ナナと手合わせ
料理屋のおっちゃんは、ライメイという名前だった。
「これからはライメイさんと呼んだ方が良いですか?」
「うんや、おっちゃんでもライメイさんでもライちゃんでも好きに呼んで良いぞ!」
ライメイさんは気さくな方だった。
「あと変に口調とか気にしなくて良い。同じシーピーをプレイしてる仲間なんだからな」
「よっ、流石おっちゃん」
ユリの合いの手が入る。
シーピーでは一日一食も食べれば空腹度は満たされる。なんなら三日くらい食べなくても平気だ。それでも食事を摂るのは、日課や娯楽に近いものがある。
料理屋を後にしたところでナナに声をかける。
「これから昼練習をするんだ。ナナも一緒にくるだろ?」
「はい、是非そうして頂きたいです」
「まあ、そうかしこまらなくても良いから、タメ口で行こうぜ」
「その通りー!」
「だな」
「じゃあ敬語なしにしますね。師匠」
ナナの発言につんのめりそうになる。
「師匠はないだろ、師匠は」
「いえ、しばらくは師匠と呼ばせてもらう。その方が気合いが入る」
ナナの断固たる決意に、ジマの方が折れることにした。
「じゃあしばらくは師匠でいいや。気が変わったら教えてくれ」
昼練習はいつものようにサンドバッグを相手にした後、スパークリングをしようと言う話しになった。
そういえばナナは目鼻立ちのくっきりとした美人さんだ。年上なのかなと思ったが、女性に年齢のことは話さないのがマナーなので、気にしないことにしている。
総当たり戦でスパークリングをしたのだが、ナナは誰にも勝てなかった。
「師匠が三人に!?」
「いや、それはジマだけで十分だから」
「そうそう」
喧嘩自慢なのに、いきなり三人に負けてしまってショックなのだろう。ナナは項垂れていた。
「俺達、その道ではそれぞれ全国トップレベルだから仕方ねーよ」
リュウがフォローする。
「すると三人とも何かしらの格闘技経験者ですか?」
「ああ、俺はボクシングをやってる」
「私はキックボクシングを」
「俺はムエタイと、一応キックボクシングをしているな」
三人それぞれ紹介する。
「これはなかなかやりがいがありますね」
ナナが闘志を燃やす。
頭のなかで音がしたのを思い出し、そういえばとステータスを確認する。そこには進化可能「吸血鬼」と書かれていた。




