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FELLO WSHIP WORLD 〜人の心を描く者より〜  作者: ハクタカ ヒバリ
執行編

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第15話 虎が鳴く

博斗くんの家に避難してから、数時間が経過した。

すでに幸伶は退屈し始めており、その場でブリッヂ歩行し始めた。殺人犯がうろつくこの状況も怖いのだが、幸伶のトンデモ行動に慣れ始めた自分にも、別の意味で恐怖している…。

澄晴「退屈してるだろ。」

望美「うわっ!って、澄晴くんか…。びっくりしたー。」

いつの間にか俺たちが借りてる部屋に澄晴くんが乗り込んできた。

澄晴「スズムシを持ってきた。見たいやつは隣の部屋に来な。」

幸伶「見る見るー!」

和城「…少し気になる。」

2人は澄晴くんに連れられ、隣の部屋に移動してしまった。というか、何で他人の家に虫を持ってくるのだろうか…。

幕奈「また虫を持ってきてる…。あのバカ、どんなときでも虫取りが第1優先だから困るよ…。」

いつの間にか、幕奈さんもいた。そして、何の違和感もなく疾照と望美の間に座っていた。この人の行動、恐るべし…。

疾照「…なんか、中学生というか、高身長な小学校低学年生ですよね…。あの人。」

英春「…お前もけっこう言うんだな…。」

幕奈「あんなんでも、仲間思いだからさ、ああしてあの子たちの恐怖心を和らげようとしてるのさ。無駄に一発芸も得意だしね。ほら、そろそろ聞こえてくるはずだぞ。」

俺たち3人は、壁に耳を当てて、声を聞こうとした。

澄晴「ここで、一発芸!"見よ!地球の傾き23.4度おおおおお!!"」

幸伶「…へ?」

和城「…ああ、そういうことか…。」

…これは、知識のある人にしか伝わらない芸だ…。

小学校4年生が地球の自転軸のことなんて、宇宙とか科学好きじゃないと知らないだろう…。

そもそも見えないからどうなってるのかよくわからないし…。

しかし、よく幸伶と和城の笑い声が聞こえてくるから、一発芸はともかくいい人なのは間違いなさそうだ。

幕奈「…すまない、あんまり得意ではなさそうだ…。」

幕奈さんは、あきれた様子を見せた。しかし、顔は笑っている。博斗くんを含め、この3人は仲が良いのだろう。

すると、下が何やら騒がしくなってきた。博斗くんの声ではない。

望美「なんだろ。下が騒がしいね。」

疾照「確かに…。騒がしいですね。なんか、女性の声が聞こえてきますが…。」

幕奈「…博斗の母親の声じゃないな。ちょっと様子を見に行こうか。」

望美「ヒデはどうする?」

英春「俺もついてく。向こうの部屋にはいる勇気もないし…。」

幕奈「決まりだな。私の後ろにいるんだぞ。」

そう言って、俺たちは下に降りることになった。

なぜそうしているのかわからないのだが、みんな忍び足で降りるもんだから、俺も忍び足をせざるを得なかった。

下まで降りると、博斗くんが物陰に隠れながら玄関を覗いていた。

幕奈「…何してんの?」

博斗「うわッ幕奈かよ…。いや、向こう見てみな。」

そう言われて、俺たちは博斗くんと同じように物陰に隠れて玄関を見てみた。

女の人と、警察官だと思われる人が話し合っていた。

家のなかにいる人は、よくある主婦、と言った服を着ており、料理中だったのか、お玉を手に持っている。

警察官のほうは、鋭い目つきをしていて、親に持ったら恐ろしいことになりそうだ。

普通の服の方は、恐らく博斗くんの母親であろう。

よく耳を澄ますと、会話が聞こえてきた。

「というわけでして、子供の安全を確保するため、中学生以下の年齢の子供は追風小学校に集まるようにと言い渡されまして。」

「で、ですが、この状況で子供たちを外へ出すのは…。」

「お気持ちはお察しします。私にも息子がいますから。ご安心を。学校にも警察官が数人待機しておりますし、学校に着くまでは私が見守りします。」

望美「…どういうこと?あんまり聞き取れなかったけど…。」

英春「俺らは学校に行かなきゃならんらしい。」

疾照「…仕方ありませんよね。いっぺんに監督できた方が守りやすいですし。」

俺らもひそひそと話す。そうしないと向こうに聞こえるからだ。

「仕方ありませんね…。博斗ー、ちょっといい?」

博斗「何?」

博斗くんは呼ばれて、玄関に向かった。

「博斗、この警察官さんが学校まで送ってくれるわ。上にいるみんなを連れて、学校に避難しなさい。」

博斗「わかった。おーい、みんな、支度してくれ。避難の準備だ。」

俺たちはすぐに支度をし、博斗くんの家を出た。目まぐるしく環境が変わるので、少しお腹が痛い…。

澄晴くん率いる男子組が遅かったが、なんとか全員集合した。

名郷「はじめまして、私は新澤名郷(ニイサワナゴ)。警官よ。これから追風小学校まで私が引率するわ。よろしく。」

あれ、この人の名字、新澤って言ったよな…。

望美「あれ、名字が新澤なんですか?」

名郷「そうだが、それがどうした。」

疾照「虎彦さんのお母さんですよね。」

名郷「そうか、君たちは同級生か。虎彦は変なやつだが、根はいいやつだ。仲良くしてやってくれ。さあ、行くぞ。あんまり外にいる時間が長くなると危ない。」

俺たちは学校へ向かう。道中、緊張からかみんなの会話はなくなった。俺たち以外にも警察官に連れられて学校に向かう下級生の子たちを見た。

だが、犯人が捕まらなければこの状況は変わらない。

俺たち子供には何もできないが、早めに解決してほしい…。

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