思わず浮かぶ笑顔
成一はいつもの教室に美鈴と入った。
優人と優里はまだ来ていない。
あの話の後から、気まずさが無くなり、美鈴も哀しそうな顔をしなくなったので成一はホッとしていた。
成一は自分の席に座り、隣に座っている美鈴をチラッと見た。
美鈴は自分の事どう思ってるのだろうか。
もしかしたらと期待してしまう気持ちもある。
「どうしたの?」
気が付いたら成一は美鈴の顔を直視していた。
その為、気になったのだろう。
「え?、いや、何でもねーよ」
成一は慌てて誤魔化した。
少しして優人と優里が来た。
成一は何時ものように美鈴と朝に挨拶をして、向こうも挨拶を返して来る。
ここまでは何時もの通りだが、成一はふと、二人の様子が何時もと何となく違う事に気がついた。
何でだろうかと思ったがその答えは直ぐにわかった。
「昨日優里に告白した」
と優人が自分から言ってきた。
因みに優里は美鈴と話している。
「そうか、告白の返事は?」
勿論解りきった事だがあえて聞いた。
「勿論!オーケーだったぜ!」
優人は本当に嬉しそうに言った。テンションが上がっている。
「おお、良かったな」
成一は本心からそう思った。
同時に羨ましくも思った。
優人が優里に気持ちを伝えたように、成一もちゃんと美鈴に伝えられるのだろうか。
まだ成一には美鈴に気持ちを伝える覚悟は出来ていなかった。
昼食の時間になった。
「はい、成一」
美鈴は何時ものように弁当を渡して来た。
「サンキュー」
成一は基本的にほぼ毎日美鈴に弁当を作って貰って居る。
成一は早速弁当を開いた。
今日の内容は鮭弁当だ。
それに卵焼きが着いている。
「旨そうだな、頂きます」
と言って成一は弁当を頬張った。
「そう言えば、優里と優人君は恋人同士になったんだね」
「ああ、そうだな、ようやくって所か?」
「そうだね良かった! …私も早く成一と…」
後半の声は小さくて成一の耳には届かなかった。
その美鈴の顔は少し赤くなっていた。
高校が終わり、成一は美鈴とコンビニのアルバイト先に着いた。
因みに優人と優里は成一と美鈴が出るよりも早く、颯爽と出ていった。確か優人は優里の家に行くと言っていた。
成一は簡単に接客をこなした。もう、レジ打ちにはだいぶ慣れたと思う。
美鈴は品出しをしている。
この日もアルバイトを順調に終えて、成一は美鈴は帰途に着いた。
「今日は夕飯何にするんだ?」
「今日はハンバーグだよ」
美鈴は笑顔で成一に言った。
「よっしゃ!」
成一はハンバーグが好物だ。最近食べて無かったので嬉しくなり、思わずガッツポーズをとってしまった。
子供っぽくガッツポーズを取る成一を見て美鈴は思わず笑ってしまった。
「わ、笑うなよ」
成一はハッと気付いたのか笑う美鈴に言った。
昔から成一はハンバーグと聞くと喜んでくれる。
成一が喜んでくれると美鈴にとっても嬉しい。
「頂きます!」
自宅に着き、美鈴は直ぐにハンバーグを二時間かけて作りようやく夕食になった。
何時に無くテンションを高くして成一は言うやいなや、ハンバーグを大量に口に頬張った。
その成一の姿は小さい男の子のようだ。
自分の想い人が本当に美味しそうに自分が作った料理を食べてくれたら嬉しいものだ。
美鈴は食べている成一の姿を見て、思わず笑みが浮かんだ。




