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祖父の工房が異世界の森につながっていた件~森の賢者は魔道具修理やさん~  作者: 海水『墓地ダンジョン』書籍化予定
第一章 森と工房

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第6話 領都に行こう③

「魔導具の引き取りもあるが、本題は領都に来てもらえないかという相談だ。直してもらっただけで我らはお礼もできていない」

「お礼はいいですよ。じーちゃんが作ったものの修理ができたんで。直すのも楽しかったです」

「カマエ殿、遠慮は無用だ。お礼を考えたが、先日ここで世話になった際に見た数々で、我々が用意できるものでは礼にならんと判断した。肉や食材も野菜、果物などの食材とここにある魔導具の方が優れていたのでな」


 スフレが申し訳なさそうに眉尻を下げた。


「ここには大したものはなかったはずですが。でも、領都は気になるなぁ。魔導具ってあるんですかね。どんなものがあるのか見てみたいなぁ」


 構としてはお礼は不要だがこっちの文明は気になっている。魔法も気になるし、日本にはないものがあるんじゃないかと期待もある。魔道具なんて素敵なものが見れるチャンスを見逃す手はない。

 ただし。


「明日は仕事があるんで行けないけど、それ以降なら4日間は空いてます。日帰りできる距離ではありそうですけど、それでもいいですかね」

「うむ、我々は問題ない。しかしいま、日帰りできそうな距離と言ったが、なぜそう思ったのだ?」


 スフレの目が細そまる。美人ににらまれ、構は変な性癖に目覚めそうになる。


「実は、空からこの森を見たときに遠くに都市が見えたんで、もしかしてそれかなーって」

「空から見たと?」

「えぇ、自分は飛べないけど、代わりにカメラを持ったドローンを飛ばせるので」

「かめら? どろーん?」


 スフレが首をかしげてしまった。ラスクとクッキーも静かに聞いているだけだが頭の中は宇宙猫だろう。


「ドローンじゃわからないか。じゃあ実物と映像をお見せしましょう!」


 構は工房の奥にある大きなモニターとタブレットを持って来た。タブレットとモニターを線でつなぐ。ドローンの録画データはタブレットに移してあった。

 電源を入れモニターが明るくなるとスフレら3人は「おお」と声をそろえた。


「このファイルだな」


 構が動画ファイルを選ぶとモニターに映像が流れる。ドローンがまだ地上にあるときの映像だ。ちょうど工房が映っていた。

 すぐにドローンが浮かび上がり、映像の高さも上がっていく。すぐに木の上に出て、ぐるっと周囲が映し出された。


「あれは、この工房か?」

「うお、マジで空から見てるっす」

「あれは、銀峰山脈でしょうか」


 スフレ、ラスク、クッキーの口から出た言葉だ。

 その後ドローンは上昇し、森の瘴気を捉えた。木々を覆うような禍々しい黒い霧だ。


「あれが森の瘴気か……」

「見るからに邪悪っすね」


 スフレとラスクは顔を顰めている。余程の思いがあるのだろう。構も脳裏にあの時の記憶がよみがえる。黒く禍々しい霧と戦うウサギとクマ。生存のための争いだ。

 その後はドローンが上昇を続け、やがて森の外が映し出された。遠くには城壁のある都市も見える。


「領都って、もしかしてここですか?」


 構がレーザーポインターでモニターに映る都市を指した。レーザーポインターは便利なので常に所持している。


「……間違いなく領都パウンドっす。ってかそれも魔導具っすか?」

「ほかの村や町も見えますね……」

「あれは確かに領都だ。カマエ殿、これはどうなっているのだ?」


 立ち上がったスフレが構に詰め寄る。空から見えるのであれば魔獣の出現を発見しやすくなるだろう。しかしそれを軍事的に使われれば領内を丸裸にされてしまうことでもある。領主たるスフレの父の居場所や何をしているかが知られてしまうのだ。

 スフレはそれを危惧している。


「これで撮影しました」


 構はドローンを見せる。プロペラが4つついた、高性能カメラドローンだ。ラスクとクッキーの視線もくぎ付けだ。


「この、虫のような魔導具が?」


 スフレの眉間にしわが寄る。疑いを隠せないでいた。


「実際に飛ばしてみましょう」


 論より証拠である。ドローンからモニターに線を直結して、カメラを起動させてそれぞれを映した。


「む、私がいるぞ。なぜそこにいるのだ?」

「俺もいるっすね」

「わたくしもおります」


 3人がモニターを凝視する。むむむと難しい顔をしていた。


「じゃあ実際に飛ばすんで表にって、あ、ママさんに言っとかないと」


 3人に声をかけた構はコントローラを持ち森に向かう。うるさいとクレームをもらっていたのを思い出したのだ。


「ママさーん、今からうるさいのを飛ばしまーす」


 少しするとママウサギが森の木を越えて飛んできた。真っ白く巨大なたれ耳のロップイヤーが音もなく着地した。

 「くそでかハネウサギっすわ」と背後からラスクの声が聞こえた。彼は顔からは想像できないほど軽い感じだ。


『なんだいカマエ。またあのうるさいのが飛ぶのかい?』

「ごめんね。スフレさんたちにこいつが飛ぶところを見せたくって」


 構はドローンをママウサギに見せる。


『へんてこな虫だねぇ。まぁ仕方ない』


 ママウサギも渋々だ。ドローンの音でチビウサギが騒ぐのだろう。申し訳ない。


「じゃー飛ばしまーす」


 構はドローンを浮かび上がらせた。

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