スパーリング
昨日はあの後すぐに宿に戻り熟睡した。そして朝起きると、すぐにゲートをくぐって、ヨウさんのお店に向かった。
「おはようございます。装備を取りに来ました」
「おはようございます。こちらになります」
そう言われて、手渡された装備を見る。
ランナウェイゴリラの装備 星5
速度30%アップ 筋力20%アップ
「とても素晴らしい逸品ですね」
「お褒めに預かり、光栄です」
装備すると以前よりも強くなった印象を受ける。やはり、速度30%アップは大きい。
ヨウさんのお店を後にして、第五の街へ戻る。そしてまた三人を起こしに行ってから、始まりの街へ帰って来た。
「おはよう!早いね」
「おはよう。いつもよりは早いかな」
「あれ?師匠、装備変わりました?」
「流石ナナだな。これはランナウェイゴリラの装備だ。速度30%アップ、筋力20%アップの逸品だぞ」
「おお、そりゃ良いな」
リュウから称賛の言葉を貰う。ジマはもうスパーリングがしたくてウズウズしていた。だが、まずは準備運動と柔軟体操からだ。これをするだけで怪我の予防になる。
「それではナナからスパーリングさせて頂きます」
筋力増強強のナナの攻撃が当たれば、結構なダメージになるだろう。避けきるのが、ベスト、と自分の中で言い聞かせて対峙する。ナナは最初対戦した頃に比べて、荒らさが減った。その代わり、技のバリエーションが増えた印象がある。
「セヤァ!」
もう少しでナナの胴回しが決まるところだった。しかしそこは、速度30%アップ間一髪で避けた。
「危ない、危ない」
「くっ、今のを避けますか。完全に虚をついたと思ったのですが」
「うん、今のは虚をつかれたな。でも速度30%アップは伊達じゃない」
その後はカウンターやカウンターぎみの技でジマが勝ちきった。
「よし、今度は俺とだな」
と、リュウが言う。
速度30%アップなら、リュウのワンツーも避けられるかもしれない。淡い期待を背にリュウと向かい合う。リュウの鬼速いジャブが見える。速度上昇すると動体視力もよくなるらしい。ジマも負けじとワンツーを繰り出すが、軽く避けられてしまう。何度か拳を交えると、かすりはするものの、直撃は今だにない。しかしリュウの方はリズムを掴んできて、ストレート、フックをくらわせてきた。出血代わりの赤いエフェクトが出る。これで更に速度20%アップだ。リュウに悟られないために、あえてリズムを崩す。
「そこだ!」
ジャブがリュウの顔面にヒットする。その後はフックも当たったのだが、それ以上にリュウの打撃が当たってしまい、リュウの勝利となった。
「ボクシングルールじゃなきゃ、余裕だろ」
その言葉にジマは
「あれだけ速度上昇してるんだ。ボクシングルールでどこまでやれるか試してみたくなるってもんよ」
と答えた。
「それにしてもジマの殴りダコには敵わねぇよ。一体どんな修行してるんだ?」
「これか?リアルでは毎晩、漬け物石を殴り続けてた。そういえばシーピーに来てからは石殴りしてなかったな、思い出させてくれてサンキューな」
「石を殴るのが良いのか。ゴツゴツした岩を殴る方が良いのか?」
「いや、なるべく表面のツルツルした岩の方が良いぞ。じゃないと出血する」
そう言って始まりの街を出て、表面のツルツルした岩や石を探す。一時間も経っただろうか。ようやく四人はツルツルの岩を見つけ出した。
「就寝前に岩を叩くと良いんだ。もうこれ以上ゴツゴツした手の甲が嫌なら、話は別だけどね」
「ちゃんとやるよー!もっと強くなりたいもん」
「師匠、私もやりますよー」
「戦うときは基本的に、ナックルをつけているから拳の固さはあまり関係ないけど、いざというときの自信につながると思う」
そんなこんなで午前中はスパーリングと岩探しで時間を使った。




