ポンコツまぞくがなかまになった
☆魔凰女ステリアの魔石(復活中)
☆等級 S−
☆LV ???
☆無念の最期を遂げ、呪いを発動し終え役割を果たした魔王族の魔石
うむ、善いのぉ。 やはり同属性の魔素は甘露よ。
心なしか力も蘇ってくるようじゃ。
腰に差した呪物ナイフにどんどんと流れる、アラクネだった黒い霞。
まるで超強力ダイソン笑
アラクネが何属性なのか知らんが、日本人がコメ食って元気になるみたいなもんだろか。
あ。アメリカ人なら冷凍ピザな。
まあ、気に入っていただけたようでご満悦だな。
今朝から【迷いの森】でアラクネ狩りを開始して、もうすぐお昼くらいかな。
手持ちのマップではもう既に記載がない空白地帯に入っていて、ほぼほぼエリアの最深部まで来た感じ。
一応目印はつけてきたけど、無事に帰れるのだろうか、ちょっと心配。
アラクネは、、もう何匹狩ったのか分からんくらい斬った。
途中から数えるのが面倒で諦めたけど、多分100は越えてないとおもう。。 たぶん。
そんで、全部呪物ナイフに吸われた。
魔石もドロップ品も、落ちる前に全部吸われる。
いま最後に倒したのは、ちょっと大物だったみたいだけど、高LVのスキル【剣使い】と日本刀の組み合わせの前では全く相手にならなかったな。
鎧袖一触、てヤツ?
最初の頃こそ【気化】で無力化することが多かったが、普通に剣技だけでも圧倒的に優位に対峙できると気がついた。
アラクネの攻撃は前肢の鋭い鉤爪による斬撃と、口から吐き出される粘性の高い糸の塊だ。
鉤爪の攻撃は、まあ長柄の刃槍の間合いだな。
高い位置から振り下ろされる斬撃は、当たれば確かに致命傷だ。 偶にこの爪に毒が仕込まれている個体もあったりする。
でも振りも大きくて軌道も単調。
関節の可動域だって決まってるんだから予測も容易い。
何より槍の柄にあたる肢部分の甲殻がトールさんの攻撃力の前では、ひどく脆弱だ。
まあ、あの巨体を跳ばしたりさせるためには軽くないとあかんやろしな。
刀の一振りで斬り飛ばせる。
攻撃に使う肢は前の二本だけで、その次の前肢は防御にしか使わんみたいだ。
そもそも鋭い爪が一番前の二肢にしか付いてない。
八本も脚があるんだから、もっとトリッキーな動きをかましてくるかと思ったら、意外と淡白だ。
縦方向の動きもあるのが、厄介といえば厄介かな。
粘りの強い糸をネットみたいに吹き出す攻撃は、これも食らえば動けなくなるので厄介だが、吹き出し前の予備動作が大きい。
射出軌道も真っ直ぐ前なので、【剣使い】のバフ効果と体捌き(オート)の前では牽制くらいの役にしかたってない。
懸念だった刃と刀身の耐久性も、【剣使い】の効果なのか、この刀が強いのか、今のところ刃毀れも曲がりもない。
無銘の習作とか【ステータス確認】には出てたけど、さぞかし腕の立つ刀工の習作なのかな。
トール氏記憶でもほとんど闘った記憶がないアラクネだったし、見た目もアレだけど、闘ってみるとそれほどでもない雑魚キャラだった。
(そうやって油断しとるとほれっ)
そんな声が脳裏に届くと同時。
振り向きざまに横一閃に薙いで、そのまま転がるように間合いを取る。
さっきまで居た所に二匹のアラクネが降ってきて前肢を突き刺した。
(ほれほれ、いわぬこっちゃないのう)
んー、なんだ?この声。。
なんとなく聞いた覚えも、あるような。
新たな敵襲も、瞬脚半歩で間合いに捉えて斬り刻み、トドメに頭を割る。
まるで熟達の武人が繰り出すような剣閃が流れていく。
我ながら、気分は旅団のノ〇ナガかワン〇ンマンのアト〇ック侍だ。
アラクネの死骸は、やや遅れて黒い霞になってたなびき、そして当たり前のように呪物ナイフに取り込まれていく。
(んーーー、善いのう、染みる味じゃ)
やっぱり。。
コイツとうとう喋りだしおったで。
頭の中に直接届くような声だ。
異世界定番の、念話ってやつかな。
(コイツ、、とは礼がなっておらぬのぅ。 )
(破界の王の御前であるぞぇ? 畏れ崇めよ)
うーん、やっぱヤバい奴なんかな?
てか今の身の上を理解できてない、ただのアホ説も
浮かんでくるな。
(アホとはなんじゃっ! おぬし、妾をバカにすると、、あ、アレじゃぞ )
あ。 ごめん。
アラクネも一匹きたわ。
腰のナイフと脳内会話しながら巨大クモと戦闘とか、とんだ舐めプやな。
初めてのリザードマン戦で逃げ出したあの頃は、何やったんやろか。。
( ぷーくす、プフッ アレは傑作じゃったのぅ)
やかましいわ。
こちとらついこの前まで、ただの会社員だわ。
トール氏の記憶が無かったら病んでたわ。
てか、口にしなくても思っただけで伝わるとか、便利なんだか不便なんだか。。
それにしても、背後から音もたてずに近づくアラクネの一挙手一投足が読み取れる。
不思議な感覚だけど、コレ多分スキルがLVアップしてるな。絶対に何か派生スキルが生えとる。
握りを返し、上腕を反らして溜めをつくり、振り向きざまに縦を一閃。
ちょうど前肢を振りかぶったアラクネを斜め下から上へと逆袈裟に斬り裂く。
頭と胸の間くらいにある急所を断たれたアラクネは、その場に乾いた音をたてて崩れた。
振り切った刀を鞘に収めて辺りを警戒する。
とりあえず反応は、ない。
てか今コイツ煽り笑いしたよな。
なんや? メスガキ属性か?
ひょっとして、ボディもツルツルぺったんこだったりしてなw
( ぬぁッ!? おぬしどこでそれをっ ?)
おんや、図星かい。
そいやトール氏の記憶のあの焼死体も、えらいサイズがちっこかったもんな。ぷっぷ。
炭化してちっこくなってたんじゃなくて、あの大きさだったんだなー。
(なななななななななにをゆっておるッ? そ、そな訳なかろうっ 妾、ボインボインのムッチムチじゃからなっ!)
ほーー。
じゃ、あとであの魔族婆さん(熟女)に聞いてみよ。
(ッ! おぬしっ 卑怯じゃぞっ! あの者は、アレじゃホラ、か、関係なかろうっ!)
あー、コイツ様、わかった。
語彙力が無いんだな。
典型的な活字読んで育ってこなかったタイプ。
残念ポンコツ魔族(仮)。
わっかりやすいなあ。
テンプレとは、まさにこのポンコツのための言葉だろうな。
(ポンコツとはなんじゃ! コトバの意味は分からんが、絶対におぬし妾をバカにしとるなっ?)
『 ポンコツまぞくが なかまになった 』




