18.1話 英雄になれますか
西から白い軍勢がやってきた。
遠くにいる生き別れの兄弟たち、かつてともに田んぼを走り回り故郷に帰った友、全てが蹂躙された。
殺戮に留まら無かった。
白い死をもたらす軍勢は大陸のほとんどを支配下に置き、民族の殺戮と民族浄化し、自分たちとの血を混ぜ合わせる等、数々の残虐な行為を進めてきた。
これまで、一族、我ら先祖代々が守ってきた土地で紡いできた、神からの恵みも奪われた。
全てが奪われた。
この白き悪魔はいつ終わるのだろうか。
◆
数百の年が重ねられた。
奴らとの混じりの数も増えていき、かつての同胞が今では我々を支配する側に回るものも生まれた。
もはや何が正解だったか、分からない。
◆
東から軍靴の音が聞こえた。
東の民だ。
数百年前に、東へ東へと逃げた、我らの遠き生き別れの兄弟たちだ。
彼らは巨大な竜を引き連れた。
その竜は、我らを解放する神と崇められた。
彼らは西へ西へと、その歩みを止めず、白き死を退け続けた。
数百年に待った、我らの救世主だ。
◆
東の民も結局は白い死に抗えなかった。
敗れ果てた東の民は、その大半を打ち滅ぼされた。
しかし、この数百年、彼らを除いて、希望を示した存在は居なかった。
ならば彼らの血を残そう。
いつしかまた、我らを解放せんとする英雄が、我らから生まれますように。
白き穢れた血が混ざり合わないように、我らは潜み、生き続けよう。
◆
「おかあさん、これはかなしいお歌?」
「いいえ、これは希望のお歌よ」
「きぼーだって!」
「ふふふ、もしかしたら■■が、英雄になるかもね!」
「えーほんとう?!ぼくえいゆーになれるの?!」
「なれるかも!」
◆
眼を開く。
それは過去。
それは運命。
それは義務。
それは復讐。
剣を抜く、同胞を切り刻む、そして、破壊の力で全てを平にする。
これは英雄の物語だろうか。
誰か、僕を見つけてくれ。




