探偵、叫喚地獄、大叫喚地獄へ1
「ここは叫喚地獄。殺生、窃盗の他に淫欲や酒におぼれ、皆を傷つけた者が落ちる地獄だ。阿鼻叫喚、なんて、言葉の語源にもなっている」
大鍋で熱せられ、灼熱の棺に閉じ込められた罪人の声が木霊する。
「今まで以上に悪趣味ね……」
数々の戦場を見てきたクレアですら顔をしかめる。
ここでもやはり、追手となる鬼たちと戦いながら子供たちを探すことになった。
「でも猛さん、こんなに隅々まで今までの地獄を見て回る必要はあったんですか?」
猛は今までの階層で子供たちを助けた後も地獄を探索し続けていた。
「ちゃんと脳内でマッピングしてたのさ」
猛の能力の一つ、瞬間記憶。
一度見たものは絶対に忘れない、という特技だ。
「だいたい今の時代に仏教の地獄に子どもたちを拐うのが不可解なんだ。細心の注意をはらわないとな」
今まで見てきた地獄を思い出す。
「まてよ、もしこの配置なら子どもたちがいるのは……」
猛は思案顔で子供たちがいた場所を思い出す。
「こっちだ!」
果たして、猛が言った通りの場所に子供たちはいた。
「どういうこと?」
子どもたちを保護している猛に、クレアが尋ねる。
「これは立体型の魔法陣だ。地獄の各階層に純粋な魔力を持つ者を置き、その魔力を魔法陣に組み込んでいるんだ」
平面の魔法陣と違い、立体型の魔法陣の方が少ない魔力で膨大な魔術を行使することができる。
「でも、目的は何なんですか?」
「コレだけ大掛かりな魔法陣は見たことがない……。正直検討もつかないな」
「とりあえず碌でもないことに使う気なんだから、私たちができるのは早く子どもたちを助けることだけね。それから先のことはその時に考えましょう」
クレアの言うことももっともだった。




