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第33話:駆と優香の灯台下暗しの学園デート(転生同盟結成!!)


「……ふっふっふ。今日の俺は、これまでの俺とは一味違うぞ……!」


俺は電車のシートに深く腰掛け、窓の外を流れる景色を眺めながら不敵に笑っていた。

これまでの数々の修羅場を経て、俺の危機管理能力はついに極限へと達していた。


俺はバカじゃない。同じ轍を二度と踏ない。

事前に掴んだ情報によると、あの前世の記憶を持つコレット、ルカ、リリス、マリア、アキの5人がついに【転生組同盟】を結成して結束を固めたらしい。それに大焦りした白雪詩織たち他の同盟が、今日一斉に彼女たちを呼び出してマウント会議を開いているはずだ。そこで俺が導き出した、完璧な防衛プロットがこれだ。


一、デート場所は下界のファミレスを離れ、休日で誰もいない俺たちの通う『学校の校舎内』にする。

二、これまでのトラウマを一切排除した、奇跡の一般人枠である優香ちゃん(※実はこの学校の卒業生)を必死にリピート指名して、制服姿での学園デートを敢行する。

三、これなら、あの女たちも絶対に追ってこられない。まさに灯台下暗し、大正デモクラシーの如き自由と平穏の境地だ!


「よし、勝ったな。まさか同盟会議を学校の校舎内でやるわけがない。今日こそ優香ちゃんと穏やかな普通のデートを楽しむぞ!」


休日の静かな校舎。制服姿で少し照れくさそうに待っていてくれた優香ちゃんと合流し、俺たちは誰もいない廊下を歩いた。

「駆くん、本当に大丈夫なの……? 誰も来ない……?」

「大丈夫だよ優香ちゃん! あいつらは今頃下界で揉めてるから、この学校は完全な安全圏さ。調理実習の許可も取ってあるから、家庭科室で俺の特製カレーを振る舞うよ!」


普通の会話、普通の笑顔。家庭科室で2人きりでおいしいカレーを作り、あざとくスプーンで小分けにして「はい、あーん」なんて甘酸っぱい時間を過ごした。これぞ俺が求めていた本物のオアシスだった。


――だが、大河内駆の人生は、そう簡単に平穏を許してはくれない。


片付けを終えて廊下に出たその瞬間、俺の視線が、校門からゾロゾロと信じられない勢いでなだれ込んでくる美少女軍団の姿を捉えた。


「な、なんであいつらが学校にいるんだよぉぉぉぉ!!lll」


なんと、あの27名のプレデターどもは、連日のように俺の所有権を巡って暴れすぎたせいで駅前のファミレスをすべて『出禁』になってしまい、集まる場所がなくて途方に暮れていたらしい。そこへ、たまたま通りかかった俺たちの担任教師が彼女たちを発見。「もしかして映画『友達100人』の2作目の打ち合わせですか!?」と新藤監督を前に勝手に大勘違いして期待を膨らませ、「それなら休日の学校を会議室代わりに使ってください!」と、親切心(下心)で校舎をそのまま提供してしまっていたのだ!


「ひっ、ひいいいいい無理ぃぃぃぃぃ!!! 駆くんやっぱり世界の魔王にでも狙われてるよぉぉぉぉ!!! カレーごちそうさまでしたぁぁぁ!!!」

優香ちゃんは、もはや様式美となった5度目の音速脱走を敢行。本当に毎回毎回巻き込んでごめん優香ちゃん、君の尊い犠牲は無駄にはしない!!


「あいつらに見つかる前に、いち早くここからトンズラする……っ!」

俺は気配を極限まで消し、神崎トレーナーに叩き込まれた『完璧な骨盤の連動』を爆発させ、チキンナイフを脳内に完全装備して、全速力で下駄箱へとダッシュを開始した。これならいける、誰にも気づかれていない!!


しかし、家庭科室のドアを出て数メートル。


「フンス! 見つけたわカケル! この濃厚な『駆は王子様カレー』のスパイスのチャクラを、インド帰りの私の嗅覚が逃がすわけないじゃない!」

「駆くん……! 『読書にはカレー』、そしてこの素晴らしいスパイスの香りは……私の脳のデータが、一瞬で駆くんの居場所をロックオンしました!」


「ゲェェェーッ!? カレー好きの2人!!!」


角から猛ダッシュで現れたココちゃんと、図書館の地味子・ひよりちゃんの『カレー好きの2人』に、俺の自作カレーの匂いを完璧に嗅ぎつけられ、一瞬で両腕をガッチリとホールドされてしまった。家庭科室での調理実習デートが、完全に裏目に出てしまったのだ!


「見つけたわ、駆くん! お姉ちゃんの胸の中で、もう一度よしよしの時間よぉ♥」

「新参の転生組に、駆くんの初めての学園デートを渡すわけにはいきません!」


ひよりたちの絶叫を聞きつけた五味プロデューサーや詩織たちが、凄まじい地響きを立てて階段を駆け上がってきて、俺は手足をガッチリとホールドされる。

どれだけ知略を尽くして灯台下暗しの学校へ逃げようとも、総勢22名のクソデカ感情の包囲網からは、物理的にもカレーの匂い的にも『一生逃げられない』という残酷な現実を、我が校の廊下のど真んで思い知らされるのだった。


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