは違った異形の鬼。

「魔界と人間界は繋がった。ならば地獄ともつなげてやろうではないか」

 そう、奴等の目的はまさにそれだった。

 一神教の神々の力は魔力や退魔力が通じる。

 霊力しか通じないこの地獄の鬼たちが、もし魔界や人間界に繋がってしまったら、大混乱になることだろう。

 なぜなら、地獄の鬼と互角に渡り合える程の霊能力者は数えるほどしかいないのだから。

「その野望、阻止させてもらう!」

「無駄だ! もう魔法陣は完成し、時空に亀裂がはいっている。空間に干渉できるなど、数多の神々の力を借りなければ無理だ!」


 猛の魂には海がある。

 そこには普段、僅かな霊力と退魔力しか存在しない。

 だが、そこには例外があった。

 美鏡神社のかが巳の力だ。

 八百万の神々にはそれぞれ「性(しょう)」と呼ばれる存在意義がある。

 かが巳の性は、自分の氏子を守る時は無敵の力を発揮するというものだ。

 だが、その力はミカガミ町の中だけに限られる。

 そこで触媒が必要になるのだ。

 かが巳の無敵の力をその身に宿すことができる人柱。

 それが猛だ。

 猛の魂はかが巳の茫漠な神霊力を注ぎ込まれても魂が壊れない程の許容量を持つ。

 その力を用いて戦うのが猛の切り札だった。


「我願い請うは『白蛇の魔神』の力。その力は無敵也。我が身に宿し、万物の敵を滅さん!!」

「な、なんだ!? この力は!!」

 地獄全体を包み込むほどの神の力。

 その力が猛の身体に集中する。

「時空の歪みよ、元に戻れ!『素停気素停気(ステーキ)』!!」

 神霊力の素粒子が大気に散らばると、時空の亀裂の破壊が停滞する。

 自然の理に則り、亀裂は徐々に消えていった。

「なんたる……っ」

 ここまでの霊能力者がいるとは思わなかったのだろう。

 敵の目論見は尽く潰され、あとに残ったのは目の前の鬼1人。

「ならば、せめて一太刀! 貴様らに苦痛を味あわせてくれる!!」

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