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家を、さがせー

いつもの裏路地を使って、リオレの中心街へ。

リオレ冒険者ギルド本部へ向かう。


(のう、おぬしよ )


その道すがら、腰の元魔王がいつもよりワントーン低めの声で話しかけてくる。

なに? やだよ何かフラグたてるんじゃないよ。


(おぬしのその魔力の値? が低いのは、おそらく妾の影響ではないか、と思うてのう)


あら、そーなの? なんで??


( 今、おぬしと妾は、 その魔力、、というか魔素を介して繋がっておる)


ふむふむ。


( ぶっちゃけ、妾は今、おぬしの魔素を使うて術を編んでおる  、こうして声を飛ばしておるのも妾の術というわけじゃ)


なるほど?


( 自分で言うのも何じゃが、妾の術式は効果も高いが燃費は最悪じゃ)


えー、つまりーー。

トールさんの魔力は、今のとこほとんどキミが使ってるってことかな?


(まあ、全然足りんがの!)


足りてへんのかいっ。

うーん、まあ別にそれでなんにも困ってないからいいけどさ。

お前ポンコツっぽいけど、悪いヤツでもなさそうだし。

あ、ウーバイとか魔力値高いけど?


(あー、あやつの魔素は、 なんかキラキラしとってイヤじゃ)


なんや。  トールさんのは、キラキラしてないんか。。

ま、えーけど。






この世界の冒険者。

いわゆる冒険者プレートとかカードといったものは無くて、登録証という小さな金属板があるだけだ。

ほらあのドッグタグとかいうやつ。

あれと同じように、二枚一組。

コインくらいの大きさの登録証には所属ギルドと氏名、登録日、ランク、認識番号が刻印されている。

二枚あるのは死亡時に一枚は報告用、もう一枚は死体に残しておくためだな。

ちなみに街道の通行税や居留地以外の街への滞在税なんかはコレでは免除されない。

まあ、大した額じゃないけど。


これがB級以上になると、国外でも通用する身分証としても機能する。冒険者ギルドのお墨付き証明というわけだね。

偽造防止の特殊な魔道具らしくて、さすがにコイツの発行は支部ではできないので本部に出向く必要が出てくる。

今回の呼び出しは、そのためだ。


「 あら、トールさんいらっしゃい」


つつましく何の装飾もない本部の扉を開けてすぐの受け付けには、いつもお茶を出してくれるあのお姉さんが居た。

この人、細かい所作が凄い優雅というか、洗練されているというか。。

何となく本社の人事部にいたオネーサンを思い出させる。


「 ゼクスさん、今外してるけど、もうすぐ戻ると思いますから、応接室へどうぞ 」


え、いや登録証の更新に来ただけなんやけど。

ゼクスには用はない。てかなるべく顔を合わせたくない。


「 まあまあ、そんな事いわずに。 いつものお茶を淹れてお持ちしますね?」


あ。応接室っすね。

了解っす。




やべえ、あのお茶美味そうに頂いてたのバレてた。

いやあれホントに美味いんよ。

なんていうの? ジャスミンティをもう少し香ばしくしたようなエエ香りでさあ。


コレ、どこで手に入れてるんやろか?


「あら、西門街のテルビア商会よ? トールさんこのお茶も王都から護衛してきた筈なのに、 」


え?ああそうなん?

全く知らんかった。。

今度、買いに行こーっと。



そういえばB級って、ギルドからの強制依頼があるんすよね?


「 ええ、昔はありましたけど、今は月に最低一度以上斡旋を受ければペナルティはありませんね、」


あれ? そーなんや。

喋りながらもお茶の用意の手は動いている。

ひとつひとつの動きが丁寧というか、綺麗だよな。

ずっと見ていられる。


「どの斡旋を受けるかは、あくまでトールさんの自由ですから、」


とはいえ、断りにくい依頼もあるよなあ。

貴族絡みとか、軍絡みとか。。


「そのあたりの説明もゼクスさんから、されると思いますよ、」


あ。エエ香りが漂ってきた。

妙に落ち着く香りだよなあ。。


「 それよりトールさん、家を探さないとダメですよね?」


コトリと目の前に置かれた茶器からの香りにうっとりとしてたら、なんかサラっと言われた。


え? なんでぇ??






「 ああ? 家??   ・・・ひょっとしてお前まだ宿屋暮らしなのか!? 」


目の前のソファに深く腰を下ろしたゼクスが、最大限の呆れ顔でため息をついとる。

だってアンタ、何度も【運河の畔亭】に言伝て届けとるやん。

まあ多分、『トールに伝えとけ』の指示出しとるだけなんだろうけど。


てか、なんで家なのさ?


「クラスB以上は緊急招集の対象でもあるからな。 お前の場合はリオレ所属だから、リオレ街区内に居住地を持ってないといかんのだ 」


えー。 まあ確かに宿屋暮らしの上位冒険者なんて聞いたことなかったけど。

そーいう決まりがあるんやね。。

借家じゃダメなんかな?


「 もちろん借家やアパートでも問題はありませんよ? 」


二杯目のお茶を置いてくれたお姉さんが、察してくれたのか、さり気なくフォローを入れてくれる。


「というか、だいたいのもんはパーティなりクランなりに所属しとるからな 」


まあ、確かにチャコはあの三人で共同で住んでるはずだし、バースくんも【民の護り手】のクランハウス住みだもんな。

やべえ、トールさんだけ住所不定やん。。


「ギルドでもいくつか物件の斡旋は出来ますが、商人さんのほうが色んな物件を持ってるでしょうし、ねえ」


商人かー、。 正直とある一人を除いてあんまり付き合いないんだよなあ。。

ずっとソロでチマチマ稼いできてたから、護衛依頼とかも直に受けた事とかないし。


てか、アパートみたいなの借りるとして相場ってどれくらいなんだろうな。

【運河の畔亭】が1泊朝食付きで0,5ソルだから、ひと月で15ソル。金貨15枚だ。


「金貨15枚出せば、西門街なら一軒家が借りられますね 」


あ、そんな感じなんや。

まあ金貨一枚が、だいたい一万円くらいの感じだから、現代日本の地方都市くらいの相場感か。

や、一軒家とか必要無いけどな。


それでも年収的にはまあ問題はなさそうな感じ。

問題あるとすれば掃除洗濯とかかな。

余計なモノさえ増やさなければ【気化】でちゃっちゃと済ませる事は、、できるかな?

やってみな分からんか。


「まあ、なるべく早いうちに決めて、コッチに知らせろ  あとその他の注意点はな、、、    」


うーん、面倒くせえなあ。

いーじゃん、別に宿住まいでもさー。



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