第十七話裏話 マキ視点
### 【第18話裏:城ヶ崎マキの独白】私の生み出す物語(現実)の主役は、あなた以外に認めない
私は、言葉で世界を支配する脚本家。
映画『友達100人』や『プレデター』、そして最近では『親友100人に絶好されて辺境に追放されたがお前と仲良くするつもりはないと言った100人が溺愛してきます!』まで、世間が「神シナリオ」と座を崇めるヒット作を連発してきた。
だけど、クリエイターの命は儚い。最近の私は、どうして「100人の人間関係」を美しく紡げばいいのか、その本質を見失って深刻なスランプに陥っていたの。何を書いても、ただの文字の羅列。魂が宿らない。
私は藁にもすがる思いで、親友の冴子から「駆が働いているから息抜きに行ってみたら?」と教えてもらった隠れ家カフェに足を運んだの。
そこで再会した大河内駆くん(カケル)は、昔の華やかなスポットライトの下にいた頃とは違って、どこか哀愁を帯びた、友達0人のただのボッチ男子高校生になっていた。
だけど、あいつが私の涙を見て、まっすぐな瞳で紡ぎ出した言葉を聞いた瞬間――。
私の脳細胞のすべてが、ゴウッと爆発するような衝撃を受けたわ。
『友達って、数のために作る打算じゃない。その人本来のあるべき姿を、ただ認めることなんだって』
……ああ、なんて美しいセリフ(言葉)なの。
私の胸の奥に、十年前あいつの演技を見た時以上の、凄まじいインスピレーションの嵐が吹き荒れた。
綺麗にまとめようとしていたから、私の本は死んでいたんだわ。打算じゃない。ありのままの、歪んでいて、重くて、剥き出しの感情こそが、物語を最も輝かせる燃料(愛)だったのよ!
スランプなんて、あいつの一言で完全に消し飛んだ。
それと同時に、私の中の『クリエイターとしての狂気』と『一人の女性としての執着』が、完璧に目を覚ましてしまった。
(私の生み出すこれからの物語の主役……あるいは、私のこれからの人生の主役は、あなた以外に絶対に認めない……!)
あいつをただの取材対象として眺めるだけなんて生ぬるい。
私はあいつの言う「打算のない、ありのままの姿」を一番近くの特等席で観察し、そして私の書いた完璧なデートプロット(台本)で、あいつを私のシナリオ通りに骨抜きにするため、即座にレンタル彼女のサイトへ最上級キャストとして登録を申し込んだ。
「ふふ、あはははは! 最高のプロットが見えてきたわ……!」
PCの画面に映る、駆くんのレンタル彼女の予約ページ。
白雪詩織ちゃんや大河内家の身内たちが裏で必死に枠を奪い合っているみたいだけど、大人の天才脚本家の構成力(裏工作)をナメないことね。あいつらの動きを全部予測して、一番美味しい予約枠を私が書き換えて(上書きして)あげるわ。
待っていなさい、私の愛しいカケルくん。
今日から私が、あなたのために、世界で一番甘くて逃げられない『現実の恋人シナリオ』を紡ぎ出してあげるからね――。




