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成一の誕生日

三月十八日。



美鈴は高校に行く支度を済まして鞄を持った。



因みに今日は成一の誕生日だ。



帰ってきたら用意してあるプレゼントを成一に渡すつもりだ。



美鈴は家を出て隣の成一の家に向かう。





「成一!」



美鈴は玄関でいつも通り成一を呼ぶ。



中々、返事がない。



「あ、ああ美鈴」



ワンテンポ以上遅れて成一が出てきた。



少し、ぎこちなく感じるのは気のせいだろうか。



「もう出れる?」



反応が遅かった気がしたが美鈴は気にしないようにした。


成一は出れると言ったので一緒に玄関から出る。








「段々暖かくなってきたね」



「……」



成一から返答が無い。



(どうしたのかな?)



と少し、首を傾げながら考えて居ると。



「…キャ!」



「危ねえ!」


美鈴は見事に段差で躓きそうになり成一が支えてくれた。



「気をつけろよ」



「うん、ごめん」



成一に謝りつつ、この自分のそそっかしさは何とかならないだろうかと咄嗟に思ってしまった。



その後も高校に行く道の途中で話しかけて見たが。


「そうか」


とか



「ああ」



と、相槌ばかりで話を何も聞いていない様子だった。



高校に着いてからも成一の様子は変わりが無い。



時々成一は反応がぎこちなくなるが今回は返答が無い。



(本当にどうしたのかな?…)



美鈴はいつもと違う成一に気になった。



本当にどうしたのだろうか。



幼い頃から成一を見てきたが今日のようになった事はない。


高校に着き、美鈴は優里と話していたが話の内容が頭に入らなかった。



昼休み。



今日は優里と今は使われてない無人の教室で昼食を食べている。




「優里、ちょっと相談が有るんだけど大丈夫?」



美鈴は優里に成一の事を相談して見ようと思い、聞く。



余談だが最近美鈴と優里はお互い名前を呼び捨てで呼んでいる。



「良いけど…どうしたの?」



優里は直ぐにそう言ってくれた。



美鈴は一息置いて話し始める。


「…今朝から成一の様子がおかしいの」



「早川君の?おかしいってどの辺りが?」



「…何か話しかけても反応があまりなくて」



美鈴は今朝の事を思い出しながら優里に言った。



少し、考えて居る様子だったが。


「大丈夫よ、心配しなくても」



いつもの落ち着いた口調で優里は言った。



「え?」



美鈴はどういう意味だろうと思い、聞き直した。



「顔に出てたわ何時もと違う早川君の様子が気になったんでしょ?」



「うん」



美鈴は頷いた。



「早川君も何か考え込んでいただけだと思うわ」



言われて見れば、何か考え込んでいただけのようにも感じる。



「そうだね、うん、そうかも」



と美鈴が優里に微笑みかけて、言ったところで、昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。












下校中



成一は美鈴と下校している。


今日は一日中高校で成一はどうすればいいか悩んでいた。



今朝から昨日優人と話した事が浮かんで来る。



(まあ、美鈴ちゃんとちゃんと話して見たらどうだ?)



と優人に言われたものの、美鈴にどう話せば良いかわからない。



成一はずっと考えて居るがわからない。



流石にずっとこのままではまずいと思い、一応、授業を頭に入れようとキッチリ、ノートには取って居たがどうしても頭から離れないで今の時間に至った。





「成一」



「どうした?」



「…ううん何でもない」



明らかに何か有る反応だ。



理由は何かは考えるまでもなく成一の今朝からの態度だろう。



「成一?」



「どうした?」



いきなり美鈴が話しかけて来た。



「何処行くの?」



美鈴はわかりきった事を何故か聞いてきた。



「何処って家に決まってるだろ」



成一は至って普通に言った


いきなり何を言い出すのだろうか。



「家なら数分前に通り越したよ?」



美鈴はキョトンと成一を見ている。



「はい?」



成一は思わず間抜けな声を出してしまった。



言われて辺りを見渡して見ると今歩いてたところは成一の家から数分離れた住宅街だった。



まさかそこまで考え込んでいたとは。



「何でもっと早く言ってくれなかったんだ?」



成一は自分でも驚くほど盛大な溜め息をが出た。


通り過ぎてしまったのは成一が悪い。



だがもっと早く、いや 、家の前に着いた時点で言ってくれれば良かったのでは。



「何処かに行くものだって思ってそのまま着いて行っちゃったんだけど…違った?」



可愛らしく首を傾げながら美鈴は言った。



成一は思わずドキッとしつつも。



「取り敢えず帰るぞ」



と言って成一は家に向かい歩き始めた。



「うん」



と言って美鈴も歩き始めた。











今度こそちゃんと家の前で立ち止まった。



「じゃあな」



「うん、あ、家で一回着替えたら寄るね」



「…ああわかった」



成一直ぐに了承した。



前と違い、それだけで意識してしまっているが美鈴に4歳の頃の話が何の事か正確に聞くチャンスだと思った。



「じゃあ直ぐに行くからね」



と言って美鈴は成一の家の隣に有る自宅に入って行った。




成一も家に入り、直ぐに着替えた。



少しして美鈴が来た。



「成一、これ誕生日プレゼント」



美鈴が渡して来たのはマフラだ。



そう言えば今日は成一の誕生日だ。


「ありがとう」



と成一は受け取った。



毎年美鈴はこうしてプレゼントをくれている。



「なあ、美鈴」



「うん?」



「4歳の頃の事って何だ?」



成一は今しか無いと思い、話を切り出した。



「やっぱり、覚えて無いよね」



「何となく覚えてんだ、だけどこの記憶の事かわからないんだ」



「どういう記憶なの?」



成一はこの記憶の事を誤魔化さず話そうと思った。



「オレと美鈴が公園に居るんだ、そこでオレが……」



「オレが?」



美鈴が成一の言葉を聞き直してくる。



「オレが………」



顔が燃えそうなほど、暑い。恥ずかしさもあり、そこから先の言葉が出ない。



「無理して言わなくても良いよ」



「え?」



目の前の美鈴は明るい笑顔で言った。



「その記憶だよ、思い出してくれたんだね」



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