6.1話 就活って早めにした方がいいよ本当
3日目が終えようとした。
戦況として、2部隊のみが脱落し、多くの部隊は生存を果たしている。
3日目では更なる亜竜の投入に加えて、魔法師による大規模制圧魔法が各地区に放たれた。生存、部隊討伐、モンスター回避、優位な位置取り、いつ来るか分からない爆撃、よりカオスな戦場の再現が試みまれた。
各部隊は少なからず疲労を蓄積している。
本長期戦闘訓練は戦闘員の訓練のみならず、モンスター研究や魔術研究の実験部隊としても活用されている
戦闘面だけでなく、戦闘員たちに配布されたクリスタルの性能確認や、戦況を把握するために使われている通信用使い魔の運営実験など、補助支援面においても本訓練は大いに役立っている。
また、各部隊と付き合いのある技術職は、装備や兵器などを融通して製品テストも実施されている。
ハイジ隊が使用した長距離狙撃器や魔力ダミー短剣なども支給された試作品。
折り返しにさしかかる現状で、半分以上の部隊が生存している点は、開拓者訓練団の優秀さを物語っている。
そんな隊員たちの奮闘を、旧市街外れの拠点にて、通信用使い魔から受信した映像を通じて教官たちは観測していった。
「マガリャインス教授一押しの、ハイジ隊は暴れに暴れていますね、これまで弱みとされている長期戦への適応も示したことですし、ハイジ隊及びハイジ団員自身の評価を改めていくべきですね」
「わしは最初から目にかけておったぞい、お主らの見る目がないんじゃ」
「手厳しいですな教授」
2日目と3日目、ハイジ隊は生存に徹ししているだけでなく、戦闘場面に顔を出しては嫌がらせを行い、また旧市街西部と南部に駆けて複数の罠をしかけるなどを行っている。
あらかじめ予測しているのか、戦況が混乱する中盤を、最低限のリソースで過ごしきる方針は理にかなったものとなっている。
対して、北東部ではハイジ隊と異なり、対峙する部隊をひとつ残らず戦闘を仕掛け、確実に部隊討伐を重ねていくフィリップ隊。
戦闘継続能力の高さ、王道の戦術を執る豪胆さ、部隊の完成度の高さをポテンシャルが垣間見える。
両部隊の戦術はどちらも異なるが、戦況を自ら動かすと居て戦略の一点においては一致している。
「今期の団員たちは期待出来るかと思います。気になるヤツはいましたかドラガン陛下」
「…」
鋭い眼光で映像媒体を確認する壮年の男性。
「早々に脱落した奴らを我が国で引き取ろう、鍛え直してやる」
「それはありがたい」
「それと…日出の小僧を貰おうか」
「いかんぞムル坊!彼奴はワシが先に唾をつけたんじゃぞ」
「マガ翁…」
「あの暴れん坊の坊ちゃんで妥協せんか」
「いや他国の王子には手出せんでしょうに…」
壮年の男性は、リバ大陸の守護者、リバ大陸西部に位置する守護国家ウェストドラガンが王、ドラガン・ムルジャ・11世、大陸の英雄王の二つ名を持つ豪傑。雲の上の存在を坊っちゃん扱いする賢人、両者のやりとりは教官たちの胃を締め付ける。
こうして、各団員は己が知らない場所で訓練終了後の行先が決まれてしまった。




