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閑話長編パート18修学旅行編 走れ駆パート2



教師は激怒した。


京都駅の新幹線ホーム。

帰路につく生徒たちの点呼をとっていた学年主任の教師は、手帳を握りしめたまま怒りでプルプルと震えていた。


「またか……またなのか大河内ぃぃぃっ!!」


思い返せば、修学旅行初日。

東京駅で駆が新幹線に乗り遅れ、周囲の「駆大好きメンバー」たちが大混乱に陥るという大惨事が起きた。

『帰りこそは絶対に全員揃ってスケジュール通りに帰る』と固く誓っていた教師にとって、出発数分前になっても駆の姿が見当たらないという現状は、まさに悪夢の再来だった。


「先生! カケルくんは!? カケルくんはどこですか!?」

「ちょっと、連絡取れないんだけど! どういうこと!?」


案の定、駆の姿がないことに気づいた詩織や麗華をはじめとする東京組のヒロイン&家族軍団がざわつき始める。ホームの空気は一瞬にしてピリピリとした緊張感に包まれた。

(※なお、地元である葵は京都駅で先に見送って別行動となっている)


「落ち着きなさい! 今、他の先生が捜して……あ!」


その時だった。ホームの階段の方から、凄まじい足音が響いてきたのは。


「待ってくれーーーっ!! 間に合ってくれーーーっ!!」


本家での怒涛の真実発覚とツッコミの嵐を終え、大急ぎで京都駅までダッシュしてきた駆が、息を荒らせて飛び込んできたのだ。


「大河内っ! 早くしろ! 間に合わなくなっても知らんぞ!!」


教師が叫ぶ。

しかし、現実は無情だった。


プシュー……というドアの閉まる音とともに、新幹線のベルが鳴り響く。駆がホームを必死に走るも、あと数メートルのところで無慈悲にもドアは完全に閉じられ、新幹線はゆっくりと動き始めてしまったのだった。


「ハァ……ハァ……嘘だろ……また乗り遅れたのか俺……」


膝に手をつき、絶望に打ちひしがれる駆。


「はぁ……全く、またお前という奴は……」


教師が頭を抱えて深いため息をついた、その瞬間——。


ガチャ、ガチャ、ガチャンッ!!


走り出した新幹線の車内から、信じられないほどの連続着脱音が響いた。

なんと、ドアが閉まる直前のほんの一瞬の隙を突き、詩織たち東京組の「駆大好きメンバー」全員が、申し合わせたかのような完璧なチームワークで荷物を引っ抱えてホームへと飛び降りていたのだ。


「「「「駆くん(カケル)を置いていくなんてあり得ないでしょ!!」」」」


ホームにズラリと降り立った美女軍団。

走り去っていく新幹線と、ホームに残された大群の生徒たち。


「……あ」


教師はただ、開いた口が塞がらないまま、その異様な一団を呆然と見守るしかできなかった。こうして、初日に続いて帰りも全員で揃って次の新幹線を待つという、前代未聞の事態が確定したのだった。


◇


「よし、気を取り直して次の新幹線に乗るわよ!」


数十分後、無事に到着した次の新幹線へと乗り込んだ一行。

だが、平和な時間が訪れるはずもなく、車内ではすぐさま第二次世界大戦レベルの熾烈な抗争が勃発していた。


「駆くん! 行きは詩織たちだったんだから、帰りの隣は私のものよ!」

「なにいってるの麗華! 私は駆くんの幼馴染で、今回大活躍したんだから隣に座る権利があるわ!」

「ちょっと待ちなさい! 義理の姉妹(家族)の優先権を忘れてもらっちゃ困るわね!」


「お前ら、デッキで大声出すな! 席はくじ引きだろ!?」


自由席の座席を巡り、駆の隣のシートを賭けた泥沼の争奪戦が開幕。

キャッキャと騒ぐ彼女たちの熱気と執着に包まれながら、東京へと向かう帰りの新幹線は大いに賑わったのだった。


過去のトラウマを乗り越え、母の秘密を知り、重すぎる愛を持つ仲間たちに囲まれて——。

駆の波乱に満ちた修学旅行は、こうして最高の(?)賑やかさとともに幕を閉じたのだった。



(修学旅行編・完)


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