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第三十七話 裏話るな視点


私、声と態度と気品だけは天空級の、自他共に認める絶対無敵の絶世の美女(輝夜るな)。

だけど、ぶっちゃけ私の正体は、どんなに偉い帝や大富豪が財宝を貢いできても絶対になびかなかった、本物の『かぐや姫』なのよ!


今世では現代の生活を楽しみながら、映画『友達100人』に出演したりして、満月の夜に月からの牛車(お迎え)が来るのを優雅に待っていたんだけど、ここで重大なバグが発生したわ。

月からの通信によると「現在、地球周辺の宇宙ダスト(宇宙ゴミ)が多すぎて運行スケジュールが大幅に遅れています。軌道清掃が完了するまで、しばらくそっちの現代日本で暇をつぶして待機しててください」って、あまりにも現代的でポンコツな理由で足止めを食らっちゃったのよ!


「オーマイガー! 暇すぎて死にそうだわ!」ってなって、何か面白い娯楽(エンタメ)はないかと裏のチャットや芸能界の情報を調べてみたら、とんでもない現実が発覚したわ。

十年前、映画のオーディション現場で私を叩きのめした大河内駆(カケル)の周りが、白雪詩織や西園寺麗華、蓮たち芸能界のエリート組の美少女27名に全方位から囲まれて、毎日所有権を巡る激しい宇宙大戦(サバイバル)を起こしてるじゃない!

元ボッチの姫からしたら、あまりにも面白そうで、激しい好奇心とパッションが燃え上がったわ!


「クックック、こんな最高にエキサイティングな大戦、私(かぐや姫)も混ざるしかないでしょ! あいつのところへ行ってハニトラを仕掛けてガチで惚れさせ、その周りの女たちをザマァして、地球待機期間の最高の暇つぶしにしてやるわ!」


そう意気込んで、このマイナーなレンカノサイトに『元かぐや姫の最上級キャスト』として電撃登録し、お姫様の執念でカケルの予約枠を力ずくで上書きしてやったの。


そうして迎えた、高級和菓子カフェでの再会。

私は最高の魅了(ハニトラ)をブチかましてやるつもりだったんだけど、一般人になったカケルは、私の目をまっすぐ見つめて「周囲の目が集まるから座りな。君のそういうブレない世界観、嫌いじゃなかったよ」って、もの凄くインテリジェンスでスマートな言葉を叩きつけてきたの。

お茶をスッと差し出す手つき、視線の配り方、および私の過去の空回りを誰よりも解ってくれている、あの洗練された大人の男のオーラ……!


……絶句したわ。

ハニトラを仕掛けるつもりが、私のハート(※月の住民)の方が、一瞬であいつの底知れない『大人の男の魅力』に完璧に落とされてしまったじゃないのよ……っ!?

あいつ、あの芸能界のエリート組の女の人たちにどんな揉まれ方をしたら、高校生のくせにこんな極上のレディファーストが身につくのよ! あんなの、どんな求婚者も一瞬で撥ね退けてきたこの私だって、一瞬でただの雌にされちゃうに決まってるじゃない!


暇つぶしに大戦へ混ざる偵察のつもりだったのに、私のハートは完全にカケルのイケメンオーラ(愛)に美味しく陥落させられちゃったわ!

月なんてどうでもいいわ! お迎えの宇宙船なんて宇宙ダストに突っ込んで爆発すればいいのよ! こんな極上の王子様が手に入るなら、あんな薄暗い月の世界へ戻るなんてやめよ! これからは、この現代日本でカケルと一緒に生涯を共にする方向に目標変更よ!


(カケルの隣が世界一の不老不死の理想郷なら、私がこれから月の裏側の財宝を密輸して稼ぐ全財産を使って、駆くんを私の『専属の騎士』として、一生私のプライベートの月面宮殿(部屋)に閉じ込めて愛してあげればいいのよね!?)


スマホを見ると、詩織ちゃんたちが裏のチャットで「新参の竹の子、抜け駆けはコンプラ違反よ!」ってギャーギャー騒いでいるのが見えるわ。もちろん、私の正体が月からのお迎えを待つ本物のかぐや姫だなんてあの子たちには露知らず、ただの生意気なるなちゃんだと思っているみたいだけど。

ふふ、お黙りなさい、おいたが過ぎる方々。姫としての執念と、恋する乙女としての『智謀とパッション』をナメないことね。あなたたちの予約枠、私の張り巡らせたお姫様の策略ですべて『月に代わってお仕置き(白紙化)』にして差し上げますわ。


待っていなさい、私の愛しい駆くん。

これからは私の、誰よりも気高くて、誰よりも熱くて逃げられない『前代未聞のかぐや姫系・ラブストーリー』で、あなたのボッチな人生を完璧にプロデュースしてあげるからね――。


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