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第70話 衝突変

虎彦と剣蔵が助けを求めてきた。

元いた町に帰らなければならないのだが、まだ帰りたくないのだと言う。

俺たちは、友人を放っておくことができず、協力することにした。

英春「とはいえ、計画は立てないといけないよな。どう動こうか。」

幸伶「直接2人の親にやめてって言いに行こうよ。」

虎彦「それができてたら苦労しねえぜ…。」

和城「まあ、虎彦と剣蔵の親、すごく怖そうだしね…。」

疾照「うーん、話し合いで解決するのが1番いいんですがね…。少人数で向かっても圧倒されて終わりそうですよね…。」

望美「うーん……。」

数分くらい、俺たちは案を出し合ったのだが、結局何も解決しなかった。

幸伶「とりあえず話をしてみようよ。もしかしたらどうにかなるかもよ?」

剣蔵「だ、だが、うちの親は…。」

英春「素朗、瑞穂、幾斗あたりについてきてもらおう。少人数だと無理かもだが、大人数なら…。」

虎彦「…そうだよな。そうしようぜ。」

望美「よーし、さっそく3人の家に向かおう!」


玄関から外に出たのだが、いつの間にか雪の量が恐ろしいことになっていた。もはや大雪と言えるほどで、地面に10センチくらい積もっている。

風も強いため、厚着していても布地を貫いて寒さが突き刺さってくる。

幸伶「う、うわぁ…。ここまで降るんだ…。」

英春「もはや東北だな…。異常気象だろこれは…。」

疾照「大丈夫ですかね…。こんな状況で行っても…。」

和城「…控えたほうがよかったかもな…。」

顔に引っ付く雪をどけて、前を向くのが精一杯で、なかなか前に進めない。道の角にさしかかるまでに5分もかかった。

英春「くそ…、全然進めない…。」

和城「ここにいる全員、雪慣れしてないもんな…。」

俺たちが嘆いても雪は止まることを知らず、どんどん積もっていく。

昼下がりなのにものすごく暗く見えるので、やたらと怖く見える。

特に、このあたりは側溝にフタがついていないのだが、どこまでが道でどこからが側溝なのかよくわからない。

結局、我が家から1番近い場所にある素朗の家にたどり着くのに30分もかかってしまった。

望美「つ、ついた…。」

剣蔵「足が変な感じがするぜ…。」

虎彦「そりゃ、さっき側溝に足突っ込んでたもんな。」

剣蔵「言うなバカもん。」

和城「何でもいいが、早く呼び出そう。動かないというのは寒すぎる。」

幸伶「よ〜し、ピイイイイインポオオオオオオン!!」

英春「お前どんな時でもうるさいんだな!何でインターホンあるのに自分の口で言うんだよ!何か前にも似たようなことあったし!」

幸伶「え、あるの?見当たらなかったから…。」

疾照「いやいや、ありますよここに…。…あれ?」

望美「んん?あれ、なくない?」

虎彦「ほんとだな。」

英春「いやいや、前行ったときにはあっただろ。…本当だ、ない…。」

素朗の家の玄関の横には、彼女の名字である「木戸」と書かれた表札があり、その下にインターホンのボタンがあったはずなのだ。

しかし、ボタンがあった場所には、汚れていない壁が現れていた。

英春「…ならノックするか…。」

幸伶「え、大声のほうが効果的じゃない?」

英春「そりゃ効果的だろうが、近所の方にも迷惑がかかるからダメだ。」

俺はそう吐き捨てて、扉をノックした。

すると、家の中から素朗の声が聞こえてきて、すぐに出てきた。

素朗「あれ、何か大所帯だね。また幸伶が何かやらかした?…ん?いるね今日は…。」

幸伶「僕そんなふうに見られてたんだね…。」

望美「自覚なし…。…そらゃそうか。」

素朗「とりあえず入りなよ。今、瑞穂と幾斗も来てるからさ。」

和城「おお、ちょうどいいな。」

剣蔵「ご都合主義だなあ。」

英春「それは言うな。じゃあ、お言葉に甘えて…。」

俺たちは、とりあえず素朗の家に上げてもらった。


俺たち全員が用意された席についた後、俺は話し始めた。

英春「…というわけだ。それで、3人にも協力を頼みたい。」

素朗「なるほどねえ…。」

瑞穂「虎彦も剣蔵も、案外ここが好きなんだなあ。」

幾斗「別にKYORYOKUするのはかまわんが、何をする。」

英春「いいや、君たちは何もしなくていい、ただ、虎彦と剣蔵の戦いを眺めるんだ。」

素朗「…どういうこと…?」

当たり前だが、3人はこの意味のわからない説明に疑問を持った。

俺は、疾照に目で合図をして、話者の交代を指示した。

疾照「私が説明しますね。私たちは、お2人の行く末を見守るんです。あくまでも、この村に残れるかを左右するのは、虎彦さんと、剣蔵さんです。私たちが、深く干渉するべきではないんです。

お2人が、親と、本気で話し合い、言い合う。それは、お2人が望む"助け"です。その場にいるだけで、力になれる。そうですよね、虎彦さん、剣蔵さん。」

虎彦「…ああ。」

剣蔵「そうだ…。」

疾照の説明を聞いて、この3人が納得したかどうかは、心の中を聞いてみないとわからない。

幸伶と望美も、それには納得していない。

だが、素朗も、瑞穂も、そして幾斗も、何も言わずにうなずいた。

俺たちは、最後に決行日を定めてから、解散した。

そして、虎彦と剣蔵は、決行日その日まで、俺たちの家に居候することになった。

その間も、冷めた雪は、地面を埋め、道路と側溝の境目をわからなくさせた。

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