エル堕天使になる
第七の街は、生産の街と言っても良いくらいの街だった。そこらじゅうに武器屋や防具屋がひしめきあっている。
「始まりの街にもあったが、ここに来てようやくNPCの武器屋と防具屋が開放か」
「そうだね。特殊武器とか売ってるんじゃない?」
「師匠、吸血鬼専用武器やダークエルフ専用武器が売っているかもしれませんね!」
ナナがにこやかに話す。
「そういえばさっき頭の中でポーンという音が鳴った」
「ステータスを確認するんだエル」
「了解。堕天使に進化可能になっている」
「へー、すごいじゃねーか」
「おそらく、天使の専用武器を使わなかったからでしょうね」
「あとは光属性の魔法を使わなかったからも含まれていると思うなぁ」
ナナとユリが考察している。
「えいっ。堕天使になりました」
その姿は、今まで真っ白だった羽が、真っ黒になり肌も多少暗くなっていた。
「なんだかかっこ良くなったな」
リュウの感想にジマも同意する。
「ああ、かっこ良くなったぞエル」
「かっこいいですか、どうせなら可愛くか美しくなってみたかった」
「美しいよ、エルちゃん!」
「そうですね。美しいです」
「それは嬉しい」
ユリとナナの言葉にエルは喜んでいるようだ。ここら辺が男女の価値観の違いだろう。
「属性魔法は闇限定になっている。腕力強化強。光属性魔法耐性100%」
「これで光魔法を使える人員がまたいなくなったな」
「堕天使は対天使に特化しているように感じます」
「だよねー。だって光属性魔法耐性100%だもん」
「腕力強化強で更に速い縦拳をだせるようになるかもな。威力も上昇したりして」
「ええ、縦拳は必ず強くなってるわ」
堕天使について考察する五人。
それならば、スパーリングすれば威力が分かるということで相手になってもらった。
第一戦目は対ユリ。
速さも威力も上がった縦拳にユリは鼻血を出して倒れてしまった。
「まだまだ!」
とユリは言っていたが、これ以上の怪我をされても困るので戦闘中止にしてもらった。
次は、ナナの番だ。
襲い掛かってくる縦拳に自分から当たりに行き、ダメージを減らして、お見舞いに上段突きを浴びせる。今度はエルが鼻血を出してしまった。
「ナナは良く考えた立ち回りだったな」
「ありがとうございます。師匠」
ポーション星2を使って万全な体調になった二人は、またスパーリングをやりたがったが、時間的にそれはやめにしておいた。
今晩の宿はまさしくホテルと呼ぶにふさわしい建物だった。ラウンジには、豪華なシャンデリアが飾ってある。
部屋に着くと、トランポリンでも出来そうなベッドが置いてあった。思わずベッドの上でジャンプしてしまうジマなのだった。そしてすかさずグループチャットに、自分がベッドの上でジャンプしている写真を投稿した。
結果は賛否両論で
「やっぱりやってみたくなるよな」
と肯定的なリュウ。
「今からやってみます」
と挑戦する旨を伝えるナナ。
「ちょいちょい。はしゃぎすぎじゃなーい?」
と諌めるユリ。
「男ってなんでこうなのかしら。手に負えない」
と否定的なエル。
こうして夜は更けていくのだった。




