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7.1話 それぞれの戦場


 旧市街の外れ、今回の長期戦闘訓練の拠点としている場所。

 ここには戦闘職や指導教官だけでなく、術師、技術部、僧侶、職人たちの訓練団員も帯同している。


 旧市街での戦場だけが戦場ではない。



 旧市街の外れの近くにある高台。

 8名の術師たちが円環となり、そして中央には等身大以上の大型魔法杖を携えている術師。

 8名がそれぞれ異なる呪文を詠唱。

 詠唱は決められた順に唱え、繋げることで、大規模な魔法の発動を可能とする、戦術級魔法の行使方法、連関式詠唱を行っている。

 8名による連関式呪文で生じた魔法は中央にある魔法杖へ供給され、中央の術師が最後に照準を設定し、発動させる。


 このように、大規模制圧戦術級爆撃魔法が旧市街に放たれ、旧市街にいる戦闘部隊への地獄の流星を落としていく。


「第3班連関式魔法行使終わりました、第4班と交代します」

「ご苦労、休息を取れ。それと第1班に伝えろ、次の準備をしろと」

「かしこまりました」


 絶え間のない爆撃を放つために、このようにして、術師訓練団員たちはシフト制で大規模魔法を行使していった。



 旧市街離れの拠点にある大規模な廃墟の中に、20名程度が拠点として活用している。

 携帯式設備や、簡易式炉まで設置しているものもいた。


「やばいやばい、東側の通信使い魔がすごい勢いで通信途絶しているよ!フィリップ王子たちの戦闘が激しいよ!」

「何とかしてるけど、間に合うかな~ウォタファー先輩、調整どうなりました?」


 技術部の次期エース。

 この度の長期戦闘訓練の実施するにあたって、重要な役割を果たした、通信用使い魔の発案者。

 通信のみの技術ならこれまでいくつも開発されてきたが、映像毎の伝達は実現することはなかった。ウォタファーは使い魔に注目し、使い魔を通じた通信技術の開発を設計し、世の技術発展に貢献した。

 この技術はまだ開発中ではあるが、戦場に投入されれば、大きな技術革新、戦況を動かす重要な戦力物資となるだろう。


「うっひょー!ハイジ殿!!すごいでござる!!やはり試作長距離狙撃器『クォデネンツ』をハイジ殿にごり押して良かったでござる!」

「……あぁありゃ頼んだもの、やってないわ」

「……戦闘が少ない区域の無事な使い魔をなるべく東側に回しますねとりあえず」

「うん、そうしてくれる?」


 因みに、離脱用クリスタルの設計者はウォタファーではない。



 旧市街外れの拠点の司令部の隣に白塗りの大規模簡易仮設治療施設が設置されている。


 空から飛翔する光が、拠点のど真ん中に配置された巨大なクリスタルに集約し、その付近に戦闘を終えた部隊を転送させた。


 クリスタルに戻される部隊は最後の勝者以外は大抵、敗北し帰還させられた部隊だ。

 つまり負傷者が多い。


 まれに無傷の部隊が転送されるが、それは緊急で自衛した場合のみ。

 旧市街外苑や爆撃魔法に対して逃げ遅れ、仕方なく転送された者だ。


 後半になればなるほど、大きな傷を負うものが増えていく。

 後半戦まで生存出来た部隊は必然として強者ばかりで、それらの戦闘は激しいものとなっている。


 負傷者を手当するのは、僧侶部の団員達だ。幸いして、命を落とすことはない事に団員は安心し切っていた。

 しかし、命を落とすことよりも恐ろしいものが待っているとは、誰もが予想出来ずにいた。


 最終日の7日を待たずして、6日目に最後の部隊が転送された。

 最後の部隊はフィリップ王子の部隊と、最近大きく評価を上げているかつての落ちこぼれのハイジ隊。誰もがフィリップ王子の部隊が勝利したと確信していた。


 しかし、フィリップ王子の部隊が2位で、ハイジ隊が1位という結果。

 更に困惑させるのが、ハイジ隊の方が重傷だ。

 同僚のラトナ様が魔力欠乏症と大規模な火傷で、意識を取り戻せずにいた。

 ドワーフと下級団員の少年は比較的軽傷で済み、治療後する意識を戻した。


 何よりも重症なのが、件の元落ちこぼれ、隊長のハイジ。

 全身が骨折まみれ、大量出血、魔力欠乏症とラトナ様以上の重症だ。


 それなのにハイジ隊がフィリップ隊に勝った。


 そして一番の恐ろしいのが…


 全身切り傷に塗れ、かつ右腕が無い、フィリップ王子。

 左手で自身の切断された右手を乱暴に放り投げ、僧侶団員たちに死の宣告を告げる。

「くっつけろ」


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