ep Radja Naga 2
彩り豊かなリバの花に囲まれた庭園。
木剣がぶつかり合う音――されど、激しい衝撃ではなく、軽やかな打ち合いの響きだった。
「はっ!」
「ふん」
自分の体の半分ほどの長さの木剣を強く握り込み、大きく振りかぶる。
剣同士は打ち合わされるが、受ける側はその衝撃を巧みに受け流し、いなす。
大振りの勢いのまま、前へと倒れ込んだ。
「うぅ……」
「ナーガ、工夫しようぜ、もっと」
「ほっほっほ、王子も随分と剣の筋が良くなりましたぞ」
「爺や、本当?!」
「じっちゃん、ナーガに甘い!」
「ドラガンは厳しいや……」
「とにかく、もう一回行くぞナーガ」
「はーい」
木剣を支えに立ち上がる。
もう一度強く握り込み、今度は丁寧に、コンパクトに振っていく。
連続で打ち込むが、時折反撃が来る。しっかりと剣筋を見極め、最小限の動きでそれを躱した。
「ほう」
老兵は、王子の動き――そして見極める眼に感心した。
(工夫を……もっと)
木剣の捌きがわずかに変わる。
スピード重視だった剣が、緩急をつけて打ち込まれていく。
右の大振りを受けようとしたが、それは釣り。ぶつかる剣の衝撃は軽く、すぐさま引き抜かれ、連続の剣劇が繰り出された。
「なっ?! こんの!」
自分より頭一つ小さい相手から繰り出される剣劇に、思わず体格差を活かした体当たりで対応する。
弾き飛ばされた王子は、尻餅をついた。
「ナーガ……ごめん。体当たりなんてカッコ悪いよな」
「ドラガンは強いね。僕も早くドラガンみたいに強くなりたい」
「……あと二年は早いぜ」
差し出された手を取り、それを支えに立ち上がる。
「ナーガ、血」
「あっ、本当だ」
飛ばされた勢いで、肘に擦り傷ができていた。
そこへ魔法の光が傷を包み込む。やがて傷は塞がり、元通りの肌へと戻った。
その光の主を辿ると、そこには純白の巫女が立っていた。
「……レネイさま」
「おっ、レネイじゃねーか」
「お久しぶりです、ナーガ王子。見ていましたよ、強くなりましたね」
「そう、かな」
「何照れてんだよナーガ」
「ドラガン!」
二人のやり取りを見て、レネイは微笑む。
「ナーガ王子、あの子はどちらへ?」
「ああ……あそこ」
赤い瓦、木の柱に支えられた大理石張りの縁側。
その上で、羽の生えた黒い小竜が眠っていた。
「バハ、レネイ様が来たよ。起きな」
「……ぐるぅ?」
小竜は気だるそうに羽をばたつかせ、巫女のもとへ飛ぶ。
そしてレネイの腕に収まると、再び眠りについた。
「あらあら、バハムトはお眠なんですね。ふふふ」
「バハ!……ああもう」




