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第二十三話裏話 エリカ視点

私は、声と態度とスタイルだけはハリウッド級の、自他共に認める大天才女優(星野エリカ)。

映画『友達100人』に出演した時は、カケルと一緒に『神7』として日本中をブイブイ言わせていたけれど、さらなる高みを目指してアメリカへ演技留学していたの。

だけど、ぶっちゃけアメリカの学校のお勉強は難しくて全然頭に入ってこなかったわ! 1足す1はいつだってパッション(200)よ!

そんな私が、久しぶりに日本にいる事務所の仲間たちの動向をリサーチしてみたら、業界の裏が大パニックになっていたの。

あの白雪詩織や西園寺の令嬢、果ては敏腕マネージャーや大物監督まで、業界のトップの女たちが総勢16名で、裏で『レンタル彼女』という名の超最先端の秘密の演技指導を受けながら、一般人になったカケルを血眼で奪い合っているっていうじゃない。

「オーマイガー! 抜け駆けは許さないわ! カケルの最高の相方は、神7のこの私よ!」

私はカケルをハリウッドに連れ去るために爆速で帰国したわ。あいつらが使っているというレンカノサイトに『帰国子女の最高級キャスト』として電撃登録し、アメリカ仕込みのパッションでカケルの予約枠を力ずくで上書きしてやったの。

そうして迎えた、赤レンガカフェでの再会。

私は「私と組めば200倍よ! 1足す1は200、十倍だぞ十倍!」って大見得を切ってやったんだけど、一般人になったカケルは、私の目をまっすぐ見つめて「それなら全員で集まったら298だから、日本の方がいいのでは?」って、もの凄くインテリジェンスでスマートな計算を叩きつけてきたの。

1(駆)足す1(私)が200っていう私の最高のパッションを、あいつは真っ向から受け止めて、さらに大きな数字で包み込んでくれたんだわ!

……ジーザス。絶句したわ。

あいつ、一般人のくせに、なんて物事をグローバルに見つめているのかしら……格好よすぎるじゃない……っ!

デート中も、私がアメリカ仕込みのハグを仕掛けたら、カケルは顔を真っ赤にしてドギマギしながらも、優しくエスコートしてくれたり、私が知ったかぶりの英語っぽく喋るのを「はいはい、エリカは相変わらずだね」って、全部優しく笑って受け止めてくれるの。

お外の女の人たちに揉まれて洗練された、あいつのあの無自覚な大人のレディファースト……あんなの、一瞬で惚れちゃうに決まってるじゃない!

演技指導の偵察のつもりだったのに、私のハートは完全にカケルの情熱にスクラップ&ビルドされちゃったわ!

(ハリウッドなんてどうでもいい! 日本の方が298倍コスパが良いなら、私が実家のお金を使って、駆くんを私の『専属の旦那様』として、一生私のプライベートのスタジオに閉じ込めて愛してあげればいいのよね!?)

スマホを見ると、詩織たちが裏のチャットで「新参の帰国子女、コンプラ違反よ!」ってギャーギャー騒いでいるのが見えるわ。

ふふ、お黙りなさい、日本のウサギさんたち。ハリウッドのパッション(※親の資金力)をナメないことね。あなたたちの予約枠、私の親のマネーパワーですべて『白紙化』にしてあげるわ。

待っていなさい、私の愛しい駆くん。

これからは私の、誰よりもおバカで、誰よりも熱くて逃げられない『アメリカン・ラブストーリー』で、あなたのボッチな人生を完璧にプロデュースしてあげるからね――。



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