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メリッサ姉さんは、コワかった

ガタゴトと揺れる度に響く振動。

もう慣れたけど、馬車の荷台に揺られての移動は、つらいんだよな。。


「 あー、マジたりぃ。。」


同じ荷台で、流れる景色を死んだ眼で眺めてるバースくん。

こらこら、一応試験なんだからさ。

今も監督官兼任のA級のオネーさまがチロリとチェックしてたよ?


「  なーんで俺らが騎士団のケツ持ちなんだよなぁ? おめぇもそう思うだろ??」


ヤメて? トールさんを巻き込むんじゃないよ。

てかこの振動で喋ってて、よく舌噛まないな。

その犬歯で舌噛んだら、えらい騒ぎになりそう。


「まあまあバースさん。 それだけ期待されてるってコトっ、 ですから、。」


トールさん、このアホの子の仲間じゃないからね?

しっかりとアピールしとかんと、巻き添えはごめんだからな。

さっきから寝た振りしながらも、監督官のオネーさんはこっちをチェックしてるんだよ。

ブラック上司に『落ちたらクビ』とか言われてんだから勘弁してよホント。


( なんじゃ? おぬしクビになるのかえ??)


あー、もうひとりアホのコがおったわ。。

腰の呪物ナイフがブルブルしだしたよ。


そーそー、クビになっちゃうのよ、キミの持ち主。

もしそうなったら、キミもイロイロ困るかも知れないからね。


( なんじゃ、ピンチではないか!?  よし、ココは妾がひとつサクッと片をつけてやろうではないか。 のう?  どれどれ広範囲の殲滅魔プッ)


あー、できれば大人しくしとこうねー。

【無限収納】in っと。

代わりに前に買った短刀を出して腰につけ直す。

呪物ナイフのが軽くて良かったんだけどなあ。


【剣使い】の剣扱いになる刃物が意外とシビアで、一番軽くて邪魔にならないのがこの短刀だったんだよな。

とはいえ無垢の柄拵えで革鞘のこの短刀でも呪物ナイフの倍ほど重い。

見た目はずっと重そうなのに、あのナイフは異様に軽いんだよな。


「お前は、随分落ち着いているではないか?」


監督官のオネーさんが目を閉じたまま口を開く。

CVはクシ◯ナ殿下の榊原◯子さんだな。


☆メリッサ・ルナイフス

☆種族 ヒューマン(女)29才

☆職業 冒険者(ランクA)

☆体力 A−

☆魔力 A

☆耐久 B++

☆敏捷 A+

☆知性 A+

☆運勢 B+

☆加護 風精の加護

☆所持スキル 【魔弓術】


チャコが所属するクラン【神樹の集い】の幹部のひとりだったよな。 まじツヨや。

あんまりトール氏とも、もちろんトールさんとも絡みの無いヒトだ。

だって、いつもこんな感じで怖そうなんだもん。


「 いやー、不安なんですよ?これでも。」


とりあえずこの場では、彼女は試験の監督官も兼任している。

ヘラヘラ笑って誤魔化しとくのが無難だな。


「 チッ、気に入らん  。」


ええええぇ。

めっちゃ不機嫌さんですやん。

トールさん、【神樹の集い】に嫌われる事とかしてたっけ??


まあ【神樹の集い】は女性パーティのみで構成されたクランだからな。

もともとそんなに付き合いは無い。

【鎚の響き】みたいに受注した依頼を外部委託するような事もしない。

クランリーダーとトール氏は、確か同郷で交流があったみたいだけど、トールさんになってからは、まだ会ったことがない。


いや、嫌われる要素がないんやけどなあ。


メリッサさん、舌打ちしたあとはまた目を閉じて寝たフリだしなー。

バースくんも流石に食ってかかる様子もないから、もう放っとくしかないけどさ。


この馬車には3人しか居ないんだから、あんまり殺伐としたのも、ねえ。




今回の依頼、、いやトールさんにとっては昇級試験か。これが結構な大所帯だ。


集合場所にあったギルドの馬車は、全部で6台。

馬車には大小色々あったけど、1台に平均4名が分乗しているとして、単純計算で20人前後の実行部隊が動いていると思われる。

規模からして、アタック要員はその半分くらいか。


事前に聞いていた山賊団の規模が、約30人ということなので、まあ『優位な数で押し潰そう』ではなくて、『少数精鋭で、側面から叩こう』というプランだよな。

もちろん後詰めの人員は居るだろうけど、騎士団の討伐隊が100名以上の規模なのを考えると、ホントに少数精鋭だ。

情報漏洩の課題もあるから、コレはこれでひとつの解といえるんじゃないかな、と思う。


目立たないように馬車も分乗して、隊列を組まずに

合流地点まで進む作戦らしい。


集合場所では【民の護り手】のキャンデラさんや【鎚の響き】のデシニアさんも居た。

あと、何故か怪僧ウーバイくんまで。。。

皆それぞれ別働隊で合流地点まで向っているみたいだけど、、なかなかにカオスな混成パーティだ。



そんなこんなで朝から半日ほど馬車に揺られた所。

街道から少し逸れた林の手前で、トールさん達3人は、馬車を降りた。






そもそも今回の発端となった山賊団が主なテリトリーにしているこの街道は、海沿いの港町ノーズヘッドからひと山隔てて内陸にあるリオレを結ぶ一本道だ。山越えルートだが、そんなに険しい山ではなくて、起伏の激しい森、といった感じか。

現代日本なら、丹沢山塊くらいの感じかな。


海からリオレへの主な輸送路は、大河レストラを経由する運河ルートだが、この街道はサブルートとして整備された短いながらも古くからの街道だ。

いわゆる主要な街道にあたるので、そういった街道には本来なら何か所かに軍の砦や駐屯地が置かれる。

もちろんこの街道にも一箇所駐屯地があったのだけど、近年の軍縮でそれが廃止されたらしい。


で、街道の管理管轄も国軍から領軍へと移行されたってわけ。

まあ正直、リオレ領の私軍なんだから規模的にはショボいよな。


そら、悪い奴らは目をつけるよね。

絶好の狩り場じゃん。



そんな訳で、その山賊団が根城にしていると報告のあった山を正面に捉える谷を挟んで反対側の山にトールさんとバースくん、お目付役のメリッサさんの3人が辿り着いた頃。

すっかりと陽が傾いて山の中は薄暗くなっていた。


あ、気配察知には谷の下の方にもう2人。

おそらく別働隊の冒険者だろうな。


「 我々の役目は、ヤツラの後方攪乱だ」


目も合わさずにメリッサさんが言った。

まあ、真っ暗だからよく見えんけどね。


C級までは昇級に試験はない。

冒険者としての総合的な力量がギルドに認められれば、あがっていくわけだ。

これが、B級になるとそれぞれの専門分野での力量が重要視される。

アタッカーは攻撃力、タンクはヘイトとダメージの管理、サポーターは判断分析能力や行動力など。

トールさんは一応剣士なのでアタッカーだが、サポートもこなせるマルチアタッカー。

バースくんはガッツリ斥候役のサポーターだ。


「 いいねぇ、そーいうの得意だわ、オレ」


だよねー。

キミ、足音しないもん。


「イキがるなよ、犬ッコロが 」


あちゃー。

獣人族は動物扱いされるのイヤがるからなあ。

今のひと言、要らんよな。。

 

隣のバースくん。

こめかみに青筋立ててる気配がビンビン伝わってくるよ。

 

「攪乱役は他にもうひとパーティ。 時間差と距離を開けて行動する。」


まあこのオネーさんA級なんだし、C級のバースくんなんて片足立ちしてても勝てるんだろうけど。


「先行がバース、 後にトールと私が続く。」


あ、もちろんトールさんも瞬殺されちゃう組だよ?

スキルバフ状態のトールさんならステータス的にはいい線行くかもしれんけど、実際にヤッたら中遠距離で潰されて終わりやな。

このオネーさん、割とマジで容赦なさそう。


「一気に下って駆け上がるッ! 遅れるなよ?」


弾かれたようにバースくんが隣から消えて谷へ突っ込んで行った。

うーわ、めっさ早っ。置いてく気満々やんか。


もー、だからコレ試験なんだって覚えてる??


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