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地鎮祭

【砂の宮殿】

そのエリア名の元になった宮殿は、元々は王族の外宮だった所だ。

まあ、別荘地って感じだな。

低めではあるが城壁があって、石門をくぐり街の中へ。

道幅が広く、真っ直ぐに宮殿へ伸びる大きな通りを進んでいく。


当然、野中の一軒家ってわけにはいかないので、大きな宮殿本体を取り囲むようにその他の施設も合わせて整備され、さながら小さな街のようになっている。


それがリポップスポットに呑み込まれて誰も住めなくなってしまったわけだ。

リポップスポットとは、魔素の湧き出す場所でもある。

魔素は、それ自体は全く害の無いものではあるけど、長い間濃度の高い魔素に触れていると有機物無機物を問わずその性質を変性させるとも言われている。


この街も、遺棄されてから数百年は経っているはずなのに、まるでさっきまで誰かが住んでいたかのように整然としている。

全く風化していないんだよ。


「いやはや、全く人の気配の無い街というのも、もの寂しいものですな」


いや、寂しいとかより不気味でもあるよな。

まるでB級ホラーの街みたい。


(なんじゃおぬし、ビビっておるのかえ?)


まあ、ホラー映画は正直あんまり好きじゃなかったなあ。

映画はガン◯ムかハム〇郎しかかたん。


とりあえずこの宮殿跡で、日暮れまで待機だ。

アンデッドは、太陽が沈まないと出てこないらしいからなーー。

大きな通りの真ん中に陣取って、暮れていく夕陽を眺めてみる。

【無限収納】からウーバイくんから預かった荷物を出して渡す。

何か準備があるんだそうな。


アンデッドって、どれくらい出るんだろーなー。

ワサワサ湧いて出てきたら、流石にしんどい気がするんだけど。


( 気配は、強いのがひとつあるのう あとは、雑魚じゃな)


あ、そーなんや。

トールさんの気配察知には、ピクリとも反応ないけど。 まだ寝てんのかな??


(レイスなら、面白いのう。 おぬしら二人揃って物理特化じゃろう?)


あー、レイスは宙に浮かんでるからなー。

遠距離の攻撃手段がないと難しいよね。

あ、ちなみにアンデッド系はコアと呼ばれる魔石を覆う器官を破壊しないと何度でも再生してくる。

物理攻撃では、このコアの破壊が必須なのだ。


でもね、そこら辺は問題ないのよ。

ギルドの資料によると、この宮殿に出るアンデッドはスケルトン系のみだ。

ヤツラは空を飛ばん。


(なんじゃつまらん。。 せっかく妾が助けてやろうと思うたにのう)


え? できんの??

ああ、でもこの前は結界張ってくれてたもんな。


(ふふふん、そうじゃぞ? もちとこの破王を頼ってもよいのじゃぞ?)


「 ははははっ、 破王どのには申し訳ないですが、今回は出番はありそうにないですぞ」


持ち込んだ荷物から何やら出してやっていたウーバイくんが、ドヤ顔でにこやかに戻ってくる。


「祭祀教謹製の聖灰による方陣結界ですからな。 並のアンデッドでは近づくことすらままなりますまい」


ウチらを中心におよそ5メートル四方の正方形が2つ組み合わされて八芒星の形になっている。

見た感じ、ただの黒い落書きみたいなもんだけど。


「なんと嘆かわしい! 大いなる地母神様の御業を落書き呼ばわりとは、」


あー、はいはい。

地母神さまバンザーーーイ。







地平線に太陽が沈むと同時。

辺りの空気が、一瞬で澱んだ重苦しいモノに変わった。

あー、気配察知に引っ掛かったわ。

コレか強いのって。


「来ますぞ!」


わずかな地面の振動に続いて、辺りにうっすらと冷気が漂った。

ぼんやりとした黒い煙のようなモノが石畳の地面から立ち上がると、やがてそれが集まってヒトの影になる。

ある程度影が濃くなると、ガチャガチャと乾いた音がそこら中で鳴り始め、影はそのままの黒い色の骸骨へと姿を変えていった。


うーん、壮観だなあ。

弱々しい青い光が明滅するコアが肋骨の中に見えてまるで動く提灯のようだ。

最初は空気が重苦しくて寒い感じもしたけど、今はそれほど感じなくなった。


「 結界が効いておるようですな 」


なるほどね。

言われてみれば描いた時は黒いチョーク線みたいだった八芒星が、今は淡く金色に光ってる。


コレ、耐久性とかどうなんやろ?


「聖職者が聖灰で大地に刻んだ紋でありますからなあ。 余程強力な霊力でもなければ、消える事はありませんな。」


おお、ドヤったはるわー。

とはいえ、線こすったり気化で飛ばしたりしたらどうなるんやろ。やらんけど。

いや、フリとかじゃないからね?


そうこうしているうちに、粗末な武器を持った黒い骸骨どもはウゾウゾと結界の周りに集まってくる。

これだけ集まれば、カチャカチャと硬い骨が擦れる音が相当うるさい。


祭祀教の説法によれば、アンデッドは生者の気配を求めて彷徨うって言われてる。

トールさん達は、さぞかし美味そうな気配なんかねえ。


ん。あれ??


骸骨ども、一定ラインからこっちに入ってこないけど? トールさんのイメージでは結界に触れた途端に、ジュっ、って消し飛ぶ感じだったんだけど。。


なんて戸惑ってたら、ウーバイくんが鉄棍を抱えて無造作に結界の外に出た。

次の瞬間、無言で横薙ぎに振るわれた鉄棍が数体まとめてコアを砕いて散らした。

続けて次撃、三撃とまるで草でも刈るかのように一方的に鉄棍を振るっていく。

骸骨どもが何体か固まったタイミングで行われる作業のようだ。


ウーバイくんの身体は骸骨どもが近づけない結界の効果範囲にあるので、本当に一方的。

コレ、いーんか?コレ。


(  のおぉおお、善いではないか、魂に染みるようじゃのう♪)


腰に下げた元魔王の歓声が聞こえてくる。

うわ、めっちゃ吸っとる。

渦巻いとるやんけ。


な、なあ、 ウーバイくんよ?

コレ、ズルくない??  運営に怒られるで?


「 、はて? 我らの地鎮の儀式と然程の違いはありませんぞ? 浄化するか討伐するかの違いはありますが、、」


あーー、。  地鎮祭なんか。コレ。

まあ、プロがそう言ってるなら、、いっか。


元魔王、さっきからむほーとかやふーとかしか喋ってないし。。

食い物頬張ってる時のチャコみたいや。



トールさん、 出番あるんかな??


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