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【剣使い】使ってみた

いやー。

早かった。


リオレから【迷いの森】の手前の野営地まで。

前に教会の錬金術師を連れてた時は、ウーバイくんの【ヒール】を適宜かけてても、朝イチで出て着いたのはそろそろ陽が傾いてくる頃だったのにさ。


今日は昼過ぎにリオレを出て、日が傾く前に野営地に到着できそう。

やっぱ、ひとりだと早いねー。

トール氏の基礎的な身体能力もあるんだろうけど、スキル【剣使い】のバフがかなり優秀だ。



☆【剣使い】

☆等級 A

☆LV 20

☆剣を扱う時に常時発動

重量操作・体力増加・体捌き(オート)・威圧効果(大)・瞬脚



この「剣を扱う時に」の判定が、緩い。

手に持っている時はもちろんだが、腰に下げている状態でも、「剣を扱う時に」扱いになる。

まあ確かに、居合とかは納刀状態からすでに立ち合いの内だもんな。


つまり剣を【無限収納】に収納している時のステータスがこんな感じのトールさんが、、


☆トール・エアリス

☆種族 ヒューマン(男)20才

☆職業 冒険者(ランクC)

☆体力 B−

☆魔力 C−

☆耐久 B++

☆敏捷 B

☆知性 A−

☆運勢 B−

☆加護 運命神の導き

☆所持スキル 【剣使い】【気化】【ステータス確認】【異世界知識】【無限収納】


腰に剣を下げてるだけで、


☆トール・エアリス

☆種族 ヒューマン(男)20才

☆職業 冒険者(ランクC)

☆体力 A+«new»

☆魔力 D«new»

☆耐久 A«new»

☆敏捷 A−«new»

☆知性 A−

☆運勢 B−

☆加護 運命神の導き

☆所持スキル 【剣使い】【気化】【ステータス確認】【異世界知識】【無限収納】


こうなる。。。

なにげに魔力が下がってるのは気になるが、体力・耐久・敏捷が軒並みAだ。

獣人族並みの脳筋ステになっとる笑


体力だけの恩恵かと思いきや、耐久と敏捷まで引っ張られてくれたのは、思わぬ幸運だねー。

どーせ魔法の類が使えないトールさんには、魔力の低下なんてたいした影響もないから。

このステータスで中堅冒険者とか言ってたら、そら詐欺呼ばわれされても文句は言えんな。


で、この剣。

あの呪物ナイフも、判定内なんだよな。

クソほど重いロングソードや、それ程でもないが、まだまだ重い日本刀を背中や腰に下げた状態だと、相当歩き難いけど、異様に軽いこの呪物ナイフならほとんど重さにならないからなー。


【無限収納】のカモフラージュ用ボディバッグと呪物ナイフだけを身に着けた爆速冒険者は、標準の半分程度以下の時間で野営地まで駆け抜けることも余裕でできちゃう訳だ。





「てか、オメーはまたソロか?」


・・バースくん。

相変わらずキミは口のきき方がなっとらんね。

野営地に着くなり出迎えてくれたのは、クラン【民の護り手】の獣人隊長バースくんだ。


「今日は司祭さまはどうしたよ? 早くも愛想尽かされたか??」


この前、【愚者の掃き溜め】でウーバイくんの坊さんトークに、まんまと取り込まれたバースくん。

獣人天性の勘で格上オーラを嗅ぎ取ったのか、今では司祭さま呼びである。

こうやって宗教って拡がっていくんだなあ。。

トールさんはいつになったらお前呼びから卒業できるのだろう。


てか、ウーバイくんはリオレ冒険者ギルド付きとはいえ、本業はあくまで祭祀教の司祭だからな。

週の何日かは教会でのお務めがあるんだよ。


「で?、 オメー、また【小鬼の森】じゃねえだろうなあ?」


「や、明日【迷いの森】を、軽ーく」


バースくんは前と同じで、他に何人も若手の冒険者を引き連れて野営の準備中だ。

おそらくこれまた前回同様に、【小鬼の森】での訓練予定なのだろう。

面倒見がいいなあ。


安心したまえ、キミ達の獲物はとらないよ。

優しいトールさんは、哀れな魔族のお姫さまのために、でっかいクモを狩りにゆくのだよ。


「うへぇ、【迷いの森】かよ。  あんなうす暗ぇとこ好き好んでよく行くぜ。。」


あれ? ひょっとして、虫系苦手??

てか、トール氏もだけどリオレの冒険者に人気ないなあ、【迷いの森】。


それとも、あそこ探索するんなら虫除け香必須だからなあ。

鼻の利く獣人にとってみたらそれだけで嫌がる理由には、なるか。

あれ、独特の匂いがキツいもんな。


「それよかオメー、来週は昇級試験だかんな?

賭けを忘れんじゃねーぞ??」


あー、あったねー。

そーいう強制イベント。。。

もう来週なんだ、時がすぎるのは、早いねぇ。


「 ん? あれ、  たしか今日って、?」


バースくんが何か小首傾げてるけど、、なんだろね?







牧場の牛程の大きさの蜘蛛の魔物アラクネがゆっくりと木々の間を進んでいく。

あのサイズのモノが動いているにしては、ほとんど音らしい音がしていない。

八本の脚を滑らかに動かしてスルスルと器用に藪の隙間を抜けてすすむ。


蜘蛛といえば、蜘蛛の巣。

網のように張り巡らせた糸で、かかった獲物を絡め取るための罠である。

であるが、魔物のアラクネは基本的にこの罠の巣は作らない。

かわりに森の奥深く、高い樹上に吐き出した糸で巨大な繭のようなコロニーを作り、群れを形成する。

群れたアラクネはお互いの感覚を共有し、大雑把ではあるが精神ネットワークを繋ぐという性質を持つ。 

ある一つの個体が感じた興奮や恐怖といった単純な感情を、群れの全ての個体が同じく感じる事ができるというものだ。


そんな群れのひとつを束ねるやや大柄な体躯をもつアラクネは、自らの精神に流れ込んでくる複数の仲間の感情に困惑していた。


戸惑い、畏怖、恐れ。

自分の身に何が起きたか分からないまま消滅していく。 その時に仲間達は何一つ有効な対処策を他に伝えられずに消えていくのだ。

これまでも手強い敵に対しても、仲間同士で攻撃を合わせてやれば、多少の犠牲は出ても結果を出すことができていた。

個がやられても全が生き残れば、それはアラクネの勝利であるのだから。


ところが今は。

群れの仲間に、何が襲いかかってきているのかすらまったく分からないまま。

想定すらしていない未知の力に、ただただ刈り取られるのを待つ事しか出来ないでいたのだった。



やがてアラクネの前に、ソレは現れた。


魔物の本能が、ソレを襲えと駆り立てる。

同時にまた生物としての本能が、逃げろと叫ぶ。


迷ったのは、ほんの一瞬。

次の瞬間には、ソレに向かって跳躍し、撹乱用の粘糸を吐き飛ばして鋭い鉤爪のある前肢を振り上げた。


そのアラクネの意識は、そこで途絶えた。







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