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18.1話 英雄になれますか


 西から白い軍勢がやってきた。

 遠くにいる生き別れの兄弟たち、かつてともに田んぼを走り回り故郷に帰った友、全てが蹂躙された。


 殺戮に留まら無かった。


 白い死をもたらす軍勢は大陸のほとんどを支配下に置き、民族の殺戮と民族浄化し、自分たちとの血を混ぜ合わせる等、数々の残虐な行為を進めてきた。


 これまで、一族、我ら先祖代々が守ってきた土地で紡いできた、神からの恵みも奪われた。


 全てが奪われた。


 この白き悪魔はいつ終わるのだろうか。



 数百の年が重ねられた。


 奴らとの混じりの数も増えていき、かつての同胞が今では我々を支配する側に回るものも生まれた。

 もはや何が正解だったか、分からない。



 東から軍靴の音が聞こえた。


 東の民だ。

 数百年前に、東へ東へと逃げた、我らの遠き生き別れの兄弟たちだ。


 彼らは巨大な竜を引き連れた。

 その竜は、我らを解放する神と崇められた。


 彼らは西へ西へと、その歩みを止めず、白き死を退け続けた。


 数百年に待った、我らの救世主だ。



 東の民も結局は白い死に抗えなかった。


 敗れ果てた東の民は、その大半を打ち滅ぼされた。


 しかし、この数百年、彼らを除いて、希望を示した存在は居なかった。


 ならば彼らの血を残そう。

 いつしかまた、我らを解放せんとする英雄が、我らから生まれますように。

 白き穢れた血が混ざり合わないように、我らは潜み、生き続けよう。



「おかあさん、これはかなしいお歌?」

「いいえ、これは希望のお歌よ」

「きぼーだって!」

「ふふふ、もしかしたら■■が、英雄になるかもね!」

「えーほんとう?!ぼくえいゆーになれるの?!」

「なれるかも!」



 眼を開く。


 それは過去。


 それは運命。

 それは義務。


 それは復讐。


 剣を抜く、同胞を切り刻む、そして、破壊の力で全てを平にする。


 これは英雄の物語だろうか。


 誰か、僕を見つけてくれ。


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