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FELLO WSHIP WORLD 〜人の心を描く者より〜  作者: ハクタカ ヒバリ
解凍編

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第10話 通学路の片隅に

さて、今日も早起きして弁当と朝食を作らねば。

初登校から一週間。かなり新しいサイクルにも慣れてきた。和城も料理の練習をしているらしく、よく手伝ってくれるので、朝は幸伶以外の4人体制でスムーズに準備できる。

望美「えー、疾照、それ昨日も入れてなかった?」

疾照「でもおいしいですよ。福神漬け。」

英春「…お前かよ福神漬け…。」

疾照「あ、嫌いでしたか…?」

英春「いや、毎日食ってたから、飽きただけ…。」

とまあ、こんな感じで、雑談しながらなので、案外楽しくやれている。去年までとは大違いだ。

和城「英春、パンは焼いたぞ。」

英春「わかった。じゃあ、ベーコンとか卵とか、色々乗せて居間まで運んでおいてくれ。」

和城「了解。」

こちらの弁当もあと少しで完成しそうだ。…にしても献立考えるの難しいな…。全国の料理する系の親御さんに、感謝するべきだな…。

望美「疾照もだいぶ料理上手くなってきたね。」

疾照「そうですかね。望美さんと英春さんの教え方がうまいんですよ。」

英春「…じゃあ、今年の冬はグラタンでもやるか。」

望美「うえーッグラタン作るのかぁ…。まあ、頑張ろ!」

疾照「え、大変なんですか…?」

英春「……。」

俺と望美は、2人で黙って頷いた。その瞬間、疾照の顔が青ざめたのは、はっきりとわかった。


幸伶「ぬぬんぬんぬぬんぬーん、のののーんのんのーん。」

英春「…変な歌だな…。」

朝食を済ませ、毎度のごとく全員でまとまって登校しているのだが、登校中、幸伶がこの世のものとは思えないほどの歌を歌っていたので、聞いてみた。どうやら、この場にいる全員が俺と同じ事を思っていたらしい。

幸伶「これ?夢の中で宇宙人が歌ってた。星の名前が、サチーレイ星なんだって。」

望美「うわー、幸伶みたいに頭悪そうだね。」

幸伶「実際、頭悪かったよ。1+1をエルテンエルって答えてたんだもん。」

エル(小文字l)ten(英語で10)エル(小文字l)ってことか…。

…とりあえず皮肉が伝わらないのはまずいな…。

そして、俺はこの通学路で、毎回気になっているものがある。この神社だ。

住宅地の中から突然現れること以外は特に変な部分があるわけでもないが、本来、狛犬が置かれているであろう場所には、モミジの葉を模した石像が置かれている。名も、紅葉神社と言う。

境内にモミジやらカエデやらが植わっている様子もなく、この辺りの地名が"紅葉"というわけでもない。

いささか不気味ではあるが、考えても仕方ないので、

何か適当な会話をして、この心内のモヤを消し去ることにした。

英春「…ところで、話は変わるが、幸伶の料理は、その…、色々とヤバいらしいな…。」

望美「ヤバいなんてものじゃないよ。劇物だよアレは。人が食べれるようなものじゃないよ。毒を無効化できる能力者じゃないと、無理だね。」

和城「…幸伶に聞かれてないから今言うが、昔、疾照がそれを食って2週間入院した。」

…マジでヤバいものだとは思わなかった…。俺の心内のモヤは、消えるどころか増してしまった。


特に変なことはなく、午前の授業は終わり、昼休みになった。そして、俺は初めて図書室を使ってみた。

初めて見る本や、かなり年季の入っていそうな本、郷土史まで、色々あって飽きそうもない。

七夜「…英春くんも、読書好きなの?」

七夜「あ、七夜。まあな。本は想像力をかきたてるから、何度読んでも飽きない。」

七夜「確かに。」

特に変なことはない、と言ったが、変わったことといえば、こうして七夜も周りと会話をしようとし始めたことだった。クラスメイト全員が、七夜との会話をしっかり受け入れるので、やはり、俺のクラスに完全な悪は居ないのだろう。俺も安心して、輪に入れていることからも、これは事実だ。

七夜「郷土史をお探し?」

英春「あー、そうだ。ちょっと気になることを見つけてな。」

七夜「…どんなこと?」

英春「…紅葉神社についてだ。あの神社、他とは一線を画す雰囲気があって、興味深い。」

七夜「神社についてなら、この本がいいよ。」

そう言って、七夜は1冊の本を俺に手渡した。

タイトルを見ずに、とりあえず適当な(ページ)を開いてみた。

ちょうど紅葉神社についての文章がつづってあったが、難解でよくわからん。そもそも、普段ひらがなで使われている言葉が漢字で書かれていたり、戦前にありそうな、古い言葉も多用されている。…小4には、キツそうだ…。

とはいえ、なんとなく理解できた部分もあるにはある。

この、"善行を尽くしたる者に対し、土着神より授かる物有"という一文。

続く、"其れは、主に紅葉人術なり"との文。

その前後がわからないので、話は迷宮入りだが、ともかく俺はこの本を借りて、家で読み解こうと思った。


七夜に礼を言った後、俺は教室に戻った。相変わらず騒がしいが、俺は迷いなく会話の輪に飛び込んだ。

英春「…何してんだ…。」

幸伶「腕相撲しながら指相撲してるのさ!」

鍛郎「うおおおおあああああ!!」

幾斗「おお!これはHAKUNETSUした勝負だ!」

凌貴「これは、すごい…。」

英春「…めちゃくちゃな…。…次は俺にも戦わせてくれよ。」

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