↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
57/59

女王蜘蛛

えー、。

やってきました、迷いの森。


忙しいウーバイくんをアテにはできないので、仕方なく単独でやってきた訳ですね。。

これ、いーんかな?


( 妾がおるではないかえ )


あー、まあそうだね。。

うんありがとう。。


なんて元魔王と脳内会話してると、頭上からアラクネが三体同時に振ってくる。

鞘を走らせて一体を正面からカチ割り、その反動で大きく後退。 間髪いれず回り込まれて糸を吐かれたので【気化】して消し飛ばす。


捉えたと思った獲物が靄を破って突進してきたら、そりゃ対処できんよね。

二体目も頭を唐竹に割る。

ソイツの影に潜んでいたもう一体は間合いが届かないので仕切り直し。


連弾で糸を吐いて来るが、予備動作が大きい。

弾速も遅い糸ごときがトールさんの瞬脚に追いつけるはずもない。

まあ、時間稼ぎにはなったみたいで増援のアラクネが見えてる限りで三体。

コレ、キリがないな。


まとめて【気化】!

アラクネは動きが速いが直線的なので捉えやすい。

ほとんど百中で霞に変わる。


( むうー、善いのお 甘露の如しじゃえ)


コイツ、全部吸うつもりかよ。。

まあええけどさ。


とりあえずもう少しでボスエリアかな。

ここまででアラクネは、 もう何体斬ったか覚えてないな。。

三桁は、 いってないはずだけど。



ん? 


急にアラクネの波状攻撃が止まったな。。

【気配察知】にも、、 いや、居る、なあ。


(ほうおう、 これはコレはじゃの )


ボスエリア手前の少し拓けた場所。

前にカミーユさん達とシュピーゲルを誘き出した場所だ。


真っ直ぐに聳え立つ太い樹木にへばりつくように大きな鉤爪が光る長い脚。

ひとつ、またひとつ。

出たな。 シュピーゲルだ。


いや、前に見たのと少し違うな。

片方の攻撃肢が異様に長い。


同じ様に片脚だけが異様に長いのがもう一体。

それぞれ右と左の攻撃肢が不自然に長いシュピーゲル。

だけど不思議だな、。

殺気が曖昧だ。


ココに来るまでに会敵したアラクネは、例外なく殺る気満々で襲ってきてたのに、。

とはいえ、鯉口は切った状態で何時でも抜刀はできるように警戒はしておかないとな。


その二体に護られるように樹木の影から。

その影がそのまま出てきたと錯覚する程に黒く靭やかな長い黒髪に同じ光沢の黒いスリムなフォーマルドレスを纏った一人の女性が出てきた。



☆シュピネ・ケーニギン

☆脅威度 S+++

☆LV 0

☆アラクネ種の母王

 その八本の脚からは龍種であっても逃れることは  叶わない。



うえっ! あれが女王蜘蛛か!?

え?人型やん。

何処からどう見ても品のいい上流階級の女性にしか見えんけど。。


( 上位の魔物には、よくある特徴じゃの )


まじか。

てか脅威度Sプラス!

これ、あかんヤツやん。

【気化】!   は、まだ届かん距離か。


慌てて飛ばした【気化】は的が小さくて遠いからか空振りに終わる。

ただ、その気配を感じ取ったのか取り巻いているシュピーゲルが攻撃肢を振り上げ、さらに甲殻を震わせて威嚇音を上げてきた。


「  、よい、。 鎮めよ 」


めちゃめちゃ殺気を飛ばしてくるシュピーゲルが、その鈴を転がすような声ひとつで、すいと威嚇を止める。

語気が荒いわけでもない、とはいえか細い声でもない。気を抜いてたら、つられてこっちまで警戒を解いてしまいそうになる、妙に力を持った声だ。


間合いをとるべきか、覚悟を決めるべきか。

じわりと汗が背中を濡らす。


「  強き者よ、 もう少しそちらに近づいてもよろしいか? 」


見た目の細さからは想像できない程に力強い声で、その女王蜘蛛はコチラを見据えてくる。

これ、目を逸らしたらあかんやつか?

てゆうかさ、近づいたらお前、【気化】の餌食だけど分かってんの?


「 私はアラクネの王。 、、だが強き者は私より強い。 その者に生死を委ねるのは、この世界の理である。。」


護衛のように付き従うシュピーゲルを手で制して、女王蜘蛛はゆっくりと此方へと足を進める。

その強き者って、トールさんの事か?

いやいや、どう考えもアンタのが強いだろ。

コレ、何かの作戦??


やがて充分に【気化】が届く範囲まで近づいて来ると、ゆっくりと膝を折り片膝をたてる。

まるで臣下が主君を前にする時の姿勢のようだ。


「強き者よ、 どうか名をお聞かせ願えまいか」


え?なんなの??

これ名前教えたらアカンやつ?


( ふん、 呪いの類など妾が弾いてやるゆえ 堂々と名乗るがよいぞえ )


あ、そんなパターンもあるのね。

てか呪いか。。 ひょっとして呪いなんてのも【気化】できちゃったりして。 いや、まさかな。


てか女王蜘蛛。

そのまま凍りついたみたく動かないんだけど、コレ名前教えないと埒あかんのか?


えーい ままよ!


「トール・エアリス  リオレの冒険者だ」


よっしゃ! なんとか声が裏返らずに言えた!




、、、 何もおこらんな。


「 強き者 トール   我に名をつけては貰えぬだろうか?」


・・・・・は?

なまえ?


( ふん、やはりの  コヤツ、おぬしに降ると申しておるぞえ? )


え?どゆこと??


(魔物が名を求める、とはそういう事じゃ )


闘って負けた訳でもないのに?


( いや、今おぬしあの訳のわからんスキルで其奴を消し飛ばすことなど、容易かろ? )


いややってみないと分かんないけど、まあ多分できるだろな。。 隙だらけだし。


「 どうか 名を  、さもなくば死を 」


えええ。 魔物の生死観、どないなっとんよ。。

てか黒髪スリム美女が目の前で跪いてるとか、トールさんまるで悪いヒトみたいやんか。


名前? まあ名前くらい付けてあげるけど、さあ。


うーーーーん。

黒、か。  くろ。 夜。、 ドイツ語、。


『ナハト』とかどうや?

ドイツ語で夜が確かナハトだよな。 たぶん女性名詞だったような気もするし。

お前、夜の星空みたいに真っ黒で綺麗だからな。



「 ナハト  、 、ナハト。  我が名 」


女王蜘蛛が顔を上げ、うわ言のように復唱する。

その瞬間、肚の底のまだ奥くらいからゴッソリと何かが抜け落ちるような感覚が襲ってきた。

あのジェットコースターとか高速エレベーターとかで味わうあの感じ。

これ、魔力か??


「強き者トールより、しかと我が名ナハトを拝命した 」


お? 何となくぼんやりとだけど、女王蜘蛛の声から威圧感がなくなったように感じる。

顔つきも少し柔らかくなったような、、いや、気の所為かな?


「 これより我らアラクネ、強き者トールの手足となり、この身を捧げる事を誓おう 」


再び臣下の礼をとる女王蜘蛛にあわせて、離れた所に居たシュピーゲルも長い手足を器用に畳んで、その場に蹲った。


え? なんなん?



『 女王蜘蛛ナハトがなかまになった! 』


いやいや、おいって、。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。