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FELLO WSHIP WORLD 〜人の心を描く者より〜  作者: ハクタカ ヒバリ
新夏編

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第39話 混沌とした夕食

幸伶「あああああああ!!」

英春「うるせえ。」

開幕早々我が家は騒がしい。8月も下旬が近づき、もうすぐ夏休みも終わろうかというときにこれである。

伊良湖の海旅行の後、俺の誕生日、人生初の家族以外に祝ってもらえたもの、があったり、望美によるひまわりの花ばらまき事件があったり、休みなのに休めないといった状況が続いた。

そして、今日8月31日は、夏休み最終日。幸伶だけでなく望美も騒がしい。理由は見当がつく。どうせ宿題が終わっていないのだろう。

俺、和城、疾照はすぐに終わらせたのでのんびり過ごすことができるが、この哀れな2人はそうでもない。

幸伶「英春く〜ん助けてよ…。」

英春「断る。お前、この前忠告したらまだ大丈夫だって言ってだろ。」

幸伶「いや、言われてないよ!」

英春「言った。俺は知らんぞ。」

俺はその場から逃げるように自室に戻った。

英春「本当、騒ぐ暇があればとっとと宿題進めればいいのに…。」

ようやく安寧の地を手に入れた俺は、何も考えずに横になった。

夏特有の暑さとセミの声、多分ミンミンゼミ。あとは、この前つるしたばかりの風鈴と、和室である俺の部屋にはぴったりな情景が揃っていた。

しかし、暑いのは困るので、俺は扇風機をつけた。下では、先ほどまで騒いでいた幸伶が、いつの間にか静かになっていた。

…疾照あたりに文句でも言われたのだろう。相手にしないのが得策だな。そのまま、俺は適当に昼寝したり読書したり、パソコンでちょっと面白そうな記事を探したりと特に生産性もない時間を過ごしていた。

そうしているうちに、夕食の時間になる。今日は疾照が食事の当番だ。だから俺は呼ばれるまでダラダラできる。散々頑張ってきたんだ、コレくらい許されてもいいはずだ。

そうしてもうしばらく寝転がっていると、

疾照「英春さん、晩御飯の支度が終わりましたよ。」

と、下から疾照の声がした。

俺は体を起こし、数時間ぶりに下に降りると、そこには、大変な景色が広がっていた。

英春「……なにこれ。」

和城「……しらん。」

居間には、幸伶と望美のものであろう宿題の冊子やプリントが散らばっていた。

英春「汚え…。片付けろよ…。」

和城「おい、幸伶、望美、さっき疾照からきつく言われてたんじゃないのか?」

すでに忠告されてんのかよ…。よりたちが悪いぞ…。

幸伶「片付けてる時間はないんだよ!!」

望美「そうだよ!!夏休み終わったら、私たち死んじゃうよ!!」

英春「社会的に死ぬ程度じゃ人は生物学的に死なんぞ。いいから片付けろッ!!」

幸伶「あ、あああああああああ!!」

俺と和城は容赦なく幸伶と望美の宿題の山を取り上げ、まとめて床の間の方に置いておいた。

だいたい、今から夕食なのになぜ今を汚すのか、俺には理解できん。

疾照「皆さん、準備できましたか?」

和城「一応だな。」

疾照「今日はそうめんにしました。」

そう言って、疾照はどこで手に入れてきたのかわからないうどん桶をちゃぶ台の真ん中に置いた。つけ麺タイプらしい。

丁寧にも、もみじの葉が添えてある…。初めて見た…。

幸伶「またそうめん?」

望美「飽きたよお…。」

確かに夏の間にかなりの回数でそうめんが出てきた。…まあ、本を辿れば7月にどうせたくさん食うからと多めに買ってきた俺と疾照が悪いのだが…。

しかし、作ってもらったものに対して文句を言うのはいかがなものか。しかも、そのうちの片方はロクに料理という料理をしていないようなやつだ。

言葉で説明しなくとも、疾照はそろそろ限界なのだろう。いつ堪忍袋の緒が切れてもおかしくない。

和城「そうめんの何が悪いというのさ。どうせ今夜も熱帯夜だ。そうめん食べて涼んだほうが、僕はいいと思うけどね。」

英春「同感。」

とりあえず同意しておいた。疾照が本気で怒ったところを見たことはないが、正直、想像もできないほど恐ろしいのだろう。普段優しい人ほど、怒ったときは本当に怖いからな。

しかし、そんな俺たちの言葉を平気でぶち破いたのは、やはり、幸伶だった。

幸伶「でもさ、そうめんなんて"誰でも"できるでしょ。」

英春「………!!」

和城「………!!」

望美「………!!」

俺も和城も、そしてさすがの望美でも、今の発言を聞いて絶句した。

そして、ふと疾照の方を見ると、…それはそれは…、怒りの炎に飲まれていた。

疾照「………幸伶さん、庭に出てください。」

幸伶「…え、なんで……??」

疾照「早く!!」

幸伶「は、はい……!!」

さすがに幸伶もビビってすぐに縁側から外に出た。

それに疾照も続く。

英春「……え、…連行された…。」

和城「……もう、あいつは帰ってこない…。」

どうやら、疾照を怒らせると大変な目に遭うらしい…。肝に銘じておこう…。

その後、外からかすかに「先に食べててください。」と聞こえてきたので、俺たちは箸で桶に入ったそうめんをつついていたが、不安になるほどの無音差さのせいか、どうしても箸が進まない…。それは和城と望美も同じらしい…。…無音って、怖い…。

その後、俺たちが無理やりそうめんを胃に流し込んでそれぞれ自室に戻った後、幸伶と疾照は戻ってきたようだが、気分が悪いので何をされたのかは聞かないでおいた。

…もしかしたら、ちょっとでも違えば6月に起きた殺人犯立てこもり事件も、疾照の力で止められたかもしれない…。…ああこわい…。夏の下手な怪談よりよほど怖い。

…が、そんな雰囲気も、再び下で幸伶が騒ぎ始めると、簡単に崩壊した。

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