↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
50/59

鏡の蜘蛛

☆シュピネ・シュピーゲル

☆脅威度 B+(非認知状態)

☆LV 4

☆未知の外敵に適応するためにステルス性能に特化した進化を遂げたアラクネ種

 シュピネ・ケーニギンの護衛を担う。



あれか。。

大きさは、通常アラクネの3倍くらいか。

いや脚が長いから縦の長さが長く見えるけど、胴体だけなら1・5倍ほど。

まあでもデカいな。 2t車くらいあるかな??


てか、なんでドイツ語?

シュピーゲルは、鏡だったよな。

ガノタならみんな知ってる。


で、響き的にシュピネがスパイダーか。

非認知状態での脅威度がB+ってことは、ハイリザードマン並みって事ね。


ケーニギンの護衛??

ケーニギンて、どっかで聞いた事あったな。

うー、なんだっけ?


まあ、なんにせよアレが護るべき上位の存在がまだあるってことは、コイツらはエリアボスじゃないって事だよな。。。


「 やっぱ、8匹ッスね。もうちょっと近づくと糸に触れるッス」


隣でチャコが低い声で囁く。

静かに頷いて、彼女の目線の先を伺うと、、ひのふのみの、、うん、6組の脚先の鉤爪が見える。

あとの2匹は、トールさんには判らんよ。。。


タカアシガニみたいにやたら長い脚と胴体は光を反射する鏡のような感じになっていて、周囲が暗ければ溶け込んですごく見えづらい。

動く時に、僅かにズレて見えるので何となく認知できる程度だ。

ステルス性が高い、のタネ明かしはコレだろう。


禍々しく赤味を帯びた鉤爪だけがチラチラと揺れて見えている。

その鉤爪も前肢と次肢に付いてるようで、これも通常アラクネとの違いだ。


非認知状態での脅威度からして、認知時ならA前後か。。

トールさんとウーバイくんが実質A級相当だとしても、今の戦力で殲滅は難しいよな。

盾ふたりで引きつけて、チャコ+ブルーダで撹乱して、トールさんが遊撃するパターンでひと当て。

相手の手の内を探ってあわよくば魔石を持ち帰る、ってトコかな。


よし、一旦戻ろうか。


チャコとふたりで、元きたルートをカミーユさん達の待つポイントへ戻る。

偵察に出たチャコの情報がイマイチ頼りなかったんで、【ステータス確認】ができるトールさんが出向いたわけだな。

 

ちなみに【ステータス確認】については加護の派生スキルということで彼女たちにも共有済だ。

【気化】は、まだ伏せてる。

多分、剣技だけで何とかなりそうな気がするんだよな。知らんけど。


「 、な、なるほど。。 鏡か 、 」


カミーユさんフルプレートのヘルムも外してるな。

この先のMAP不可エリアは一層暗くなるからな。

視野が暗くなるヘルムは、確かに外したほうが良さそうだ。

少しピンクっぽいクリクリの髪の毛が、ガタイのゴツさとのギャップがすごい。


「 どうすんの、 ひと当てするんでしょ?」


ブルーダ、今日なんもしてないからな。

あれ魔法撃ちたくてウズウズしてるんじゃないか?

このコ、結構好戦的なのよね。


「できれば素材と魔石は、持ち帰りたいよね」


「ドロップするかね?」


まあ素材ドロップは完全に運だからな。

とはいえ上位種であればあるほど、その確率は上がる傾向がある。

8匹全部仕留めれば1個くらいは有るんじゃないかな。でもまあ、無理は良くない。


「エリアとはいえ、森ですからな。 虫系なら炎が特効ですが延焼が厄介でありますな」


「えー、手っ取り早く燃やしちゃえばイイじゃん」


「いえ、調査だから なるべく戦闘に持ち込みたいところよね」


まあ確かに安全に殲滅を選ぶならブルーダの炎系魔法で薙ぎ払うのが一番だけど、カミーユさんの言う通り今回は調査だからな。

あの新種の強さ加減を図っておかないと、意味がない。

さてさて。







シュピネ・シュピーゲルの行動原理は、彼らの主たるシュピネ・ケーニギンを護る事の一点のみだ。

金属のように硬い甲殻と、攻撃範囲が広くとれる長い攻撃肢は当にその目的のために進化した結果だ。

その点においては、ヒトを襲い喰らう本能に従順な魔物の中では特異ともいえる。


普段はエリアに散って巡回し、脅威を未然に取り除くことに専念しているのだが、今はエリア主の思念に導かれて中央の巣に集結していた。


『最大の脅威が接近中、巣を護れ』と。


彼らの主は、この【迷いの森】の全アラクネと思念のリンクを繋いでいるため、エリア内の異変に敏感に反応する。

主が恐れる何者かが、再び襲来したのだ。


彼らシュピーゲルは鏡のように反射する体表のおかげで暗がりにおいて非常に視認されにくい。

戦術としては待ち伏せが最も適している。

遊撃よりも防衛に於いてその能力が発揮される特性である。


細長い身体と八本の脚を折りたたみ、周囲に溶け込み、侵入者を察知すべく周囲に糸を張る。

そのせいでこちらから動き回ることは、出来ない。

とはいえ侵入者は確実に主の居る巣へと向かって来ている。

待ち伏せて仕留めるのが最も効率的で勝算も高い。


何者であろうと、ここは通さない。

そんな強い意識で、彼らは張り詰めた糸に神経を集中させるのだった。







戦端を開いたのは、ウーバイだった。


チャコに教えられていた警戒用の糸を、ズバっと鉄棍で薙ぎ払うと、数秒の時間差で上方から二体のアラクネが降ってきた。

通常種の、牛ほどのサイズの黒いアラクネだ。


入れ替わるようにカミーユのタワーシールドが走り込んできて、アラクネの鉤爪ラッシュをガードする。

その隙をついてウーバイの鉄棍が一体を突き飛ばした。 返す反動で弧を描き、もう一体も弾き飛ばす。


「 前進よしっ!」


ウーバイが討伐を確認し、視野の狭いタワーシールド持ちのカミーユに声かけする。

ザザザっと前進するカミーユの巨体に隠れるようにあとに続くブルーダ。

既に詠唱済の光球が指の先に瞬きはじける。


「 ライトッ!」


発動詞と共に勢いよく眩い光の玉が飛び上がり、頭上数mに達し滞空する。


辺りを照らす光が何か所かで反射してくる。

周りが薄暗いので、僅かな光源でもよく反射してシルエットが浮き上がるよな。

近くで見ると、デカいな。。

・・・シュピネ・シュピーゲルだ。



☆シュピネ・シュピーゲル

☆脅威度 A−

☆LV 4

☆未知なる外敵に適応するためステルス性能に特化  した進化を遂げたアラクネ種

 シュピネ・ケーニギンの護衛を担う。



読みどおり、認知状態で脅威度A−かっ!

✕8だし、相当ヤバい相手だ。

場合によっては【気化】も解禁だなっ。


「 右ッ! 牽制するっス!!」


同時にチャコが飛び出し、後を追う様にブルーダが続く。戦闘時にはチャコは『避けタンク』としても機能するようだ。

正面の3体はカミーユさんとウーバイくんの最大火力で引き付けておく。

トールさんは牽制で左側の2体へ。


刀に添えた左手で(はばき)を押して鯉口を切り、瞬脚で一気に間合いを詰めた。

横合いから紅い鉤爪の横薙ぎ二閃。

頭を狙った軌道をスウェーで躱して、崩れた体勢を利用して抜刀一閃!

軽い手応えを残して硬質に輝くシュピーゲルの前肢の鉤爪が宙に舞った。


振り切った勢いで左脚を引き付けて右脚一本で再び瞬脚。

弧を描いた切っ先が、もう一体のシュピーゲルのガラ空きの腹側を斬り裂いた。


甲高い叫声をあげて仰け反った巨体の向こうから、最初の一体の前肢が四本同時に襲いくる。

コイツ、関節が1個多い!?

予想の軌道と違う変則的な動きだ。


瞬脚で勢いにのった加速。

左足で蹴って強引に軌道をずらして柄尻を左手で引き絞り、二本を袈裟にとばして攻撃を躱す。

不十分な足捌きからの斬撃だ、与えた傷は極々浅そうだな。

完全に斬りとばすには上手く関節を狙わにゃあかんぽいぞ。


どちらもまだまだ致命傷ではなさそうだけど、それでも戦闘力は幾らか下げたはず。

チラリとウーバイの方を見ると、予定通りジリジリと後退し始めている。


「チャコどのも、すでに下がり申した! 」


よしよし、これで八割がた成功だ。

真ん中の3体のうち1体は既に無力化しているのか追撃に加わっていない。

残りの2体をこのまま引っ張って、巣から離す。

頃合いで討伐して魔石を持ち帰る算段だ。


カミーユさんの絶妙なヘイトコントロールは、さすが盾本職。

横合いからチクチクとちょっかいを出すトールさんとブルーダの攻撃に苛つきながらも、順調に2体のシュピーゲルを釣り出してきた。


「このまま下がったら、ちょっと拓けた場所に出るッス!」


おあつらえ向きだ。

このまま行くぜ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。