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FELLO WSHIP WORLD 〜人の心を描く者より〜  作者: ハクタカ ヒバリ
新夏編

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第40話 少年らの夏の風物詩

さて、疾照の怒りも冷めやんだ。そんな中、俺たちは…。

幸伶と望美の宿題の見張りをしています…。

いや、本当、なんでなんだよ…。自業自得だろうが…。そう思っているのは俺だけじゃないようで、俺のすぐ隣には和城と疾照が座っている。

宿題ため込みの2人は夕食後すぐに取り組み始めたが、すでに時刻は午後8時。

俺たち見張りはそれぞれ交代しながら風呂だの歯磨きだの済ませていた。

そして、やはり眠くなってくる。さっきから望美が2回くらい寝落ちしかけたため、俺はすばやく望美の後頭部をぶっ叩いた。

いつも食事を済ませる居間にいるわけだが、幸伶と望美が向かい合わせにして座っており、そこからちょうど直角の誕生日席に俺たち3人が詰め詰めで座っている。

幸伶「……。」

望美「……。」

双方、問題の理解が出来ずに目が点になっている。確かに、そこは俺もかなり苦戦して解いた。

結局、疾照も和城もわからなかったようで、3人寄れば文殊の知恵ということで、四苦八苦しながらなんとか答えを導き出した。ちなみにこれは7月の出来事である。

疾照「…苦戦してるようですね…。」

疾照がひそひそと話し始めた。

和城「うん…。…あれは、僕らにとっても苦い思い出しかないし…。」

疾照「…助けます…?」

英春「…向こうから声かけてきたらでいいだろ…。」

正直、普段からずいぶん神経をすり減らしてきた俺にとっては、ここにいること自体が苦痛だ。さっさと布団に潜り込んで涼しく寝たい。

が、やはりそれも許されない空気感なので、ここにいるわけだが、やはり騒がしいこの2人が静かなのはまずありえない。

せっかく休める空間になりかけているのに、わざわざ自分から脳を使いたくない。

というのが、俺の主張である。

和城「…それもそうか。」

疾照「…ですね。別に、私たちは見張りをお願いされただけですし…。」

和城「あいつらは恩を仇で返すから、できなかったらできなかったで別にいいか…。」

英春「…明日はどうせ午前中で学校終わるし、3人でおつかれ会しようか…。」

和城「…しよう。」

疾照「しましょう。」

こうやって何か楽しみを用意しないと、俺たちは精神的に参ってしまう。初めてここに来た時とは別な意味で、不安になってきた。

幸伶「あ、やっと解けた!!」

…今、俺の耳に不自然な言葉が入ってきた。どうやら幻聴が聴こえてしまったようだ。これは…、まずい…。

和城「まずいな…幻聴聞こえてきた…。」

疾照「私もですよ…。」

英春「奇遇だな。俺もだ。」

…え、まさか本当に解いたのか…?にわかには信じがたい…。そこで、俺たちはこっそり幸伶の後ろ側に回って宿題の冊子を覗き込んだ。あの問題はページの最初のほうだったから、次の問題にかかり始めた幸伶のものを確認することができる。

英春「!!!!!!!!!」

和城「!!!!!!!!!」

疾照「!!!!!!!!!」

なんと、そこには俺たちが知恵を振り絞ってたどり着いた正解が書いてあった。

俺たちは無言で元の場所に戻ると、何事もなかったかのように座った。

望美「ん、あれ?三人ともどうかした?」

英春「いや、なんでも…。」

探られると面倒なため、俺は適当にごまかした。だが、たぶん顔には出ていた。幸伶の難読問題の正解が衝撃的だったために、しばらくまともに思考ができなかった。

和城「…馬鹿と天才は紙一重、って言葉は、本当だったんだな…。」

疾照「…私たちもだいぶ思考が凝り固まってしまいましたね…。」

英春「…いや、俺らまだ10歳だぞ。」

いつもおちゃらけているやつが難解問題を解いたことの衝撃か、はたまた自分たちが苦労した問題をたやすく解かれてしまったことへの恨みかはわからないが、疾照の言動が少しおかしくなった。

…疾照って、繊細なのかもしれない…。

望美「ヒデー、Help me!」

英春「なんでそんな発音がいいんだよ…。何。」

望美に呼ばれたので、俺は持論に従って助け船を出すことにした。…算数だと困るが…。

英春「で、何用だ。」

望美「このドイツの歴史って問題、よくわからないんだけど…。」

英春「…なんで小学4年生の宿題に歴史があるんだよ。しかも世界史だし。」

望美「え、ヒデって全部の課題やったんじゃないの?」

英春「終わらせたけど。」

その時、俺と和城、そして疾照は少し青ざめた。そして、全員でダッシュで自室に駆け込んだ。

そして、ランドセルの中に詰め込んだ宿題の冊子の束を漁る。

…そして、その束の中から、見覚えのない冊子が出てきた。

そこには、”2年前からの予習!小学生のための世界史”と書かれていた。

う、嘘だろ…。やり忘れの宿題が、ある!!!!

俺は絶望しながら部屋から出た。そして、目の前には…。

…絶望しながら崩れ落ちている和城と疾照があった。…こいつらこんなんだったっけ…。

英春「…おい、はやく終わらせるぞ。」

俺はこの死にかけな二人を無理やり連れだして、階段を降りようとした。

英春「…どうしよう…。降りれん…。」

寝転がったまま階段を降りるなんてことは、一般の人間には不可能だし、幸伶とか望美とか幾斗とか瑞穂とかなら2階から落っことしても多分大丈夫なんだろうが、和城と疾照は無理だろうな。

英春「おーい、幸伶、和城と疾照を居間まで運んでくれ。」

居間の方から声が聞こえてくると、すぐさま幸伶がやってきて、軽々と2人を持ち上げて持って行ってしまった。…本当に何なんだあいつ…。

その後、俺たちは5人で協力しながら何とかその問題集を解いた。終わった時には、すでに午後11時になっていて、周りにはラムネの袋が散乱していた。

俺たちはいやになって、ろくに片付けもせずにそのまま寝た。

幸伶「な、なんとかなった…。」

英春「…見張りしててよかった…」

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