↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祖父の工房が異世界の森につながっていた件~森の賢者は魔道具修理やさん~  作者: 海水『墓地ダンジョン』書籍化予定
第一章 森と工房

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
2/9

第1話 祖父の工房とハネウサギ②

初日2話目です。

 工房は子供のころに遊びに来たときは入れてもらえなかった祖父の聖域だ。工作が好きだった構にとってはこれ以上ない苦行であった。

 構はドキドキしながら工房へ向かう。工房は短い廊下の先にあった。アルミ製のドアを開ければそこが工房だ。


「生活空間より広いじゃん」


 床がコンクリートで固められた30畳ほどの部屋で、壁には工具や資材置きの棚がある。壁には無数の釘が打たれており、工具類を壁にかけられるようにもなっていた。祖父の工具も置きっぱなしになっている。祖父は急病で倒れ、そのまま入院し、退院することはかなわなかった。

 部屋の中心にはがっしりした作業台が置かれ、その周りにキャスター付きの丸椅子が置かれている。

 工房の奥は一段上がった板の間で、ミニキッチンもあり、トイレにシャワー室とパーテーションで区切られた仮眠ベッドすらあった。


「ここで暮らせそうだな」


 構はそうつぶやく。

 実際に祖父はここで寝泊まりすることもあった。血は争えない。


「使いこなれた感じがいいよなぁ」


 傷だらけの作業台を手で触れ指で感触を楽しんでいた構だがふと大きな窓が目に入った。


「でかい窓だなって、外に出る戸もあるのか」


 ちょうど南側の壁に1間(約1.8m)ほどもある大きな窓があり、その脇に木の開き戸がある。鍵も閂式だった。


「なんか手作りっぽい扉だな」


 構は違和感を覚えたが祖父が作ったんだろうと決めつけた。家すらも改造する。そんな祖父だったのだ。


「じゃあ窓もじーちゃんが?」


 構が窓に目を向けた。窓の向こうには庭と木の柵と森が見える。風があるのか、さわさわと揺れていた。構は何度も目を瞬かせる。


「家の周りに森なんてなかったよなぁ」


 家の周囲は空き地だった。森などない。構が子供のころの記憶にもなかった。


「窓じゃなくて絵だったりして」


 ガラスに触れたが、指に返ってくるのはひんやりとした硬い感触だ。顔の位置を変えて窓の外を見ると、景色も追従する。そもそも葉が揺れているのだ。


「マジで森があるのか?」


 構は木のドアを開けた。外は雑草と程よく硬い土が広がっており、ドアを出て左手には家庭菜園っぽい畑の跡。右手には工房の窓があり、正面には木の柵と同じく木のウェスタンドアが見える。その先は森だ。

 腰くらいの高さの柵は工房に沿って作られていて、柵まではおおよそ20メートル。かなり広い庭だ。


「ほんとに森だ」


 「へぇ」とつぶやきながら構は柵へ向かう。森の香の風が頬を撫でていく。なかったはずの森ということは、頭の中から消えていた。

 柵まであと一歩という距離でがさがさと森の中で音がした。「うひぃ」と構の肩が揺れる。


「ななななんだ? なにかいるのか!?」


 構の足が止まる。森と言えば熊だ。G県でも熊は出る。やばいと後ずさろうとしたとき、葉の隙間からウサギらしき顔が見えた。真っ白で長い耳で赤い目だ。一瞬目が合った後に、ウサギは葉っぱに消えた。


「なんだウサギかー。森だもん、ウサギがいてもおかしくないよな」


 構はホッと胸をなでおろして柵を調べ始めた。柵の表面はざらついているが指に引っかかるささくれはない。やすりで丁寧に仕上げてある。


「ホームセンターで買える普通の木っぽいなこれ。素地に見えたけど茶色のペンキで塗ってあるからじいちゃんが塗ったのかも」


 構は柵に手を当てながら柵沿いを歩き始めた。柵は工房の裏手に続いていた。


「……こっちって廊下と部屋があるはず。どうなってるんだ?」


 疑問に思いつつも興味が勝った構は柵に触れつつ足を止めない。工房の裏手にはごくごく小さな池があった。柵はそれすらも囲っている。柵の向こうは森しか見えない。


「池に畑。じいちゃんが作ったのかな。じーちゃんそんなのが好きそうだし」


 構は工房を右手に見ながら、ぐるっと一周してしまった。ドアの前まで戻ってきて工房の壁にもたれかかる


「ポツンと一軒家になってるじゃん! どゆこと? ここどこ? 少なくともじいちゃんの家じゃないよね!?」


 構はしゃがんで頭を抱えた。

 自分がおかしいのか。いやここがおかしいのだ。間違いなく祖父の家であり、工房を出た場所なはずだ。

 ではなぜ森があるのか。


「いったん戻ろう」


 ふらふらとドアノブを掴んだ時だった。森から音がして、白いウサギが顔を出していた。


「あのウサギ、まだいたのか」


 不可思議な現象が続くの中、ウサギがいることがひどく現実的に感じられ、構はそのウサギを見つめた。


『ミュー』


 ウサギはひと鳴きすると森から出てきた。白い体毛に長い耳。そこまでは普通のウサギだった。

 だがこのウサギの背には体毛と同じ白い羽があった。飛ぶには小さ過ぎるものだが。


「なんで羽があるの?」


 やっぱり不可思議だと構はがっかりした。そして部屋に戻ろうとドアノブを捻る。


『マッテー』


 白いウサギが柵の前まで飛び出してきた。

1更新の文字数を2000文字くらいにしていますが、もうちょっとほしいなどありましたら教えてください。

2話目から変更するかもです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。