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第二十五話裏話 まひろ視点

私は、方向感覚と常識だけが絶望的に欠落した、自他共に認める大天才癒やし系女優(一ノ瀬まひろ)。

映画『友達100人』に出演した時は、カケルと一緒に『神7』として日本中をフワフワと癒やしていたけれど、さらなる演技の勉強のためにエリカと一緒にアメリカへ行くはずだったの。

だけど、ぶっちゃけ飛行機の乗り換えとか難しくて全然分からなかったわ! 案内板の通りに進んだはずなのに、気づいたら周りが砂漠だらけで、迷彩服を着た怖いお兄さんたちが本物の銃をバンバン撃ち合っている場所に不着しちゃったのよ。

私はてっきり「流石ハリウッド、アメリカの映画のロケはスケールが違うなぁ」って暢気に感動しながら、みんなの心を癒やすために『友達100人』の主題歌を笑顔で歌って踊り続けたの。そしたらなぜか、現地のお兄さんたちが大号泣して銃を捨てて、私を「紛争地域の女神」って崇め始めて、気づいたら国と国の戦争が全部止まって、のーべるへいわしょう(?)っていうのを貰うことになっちゃったの。

そんな私が、授賞式会場へ向かう途中でまた派手に迷子になって、日本に一時帰国しちゃった時に、業界の裏ルートをくぐってみたら大パニックになっていたのよ。

あの白雪詩織ちゃんや西園寺の令嬢、マネージャーやプロデューサー、さらには親友のエリカやココまで、芸能界の最高権力者たち(総勢20名)が、裏で『レンタル彼女』という名の超最先端の道案内を受けながら、一般人になったカケルを血眼で奪い合っているっていうじゃない。

「オーマイガー! 迷子になったらカケルのところへ行くのが一番の正解よ!」

私はカケルに助けてもらうために、爆速でこの位置バグだらけのレンカノサイトに『世界一迷子な最高級キャスト』として電撃登録し、パッション(※ノーベル賞の権威)でカケルの予約枠を力ずくで上書きしてやったの。

そうして迎えた、交番の横の喫茶店での再会。

私は「アカデミー賞の会場はここ?」って大見得を切ってやったんだけど、一般人になったカケルは、私の目をまっすぐ見つめて「それはノーベル平和賞だし、お前はアメリカじゃなくてアフリカで本物の戦争を止めてたんだよ!」って、もの凄くインテリジェンスで冷徹なツッコミを叩きつけてきたの。

私が世界中で誰にも言われなかったガチの真実を、あいつは真っ向から教えてくれて、私の世界の迷子を優しく救い上げてくれたんだわ!

……ジーザス。絶句したわ。

あいつ、一般人のくせに、なんて世界をグローバルに見つめているのかしら……格好よすぎるじゃない……っ!

デート中も、世界の本物の戦場を止めてきた私が、カケルの前だとただの「放っておけない迷子」になっちゃって、カケルが顔を真っ赤にしながらも、私の手をギュッと握って「もう迷子になるなよ」って優しくエスコートしてくれるの。

お外の女の人たちに揉まれて洗練された、あいつのあの無自覚な大人のレディファースト……あんなの、一瞬で惚れちゃうに決まってるじゃない!

道案内の偵察のつもりだったのに、私のハートは完全にカケルのコンパス(愛)に完璧にロックされちゃったわ!

(ハリウッドもアフリカもどうでもいい! カケルの隣が世界一安全な理想郷なら、私が世界から貰った賞金(数億円)を使って、駆くんを私の『専属の案内人(旦那様)』として、一生私のプライベートの部屋に閉じ込めて愛してあげればいいのよね!?)

スマホを見ると、詩織たちが裏のチャットで「ノーベル賞の黄色、コンプラ違反よ!」ってギャーギャー騒いでいるのが見えるわ。

ふふ、お黙りなさい、日本のウサギさんたち。世界の紛争を止めてきた私のパッション(※国際的な発言権)をナメないことね。あなたたちの予約枠、私の世界の首脳陣のコネとマネーパワーですべて『国連決議で白紙化』にしてあげるわ。

待っていなさい、私の愛しい駆くん。

これからは私の、誰よりも方向音痴で、誰よりも熱くて逃げられない『世紀の平和的・ラブストーリー』で、あなたのボッチな人生を完璧にプロデュースしてあげるからね――。


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