145.新しい部屋
スタニスラガ王国の王城の夜は、フローリアを迎えて大忙しだった。
歓迎の夜会などは、翌日以降に目白押しだが、到着早々、フローリアは自室の居間で一息付けた。
女官を3名連れてきたが、スタニスラガ王国の女官がフローリアに慣れたらラナダ王国へ帰る段取りになっている。
スタニスラガ王国のフローリア専属身の回り担当の女官はとりあえず5名、フローリアの好みや生活習慣などこまごまと引継ぎをすることになる。
キアをシルフィーナの様子を見に行かしたが、居間には女官がウロウロしているので、キアはとりあえずの報告だけした。
『まずはモリエール侯爵夫人の様子ですが、妊娠しております。ですがまだ分裂が少ないので定着はもう一週間様子見ですね。シルフィーナ様とガイはまだ繋がっており、ガイは起きていましたが言葉を発せず、シルフィーナ様は爆睡でした』
「爆睡」
「フローリア様、何か御用でございますか?」
「ええ、紅茶のお代わりとお菓子を頂けるかしら?」
「かしこまりました」
思わず漏れた言葉に女官が反応し、要らぬ世話を焼いてもらうことにした。
神霊体の顔だけ振り向いて
『お兄様にそのように報告をして頂戴。あの子の定着までに起きて来るでしょうからしばらく寝かしておきましょう。ついでにお兄様にお腹が空いたから晩餐を誘いに来て頂戴って言ってきて』
『かしこまりました』
キアが消えてからフローリアの座っているソファの後ろに控えていた神従のカイルが神霊体で口を開いた。
『私たちはどうなるのでしょう?フローリア様の部屋から遠い部屋をあてがわれるのでしょうか?晩餐はさすがに別ですよね?』
『お兄様も神従と食事をしているそうだから、一緒でもいいと思うけど?それもキアに聞いてもらったらよかったわね。まあグイドとダーレンに付いて行けばいいはずよ』
『私もお腹が空きました』
と大食いと定評のセムスが言った。
女官がウロウロしていても神霊体で内緒話が出来るので神族は便利だ。
『フローリア様、行ってまいりました。すぐにダーレンが晩餐の誘いに来てくれます』
帰ってきたキアが教えてくれた。
暫くして、コンコン、ドアがノックされ、女官がドアを開けて対応した。
流石隣り、思いのほか早く迎えに来たのは報告通りダーレンだ。
「フローリア様に申し上げます。アレクシウス様専用の食堂にて晩餐のご用意が整いました。お支度はなさらなくても大丈夫ですのでお気軽にお越しください。尚、アレクシウス様の方針により、従者がご一緒させていただきますがご容赦のほどよろしくお願い申し上げます」
「と言うことは、私の従者も一緒でもよろしくて?」
「もちろんでございます。ご用意申し上げております」
「分かりました、早速参りますわ。カイル、セムス行きますよ。ダーレン様、案内をよろしくお願いします」
「かしこまりました。フローリア様、私目のことはダーレンとお呼びください」
フローリアは頷いてついて行った。
『女官がウロウロするので白々しい会話でしたね』
とキアが付いてきて笑いながら言った。
『仕方が無いわ。今日は特に私の部屋は荷物を入れるのでバタバタね。食事は落ち着いたお兄様の食堂でほっとするわ』
そして移動は一つ下の階のフロアだった。




