美鈴の誕生日
四月二日。
陸人達の件が解決して2週間。
陸人は敬語を解いて話してくれるようになり、恵美は少し口数が少ないが以前と比べるとだいぶ話してくれるようになった。
成一は自分の部屋の勉強机に座って勉強をしていた。
成一にとっては趣味に近い感覚になっているかもしれない。
「ふぅ…」
ちょうどキリが良いところで一休みしようとコーヒーを淹れた。
どのくらい勉強していたのだろうか。ふと、気になり携帯電話のディスプレイを確認した。時刻は白昼の十三時。
成一は時刻意外にも有るものが目についた。
「そう言えば今日…」
成一の目についたのはカレンダーだ。成一の携帯電話の待ち受け画面にカレンダーが表示されている。
「美鈴の誕生日だ…」
成一は忘れてしまっていた。プレゼントをどうするべきか。今からでは間に合わない。
成一は小さい頃から美鈴に何かしらプレゼントを渡していた。高校生に入ってからもそれは続いている。
成一はどうするか迷う。プレゼントが間に合わないなら何か別の物を…。
「ん?別の物?…」
成一は美鈴のある特徴から1つの結論にたどり着いた。もうこれしかない。
美鈴は退屈ながら自室で過ごしていた。先程まで勉強をしていたが、もう、やることを終えてしまっていた。
「成一の家に行こうかな」
美鈴は呆気なく結論を着けた。成一には会うだけでドキッと胸が高鳴るのを長年感じているが成一と居ると落ち着く。それに何年も毎日会っているのに今も会いたいと思ってしまう。
「成一!」
美鈴はノックもせずに合鍵で玄関の鍵を解いて入った。
「成一?」
だがどうした事だろうか。成一からの返答が無い、と言うより家の中に居る気配がない。
「どっか出掛けちゃったのかな?」
美鈴は仕方ないのでこのまま成一の帰りを待つことにした。
取り敢えず、テレビの部屋の絨毯の所に腰をかけてテレビを点けた。
成一はどのぐらいで帰ってくるのだろうか。
帰ってくるまで退屈だ。美鈴は時刻を携帯で確認する、今の時刻は十三時十五分。美鈴はふと、時刻と同時に待ち受け画面に表示されているカレンダーが目に入った。
「そう言えば、今日 私、誕生日だったけ」
美鈴は今頃自分の誕生日に気が付いた。
美鈴は一歩大人に近づいた気分になった。
もう、17歳。大人までもう少し!と心の中で、はしゃいだ。
だが美鈴は途端に気になる事が出来た。
「成一、私の誕生日祝ってくれるかな…」
美鈴にとって、最も気になることだ。去年は祝ってくれたが、今年は祝ってくれるのだろうか。
気付いた途端、その事ばかりを考えてしまい、先程点けたテレビの内容が余り入って来なかった。
ガチャ
玄関が開く音がした。美鈴は直ぐに玄関に向かった。
「あれ?美鈴、来てたのか」
「うん、ちょっと退屈だったから、成一と話そうと思って…、何処行ってたの?」
「ちょっとスーパーに行ってたんだ、今日は沢山、料理作ろうと思ってな、ほら、今日美鈴、誕生日だから」
成一の言葉を聞いて美鈴は嬉しく思った。成一が自分の誕生日を祝ってくれると言う事が嬉しかった。毎年祝ってくれていたが、やはり、嬉しい。
本当は作ってから呼ぼうと思っていたと成一は付け加えた。
「ありがとう」
「…ああ、と言っても今年は食べ物とケーキだけだけどごめんな」
成一は照れくさそうにしながら、言う。
「ううん、成一が祝ってくれるだけで嬉しいよ」
美鈴は思わず笑みを浮かべた。
「…よし、じゃあ早速作るぜ」
成一はまたも照れくさそうにしながらキッチンに向かった。
「何か手伝う事有る?」
「いや、特に無い、座ってて良いぞ」
成一がそう言ったので美鈴は大人しくコタツテーブルの前で座ってる事にした。
美鈴は何を作ってくれるのか楽しみだった。成一の作る料理は美味しい。
成一が調理を始めて、一時間、出来た料理はいわゆるごった煮と焼き肉、フルーツの盛り合わせだった。ごった煮の中には野菜を中心に色々入っている。キャベツやニンジン、ほうれん草、玉ねぎ等、色々な野菜が入っていて醤油と味醂で味付けされている。
作り方は至って単純だが、美鈴は成一の作るごった煮が結構大好きだ。
成一は作ったそれらの物をコタツテーブルに運んだ。
やがて、運び終える。ブラウンのコタツテーブルの上に有るごった煮がメインの料理は美味しそうだ。
「うんじゃ、食べよう」
「うん、頂きます!」
美鈴は早速ごった煮に手を着ける。
「うん、美味しい!」
「サンキュー、沢山有るから一杯食ってくれ」
「うん!」
美鈴自身、健全な男子高校生に並に沢山食べるため、成一の言葉は嬉しいばかりだった。
「ふう、結構食ったな」
「うん、もうお腹一杯!」
ごった煮は美鈴の好みの味醂による甘い味付けになっていた。フルーツの盛り合わせはみかんとリンゴで焼き肉は丁度良い火加減で焼かれて居て美味しかった。
「それじゃ最後に」
と言うと成一はキッチンに行ってホイル型のショートケーキを持ってきた。
「ロウソクは無ぇけど、誕生日おめでとう」
「ありがとう」
美鈴は心の中でもう一度目の前に居る幼馴染みであり、最愛の人にお礼を言った。
毎年、毎年、ありがとう成一




