↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
58/59

ランクSの存在

☆女王蜘蛛の念糸

☆等級 S−

☆LV ―――

☆シュピネ・ケーニギンの紡ぐ糸

 凄まじい量の魔素を含み、靭やかで軽い。

 切断は元より加工すら困難




「 ランクS  、 。。 」


腹から絞り出すような声。  西門街支部ケント・タリスマンがゴクリと喉を鳴らす音が聴こえた。


魔物と交戦中に稀に手に入る爪や甲殻の欠片などの回収アイテムや討伐時にランダム入手できるドロップアイテム。

それらの等級=概ねその魔物の等級といえる。


つまり新たに発現したシュピネ・ケーニギンは、トールさんが持ち込んだこの回収アイテムの鑑定結果から、暫定でクラスSに分類される訳だ。

この支部長も相当に強いはずなんだけど、それでもS級の魔物は、手に負えないのかな。



【迷いの森】で出会った魔物、シュピネ・ケーニギンに名前を与えて、彼女に託された真っ黒な糸の束を会敵証明の代わりにギルドに提出。

ひと晩あったし、ザックリと報告書もまとめた。


リオレ周辺エリアでは、公式には初のランクSの魔物の出現となった訳だな。



「 深部のマッピング不可エリアに巣食ってるわけだな。。  」


そうそう。

そこからは近衛のシュピーゲル共々出てこないから不用意に入らんけりゃ会敵しない。


・・・そういうふうに、トールさんが奴らに命令したんだけどね。



正直、あの【迷いの森】へ入る冒険者の主な目的はアラクネのドロップ品のスパイダーシルクだけだ。

教会関係なら魔草の採取もあるけど、どちらも最深部のボスエリアへ入らなくても入手できるものだからな。


それでも最深部に入るアホは喰われても知らんよ、ってしとけば、まあ安全は担保される。

他国の話だけど、龍種が巣食う広大な山脈全体を立ち入り禁止にしているところもあるらしい。

まあ、入る奴なんていっぱい居るやろうけど。

それはそれでナハト達の養分や経験値にもなるだろうから、自然の摂理って事でね。


ちなみにトールさんは手も足も出なかったので逃げて来た事にしといた。

実際、【気化】を使わなけりゃ勝てそうにないのは間違いないし。

ランクSの魔物とは、例えば龍種とかと同等の脅威で、まあ災害みたいな扱いだからな。

たかだかB級ごときの冒険者個人でどうこうできる相手じゃない。




「 出没エリアの検証も、あと何度か必要だろう」


あー、それも定期的に入って調査してみますよ、って事にしておこう。 実際は口約束だけどボスエリア以外に入った冒険者はシュピーゲルもナハトも手を出さないというふうにお願いしているけど。


ついでに魔草も採ってくれば、まあまあの収入にもなるしね。







「 よく、 生きて帰って来れたな。。。  」


キャンデラさんが、チロとこちらに視線を投げる。

あー、こりゃソロで入ったのバレてんな。。


この人、トール氏の冒険者の師匠みたいなもんだからなー。

なんでもお見通しって感じか?


まあキャンデラさんが一番徹底してトール氏に教え込んだのが『逃げ足』だ。

早めに危険を察知する、躊躇せず逃げる、完全に逃げ切るまで気を抜かない、 どれもトール氏の記憶には、ハッキリと残ってますよ。

帰って来れたのはキャンデラさんのおかげです。

・・・ってことにしておく。


「 ふん、  お前もB級だからな。 もうとやかくは、言わんさ 」


そう呟き、杯をあおる。

もうずっとこうやって短命なトールさん達ヒューマンや獣人を見てきたんだろう。


いつもガヤガヤと騒々しい【愚者の掃き溜め】とは違って、【民の護り手】クランハウス併設の酒場はシットリと落ち着いた場所だ。

出してくるお酒も、ちょっとお高いのがちゃんと用意されている。

今回はキャンデラさんに連れて来てもらったけど、基本ココはクラン員しか利用できない。


いいなあ、一般開放してくんないかなあ。。


もちろんイースさんトコも、あの雰囲気は好きではあるんだけどさ。

たまにはこういう落ち着いた飲みも必要だよね。


「 しかし、あの小生意気だった小僧が、立派になったものだ。  いつもヒューマンの成長の早さには驚かされる 」


エエ男がちびちびと盃をくゆらせる様子は、やっぱりサマになる。

トールさんには出せない渋さだな。

てか、このお酒、旨いな。

蒸留酒だよな。

夜だし照明が暗くてよく見えないけど、少し琥珀色なのかな。。


☆バッカス酒蔵の特撰三年物

☆等級 A

☆LV ―――

☆王都の老舗酒蔵の特撰ブレンド蒸留酒

 生産数が少なく一般には販売されない


あー、やっぱすごいお高いヤツだ。。

メーカーはバッカスね、憶えた。


「 トール、お前いい加減ウチに来ないか? 」


まあ、そう来ると思ったけどね。

ギルドもチャコやウーバイを充てがったりしてくるし、やっぱりソロ活動は危険が多いからなるべく止めさせたいって事だろう。


少なくとも一定のパーティに所属して活動するのが冒険者としての基本だ。

トールさんみたいな半端に力がある者が一人でフラフラしてるのが、一番死にやすいんだよ。


とはいえ、今のトールさんは、、なあ。

残念ながら組織に所属するには伏せておきたいコトが多すぎる。

コトが広く露見した時にどうなるか、の規模がどう考えても大きくなるだろう。

冒険者ギルドと業務提携だけしている個人事業主であれば、そのあたりは比較的問題になりにくいからな。



あー、そういえばキャンデラさんに聞いておきたい事があったっけ。


「  んん、? 【オクリビト】?  お前そんな事何処で聞いてきた? 」


いやー、前に王都行った時にちょっと小耳に挟んだんですよー  って事にしとく。


「 何処で聞いたか知らんが、どうにも眉唾モノのお伽噺だ  少なくとも私は実際に彼らを見たことがない」


キャンデラさんは、確かに長く生きてる長命種だけど、そこまで腹芸の達者なタイプではない。

今も変に何かを隠してるような様子を見せていないということは、彼にとって【オクリビト】はそういう認識なのだろう。


ただ、その【オクリビト】本人からしてみればこの世界、アチコチにその痕跡を感じるのよね。

彼らはどうやってこの世界に来て、そしてその後どうなったのか。

まあ別にどうしても帰りたいとは思ってないけど、トールさん的には気になるところだ。


「 まあそうやってはぐらかすという事は、脈はないという事だな、? 」


あー、すいませんねー。

せっかくお誘いいただいたのに。

でもでも、何かお仕事あったら回してくれるとありがたいかなー、なんて。


あ、。 キャンデラさんのジト眼が痛いや。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。