サプライズ
途中から視点が切り替わります。
「おはよう」
「おはよう!」
成一と美鈴はいつも通り優人と優里に朝の挨拶をした。
「あぁ、おはよう」
「…おはよう」
優人と優里からいつも通りの挨拶が返ってきた。
成一の席の前に優人が居る。
美鈴は優里と何かを話している様だ。
「何かあっという間だったな」
優人は呟くように言う。
「何が?」
成一は何の事かわからず首を軽く傾げた。
「ほら、クリスマスと正月だよ」
「あぁ、確かにな」
優人の言う通りクリスマスと正月はあっという間に過ぎた。
クラスメイト達の雰囲気も既にいつも通りだ。
「なぁ、成一」
「ど、どうした?」
少しばかりどうでも良い?ような話をした後優人がいきなり真剣な表情をするものだから成一は思わず声が裏返った。
「ちょっと相談が有るんだけど良いか?」
成一は何となく良い予感がしなかった。
優人の相談は大概ろくでも無い内容ばかりだ。
両親から遠くにお使いを任されたと言ってほとんど強引に付き合わされ、一日がかりでとんぼ返りした事も有る。
「…別に良いけど」
良くなどない。ただ優人が余りに真剣な顔をしている為、一応真剣に話を聞く心構えをしておく。
優人は悪いなと前置きを置いて話し始めた。
「実はさ最近…」
優人が話そうとした瞬間だった、授業開始のチャイムが鳴った。
なんてタイミングが悪いんだろうか。
「放課後ちょっと付き合ってくれ」
と言って優人は席に戻っていった。
それから少しして美鈴も戻って来た。
美鈴の表情はいつもより笑顔だ、
成一はまぁ何時もの事かと気にせず授業の用意をする。
放課後。
「じゃあ成一、良いか?」
「はいよ」
成一は優人と教室に出た。
因みに美鈴は今日、優里と買い物に出掛けるようだ。
「それでどうする?歩きながら話すか?」
「いや、この前の喫茶店に行こう」
と優人が言って喫茶店に行く事になった。
因みにこの間のとはいつか成一が優人に美鈴の事を相談した喫茶店だ。
喫茶店に着いた。
「いらっしゃいませ、お好きな席へどうぞ」
男性店員の言葉の通り、席に着いた。
この前と同じ大きな窓ガラスの方の席だ。
成一ホットコーヒーを頼み、優人も同じくホットコーヒーを頼んだ。
「んで?相談って何だよ?」
「あぁ…優里の事なんだけど」
「花山さん?」
「あぁ、最近優里の行動って言うか挙動って言うか…とにかくおかしくないか?」
「……」
成一は優人の言葉に少し記憶を辿ってみる。
成一の記憶が正しければ特別変わった所は無いと思うが…。
「ほら、最近優里だけ別で帰るだろ?」
成一はあぁそんな事かと思ったが優人の何処か心配そうな表情を見て考えを改める。
「…確かにな、でも何か家でやりたい事でも有るんじゃないか?」
「いや、優里の両親に聞いてみたけど特にそう言う様子も無いみたいだ」
「そうか、……!」
成一はふと考えて見て有ることを思い立った。
「あんまり気にしなくても大丈夫じゃないか?」
「あん?何でそう言いきれるんだよ」
当然優人は聞いてきた。少し口調が苛立っている。
どうやら口では言わないが優里の事を結構心配している様だ。
「あぁ…まぁ何となくだよ、1週間ぐらいしたらわかるんじゃねーか?」
話が終わり、成一は今帰り道だ。
あの後優人に成一は問い詰められたが適当に誤魔化して先に喫茶店に出てきた。
幸い、追いかけては来なかった。
成一は何かだいたいわかっていたが黙っておくことにした。
無論、意地悪している訳では無い。
成一が優人に言った一週間後とは優人の誕生日だ。
多分優里の両親も知らないと言いながら知っているだろうと成一は思う。
多分優人から電話がかかってきた時誤魔化したと言ったところだろう。
優里が口止めしていると言う事だ。
勿論理由は1つしか無い。
優人は今帰り道だ。
あの後成一は何故か誤魔化すように出ていった。
少しして優人も喫茶店を出た。
追いかけようとも思ったが流石にそれは止めた。
成一は絶対何かに気付いて居るだろうが優人には言って来なかった。
誤魔化すように出ていったが不思議と嫌な予感はしなかった。
ただ、だからと言って、優里の行動が気にならないと言ったら嘘だ。
「明日成一に聞いてみるか」
優人は独り事を呟く。
多分答えてくれないとは思ったが優人は成一に聞いてみる事にした。
結局あれから一週間になった。
優人自身この1週間何回も成一に聞いてみたが誤魔化された。
だが優人自身慌てては居ない。
今日は成一にも詮索はしなかった。
成一は確か一週間後にわかると言った。
その日が今日だ。
もうこうなったからには自分の目で確かめるまでだと優人はおとなしく待つことにした。
優人はふと教室にかけてあるカレンダーを見た。
今日の日付は1月16日。
そう言えば優人自身の誕生日だ。
1つの結論にたどり着いた。
(まさか優里、俺に誕生日プレゼントを!?)
優人はいや、違うだろうと自分の考えを否定して見たがそう考えれば辻褄が合う。
優人はまさかなと思いつつ今日の授業を受けた。
…授業の内容はあまり理解できないが。
昼休み。
優人は優里と昼食を食べている。
どう言う訳かこの日に限って優里と2人きりだ。
優人にとっては変に意識してしまう。
今、会話をして居ない為、沈黙だ。
すこし気まずい。
「優人」
沈黙を破って優里が優人を呼んできた。
「あ、あぁどうした?」
優人は我ながらぎこちないだろうと思う返事をした。
「…これ優人に」
優里が差し出して来たのはマフラーだ。見たところ手編みだろう。
気のせいか優里の顔が少し赤い気がする。
「え?」
今朝心の中でそうかもとは思ったがまさか本当に自分の誕生日プレゼントだとは思わず、間抜けな声を出してしまった。
「ほら、今日優人の誕生日でしょ?こ、これ誕生日プレゼントにと思って」
優里が少し台詞を噛んだ気がした。
だがそんな事より優人は嬉しかった。
「マジか?サンキュー!」
優人は思わず大声でお礼を言って直ぐに優里からマフラーを受け取った、
触りごごちは結構良かった。
優人は迷わず早速肩に掛けた。
因みにマフラーの色は黒だ、
「似合うか?」
「えぇ、似合ってるわよ」
優里は優人に笑顔を向けてそう言ってくれた。
優人にとって17年の中で最高の誕生日だった。
それもそうだ優里に貰えたのだから、それにプレゼントは手編みのマフラーだった。
わざわざ優里が自分の為に作ってくれたと思うと尚更嬉しかった。
下校時刻。
「ったく誕生日プレゼントならそうだって言ってぐれれば良かったじゃねーか、気付いてたんだろ?」
優人は成一と話している。
優人は今思った事をそのまま言った。
早く言ってくれたら余計な心配をしなくて済んだ。
「バカ、決まってるだろ?」
成一は呆れた様に優人を見た。
「誕生日はサプライズの方が良いだろ」
と成一は笑いながら言った。




