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作業ゲー

無人の廃墟となった離宮の門をくぐり、前庭を抜けて建物沿いに中庭へ。

百年二百年前の建造物なのに新築のように綺麗。

すぐ近くで湧き続ける魔素の影響で、風化しないんだそうな。 

月明かりだけの夜というのと、無人のせいで余計に荘厳な雰囲気だな。

まあ、王族の別荘として造られた離宮だからな。

門もデカいし前庭も広いし、中庭も相当に広い。

広くてデカいものは荘厳に見えたりする訳だ。


もちろんその間もボチボチとダークスケルトンアーマーが出てはくるけど、片っ端から【気化】で元魔王のエサにしていく。

とは言っても全部で20体ちょいくらいかな。


黒い骸骨なので夜道では見えづらい。 だけど気配察知で何となくわかるし、目視して【気化】が発動するまでのタイムラグもほとんど無いので、感覚的には小学生プラグラマーの作ったPCゲームみたいな感じ。


はいっ出たー。 ほい、【気化】ーー。

はい吸ってーーーー。



ただ、湧いてくる数が圧倒的に少ないのは、本当に打ち止め間近なんだろうか?

この黒い骸骨軍団を操っているのが、その封印されてる何かなんだとしたら、ちょっと申し訳なくなってきたな。

 

「 も、もうまるで作業、ですな。。。。」


ウーバイくんの顔が引き攣っているし、読んでる人も呆れてるだろうけど、トールさんの知ったこっちゃないから。

無視だ、無視。

こんな作業ゲー、作ったヤツが悪い。


(いやー妾、本当によい下僕に拾われたもんじゃの)


アーマーを吸い取る度に確実に少しづつ重くなっていく背中の元魔王。

最初の頃と違って今では見た目よりずっしりと重くなってきている。

コレ、そろそろ産まれるんやない?


【剣使い】の派生スキルの重量操作。

これほぼ常時発動型なんだけど、操作というくらいだから任意でオンオフができる。

ロングソードとかだとインパクトだけ重くとか出来る仕様なんだろうな。


その重量操作をオフにすると、装着しているボディバッグの肩があり得ないほど食い込むんよ。

どうだろ、軽くみても14、5キロくらいあるんじゃないかな。

あんなに軽かったのに。ずいぶん太ったもんだ。

まあ基本的にはオフにすることなんてないので、そこまで重くはないんだけどさ。


(なんじゃ、おなごの目方を測るとか無粋なヤツよのお、)


いやいやええんよ。

たくさん食べて大きくおなり?




そんなこんなで、広ーーーい中庭を抜けて建物の間を通って、裏手の庭園へ。

石造りのテラスや東屋の配置された中庭と打って変わって随分と殺風景な感じがする。


もうすぐ夜明けなのか、空の端が少しづつ明るく染まってくる。

もう完全にアンデッドのリポップは止まってるみたいだな。 心無しか淀んでいた空気も随分とましになってきてるようだ。


でもそんな周りの落ち着きに反して、感じ取られる大きな存在の気配は益々強くなってきている。


隣の砂丘から侵食してきてる砂が薄く堆積しているその裏庭の奥。

ひっそりと佇む小さな礼拝堂のような建物から、気配察知をビリビリと痺れさせてくる殺気のようなモノが突き刺さってきてるんだよな。


「 なんと言うか、凄まじい怨嗟怨念 ですなぁ」


言いながらもブツブツと小声で経典の文句を垂れて目を閉じ祈るウーバイくん。

その怨嗟という表現は、トールさんも激しく同意するよ。

何ていうのか、胸の奥に直接手を突っ込まれて魂を握り潰されるかのような不快感。

頭の中に延々と憎しみや哀しみ怨みなんていう負の感情が流れ込んでくる。


並の精神力なら、この気に当てられただけで発狂してしまいそうになるんじゃないかな。。


とはいえトールさんにしてみれば、ただのお気持ち表明に過ぎんしなあ。

なにがそんなに憎いのか恨めしいのか知らんが、ウチの元魔王がご所望なのでねー。


はい、お邪魔しますよ っていうノリで、扉に手をかける。

まあ当然、開かないわな。

有無を言わさず【気化】。 重ねて【気化】。


重そうな石の扉も、なんの抵抗もなく消え去ってしまう。

耳をつんざく悲鳴のような激しい波動が襲ってくるけど、、物理的には何の障害にもならん。


一歩足を踏み入れた瞬間、鼻の奥にツーンと刺激が走る。   

これは、アカンやつや。

本能的に目に映る範囲全ての空気を、【気化】する。


(  ほう、 瘴気とはの、)


元魔王も感じたのか、囁きが頭に響いた。


(上位アンデッド 、、だったのかのう)


部屋の中は小さく質素な一部屋のみ。

その一番奥の石組の祭壇に浮かぶ魔法陣の上に、ゆっくりと回って浮いている、脚付きの黒い盃が見える。

うへえ、よく見ると器の部分頭蓋骨やん。

趣味わるぅ。



☆骸骨王の黒杯(封印)

☆等級 S+

☆LV ―――

☆かつて世の滅亡を願った孤独な王の成れの果て。

 強大な怨嗟の思念は滅すること能わず。



うわ、なんか中二っぽいのキタ。

昔の誰かが処理に困って閉じ込めた、とか。

丁度ええから、廃棄する離宮に押し込んでおいたろ的な感じだったんかな。


( むーん、 いつの時代の封印か知らぬが、なり振り構わず強引にフタを締めたような封印式じゃな)


へー、そんなの分かるんだ。

さすが、オルバさんのいうトコの 魔導の至極。

あれ、至宝? なんだっけ??


( 見れば解るじゃろ? アチコチ綻びがあるゆえ、隙間から外にちょっかい掛け放題じゃ)


いや、解らんがな。

つまりこの【砂の宮殿】の奥にある廃墟をスケルトンの巣窟にしてるのは、やっぱりコイツの仕業ってコトなんか?


「と、いうか拙僧、吐き気がしそうですぞ」


あ、ウーバイくん。 顔面が白っぽくなっとる笑

いや笑い事じゃないよね。 変な汗でてるもん。

トールさん平気なんだけど、。。


なあなあ。

コレ、【気化】しちゃってええのん?


( ああ、構わぬぞ? コヤツの拠がこの小屋から妾の肚の底に変わるだけじゃ)


それ、大丈夫なんか?

変なもん食わせて、あとでオルバさんに怒られるのやだよ?

あの婆さん(熟女)なんでも凍らせようとすんだもんよ。


( おぬし妾を何だと思うておるのじゃ。。 これな程度の呪詛に、どうこうされる破王ではなないぞえ)


なんて言うけどさー。

イマイチこの元魔王、信頼できんのよね。

時折垣間見えちゃう小物感、的な?


(  おぬし、本っ当に失礼じゃな 。。  )


てかさ。

このナントカの黒杯って、一応中ボスくらいの格なんだよな、、たぶん。

なのにさ。何かすんごく中二っぽい設定まで出てきたけど、セリフもないし、見せ場も無い。

ええのん? まともなバトルも無しでさ。

異世界転生モノの定番展開とか、、、やらんでさ。

ほんと、コレ読んでるヒト怒るでマジで。


( 此奴本体にそんな力があれば、そもそもこんな雑な封印くらい簡単に抜け出しとるわ  夜が明けて眷属を召喚できん以上、単なるややこしい呪物程度のもんじゃの )


え、えらい言われようやな。

なんか、、気の毒にすらなってきた。



まあ、ええか。      【気化】。




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