第3話:僕のオアシス、駄菓子屋のつむぎお姉さん
ヤンデレの幼馴染に、ツンデレのお嬢様。
強烈な二連撃を喰らった俺は、完全に疲れ果てていた。
「もうレンカノなんて辞めよう……。いや、でも、最後に一度だけ。レビュー評価で『全肯定・聖母・実家のような安心感』って書かれてる、この『つむぎ』さんって人を信じてみよう……」
これが本当に最後。俺はすがるような思いで、そのお姉さんを指名した。
デート当日。のどかな緑豊かな公園。
「ふふ、駆くん。こっちだよー」
ベンチに座って優しく手を振っていたのは、ふんわりとした麦わら帽子を被り、おっとりとした笑顔を浮かべた黒髪の美女だった。
信じられないほどの包容力オーラが全身から溢れ出ている。
「え……つむぎ、お姉ちゃん……!?」
「当たり。ひさしぶりだね、駆くん。よく私を指名してくれたね。えらいえらい」
彼女は、映画『友達100人』で、主人公カケルをいつも優しく見守る「駄菓子屋の優しいお姉さん」役を演じていた、当時少し年上だった子役・音無つむぎだった。現在は女子大生になっている。
「ええっ!? なんでつむぎお姉ちゃんまでレンタル彼女に!?」
「ふふ、ちょっとね。あの子たちが駆くんを巡って裏でギスギスしてるのを聞いちゃって。駆くん、疲れちゃうでしょ? だから私が、駆くんを甘やかすオアシス枠として登録したんだよ」
つむぎお姉ちゃんは、俺をベンチに座らせると、ぽんぽんと自分の膝を叩いた。
「ほら、お膝、貸してあげる。最近大変だったんでしょ? 頑張ったね、駆くん」
「っ……!」
その圧倒的な包容力に、俺の涙腺が崩壊した。
言われるがままに膝枕をしてもらい、頭を優しく撫でられる。幼馴染やお嬢様に振り回された心の傷が、みるみるうちに癒やされていくのを感じた。
「駆くんは、私の前ではただの可愛い男の子でいいんだよ。また疲れたら、いつでも私を呼び出してね?」
「……はい、また絶対指名します……」
この究極の癒やし(オアシス)を知ってしまったせいで、俺はレンタル彼女という底なし沼から、永久に抜け出せなくなるのだった。




