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閑話もしもし駆が金の斧の話の状況なら(出し抜き同盟編)

金の斧と、一番ひどい回答の同盟資料


「……はぁ。最近、学校でも家でも、どうして俺の周りには刺激の強い女の子しかいないんだ……」


数々の修羅場を経験した俺は、平日の放課後、すり減った心を癒やすためにため息をついていた。

ある日のこと、ふと俺の脳裏に、昔誰もが一度は読んだことのあるイソップ童話の『金の斧・銀の斧』の物語が浮かんだ。そこで俺は、何気ない思考実験と現実逃避を兼ねて、たまたま集まっていた白雪詩織たち【出し抜き同盟】の面々に、軽い世間話のつもりで質問をぶつけてみた。


「なぁ、もしも俺がさ、あの物語みたいに深い泉の底にドボンと落ちちゃって、中から神様が現れて『お前が落としたのは、この金の駆か? それとも銀の駆か?』って聞かれたら、お前らならどうする?」


これが、それぞれの歪んだクソデカ感情(ピンクの欲望)が限界突破した、あまりにもおいたが過ぎる狂気の回答合戦の始まりだった。


まず最初に、西園寺麗華が腕を組んで不敵にフフンと微笑み、教卓代わりのデスクを叩いた。

「そんなの決まっていますわ! 神様が提示してきたその金のカケルも銀のカケルも、西園寺の財力を尽くして『言い値で全て買い取りますわ!』。なんならその神様が住んでいる泉と、その周辺の底地(土地の所有権)ごと丸ごと買い取って、カケル量産型パラダイスを建設して差し上げます!」

「言い値で買い取るな! 泉の底地を買い占めるって地上げ屋の規模になってるだろ!」


続いて、新藤未来がノートを開いて目をギラギラと輝かせた。

「素晴らしいわ、そのシチュエーション! 私はそのチャンスを逃さず、カケルが3人に増えた瞬間をカメラで最高の構図でロックオンして、映画『友達100人できるかな?』の正統続編、新作『駆が100人できるかな?』をハリウッドの予算で制作するわ!」

「映画のタイトルがホラーになってるんだよ! 100人の俺に囲まれる俺の精神生命力を考えてくれ!」


さらに、男装の親友の蓮が、ショートカットの襟足を真っ赤に染めながら拳を握りしめた。

「お、俺は……! 3人に増えたって関係ねえ! 金だろうが銀だろうが本物だろうが、全員まとめてかかってこい! この俺が『すべて力ずくで受け止めてやる!』。……(グヘヘヘ、3人の駆に囲まれて、朝から晩までよってたかってよしよしされる権利は俺のものだ……っ♥)」

「蓮、中身のピュア乙女な本音が完全に漏れてるし笑い方がオヤジみたいで怖いから! あと男友達としてその受け止め方は色々とアウトだろ!」


そんな中、映画では「駄菓子屋の娘役」を演じていた、普段は穏やかで優しい音無つむぎお姉ちゃんが、なぜか虚ろな目でチョコボールの箱を片手にスッと挙手した。

「私ならね、神様に向かってこう言うわ。……金なら1枚! 銀なら5枚!!」

「つむぎちゃん!? それはただのおもちゃの缶詰が貰えるチョコボールのエンゼルの確率だから! 駆の命の格をお菓子の景品と同等にするんじゃないよ!」


全員が当然のように「本物の俺を助け出す」という選択肢をハナから無視して大暴走している。

俺が「もうやだ、誰も本物の俺を心配してくれない……」と絶望で頭を抱えてガタガタと震えていた、まさにその瞬間だった。


一番近くに座っていた白雪詩織が、ハイライトの完全に消え去った暗黒のヤンデレ笑顔を浮かべ、俺の腕をぎゅっと抱きしめながら、スマホの画面を俺の前に差し出してきた。


「ふふ、私は神様になんて何も言わないよ? だって、本物の駆くんは、こうして『今、私の横で幸せそうに寝てる(※ただの不法侵入による実家監禁)からね♪』」


「……え?」


詩織のスマホの画面に映し出されていたのは、今日の早朝、俺が自室のベッドで無防備に爆睡している真横で、お揃いのパジャマを着た詩織が満面の笑みでピースサインを浮かべている、言い逃れ不可能な本物の不法侵入(コンプラ違反)の自撮り写真だった。


「ひいいいいい無理ぃぃぃぃぃ!!! 泉に落ちる以前の問題として、なんで今日の朝、俺の横でお前が寝てるんだよぉぉぉぉ犯罪だろぉぉぉぉまいっちんぐ!!!!」


童話のif(もしも)の話をしていたはずなのに、現実に潜んでいた幼馴染の「一番ひどくて恐ろしい回答(ストーカー実績)」の前に俺は虚を突かれて完全に絶叫。


俺の切実な悲鳴は、所有権を巡って「その写真のデータを消しなさい白雪詩織!」と再び服を脱ぎ散らかしながら火花を散らし始めた麗華たちの怒号にかき消され、日常閑話のはずの放課後は、結局いつも通りのなっからカオスな大爆発乱闘エンドで幕を閉じるのだった。


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