150.アベルとルーカスの気持ち
翌日の夜中、シルフィーナはアベルの所に行ったが、ガイはルーカスの所に来た。
「どうしたんだい?ガイ?」
しょんぼりとやってきたガイを見てベッドの上に胡坐をかいた神霊体を顕現したルーカスが言った。
「アベルの所に行ったらシルフィーナ様が、今日は一緒に居なくていい、ルーカスの所に行きなさい、と言ったんです」
「そう、もうすぐ定着だからね。アベルを二柱だけにさせたかったんだよ」
「ええ、分かっています。分かっているんですけど・・・」
「ガイは、二柱だけで1週間のお籠りをしたんだろ?アベルは二柱だけでお籠りってしてないんだよ。覚えているかい?アベルが定着前のお籠りって僕たちが結界を張って見守っていたんだよ」
「あ!そうでした」
「ね、二柱だけにしてあげなよ。僕とアベルは多分、多くてあと2回しか機会がない。でもシルフィーナ様を万全の状態で体内に送り込むには2回目は諦めるしかないと思うよ。それでもシルフィーナ様が来てくれるなら、僕は一緒に眠るだけを選択するよ。それで十分だよ」
とルーカスはにっこり笑ってガイに話した。
ガイはルーカスが自分よりも大きな心持でシルフィーナを見守っているのを知った。
「ルーカス、済まない、俺の狭量さ加減に自分で恥ずかしくなった。済まない」
そう言うとルーカスは腕を大きく広げて
「おいで、ガイ、僕もガイと一緒でシルフィーナ様に会えなくなるのは寂しいんだよ。僕もアベルも寂しいんだよ」
そう言うとルーカスの腕の中に吸い寄せられたガイを抱きしめた。
その翌日の夜中、ガイはルーカスの所にシルフィーナを送り届けるとアベルの所に一柱で向かった。
「ガイ、来たか。待っていたぞ」
アベルの顔はすっきりしているが、真剣な面持ちをしていた。
「ガイ、まだ少し早いが、この2年あまりシルフィーナ様を大切に守ってくれてありがとう、感謝する」
「アベル?当たり前の事じゃないか。俺たちの女神だ。残った俺がお守りするのは当然のことだ」
「ああ、そうだな。だが、あのお方のお世話は大変だっただろう?そしてお優しかっただろう。それにお美しく気高く、俺たちの女神は俺たちの自慢の女神だ。そうだろ?」
「ああ、そうです。そして気難しい。ふふふ、俺はシルフィーナ様が大好きです」
「俺もだ」
あこがれを顔と声と言葉で表していたアベルの表情がまた真剣な表情に戻る。
「ガイ、シルフィーナ様の定着のご様子や定着中のご様子、お前の見たことを逐一俺とルーカスの教えて欲しい。俺とルーカスは屋敷から動くことが出来ない。お前だけがシルフィーナ様と俺たちを繋ぐものだ。頼む」
とアベルはガイに頭を下げた。
「アベル、それは頭を下げることではない、頼まれることでもない。そんなことをしなくても俺のやることだ。俺たち三柱で力を合わせるために俺はシルフィーナ様と神従の間をぐるぐる回るよ。大丈夫だ、ちゃんと報告するから」
アベルはガイの話しに納得がいったようだった。
「そうか、任せるぞ、ガイ」
そしてアベルもまたガイを呼び寄せるように大きく腕を広げ、ガイもまたその呼び声に吸い寄せられて抱き着いた。
「明日は、いや、もう今日か、フローリア様のお茶会だってな。シルフィーナ様とお前の睡眠時間が減ってしまうな。明日の訪問は遅くなると思って置くぞ。少しだけでいいからシルフィーナ様のお顔を拝見したい。だが、定着までシルフィーナ様の体調管理をしっかりしてくれ。寝不足で定着に入らないようにしてあげてくれ」
アベルの顔をしっかり見据えてガイはゆっくり頷いた。




